摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

老婆谷西稜4

ずいぶん暖かくなってきた。寝床から常よりも早めに抜け出せたので、

摩耶山に行こうかと家族に問う。勝手に行けばと言われるが、下りの

ロープウェイ乗車を約束して一緒に家を出る。とは云っても10時半。

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JR灘駅に着いたのは11時25分なので、自ずとコースは限られる。

青谷から老婆谷へ歩こう。駅前の桜もツボミがピンクに色づいている。

王子公園の中を幼稚園児と共に北側へ抜ける。遠足シーズンなのかも。

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いつもは青谷川の左岸側を歩いていたが、今日は右岸の住宅街の中を

ジグザグに歩いて来た。やはり迂遠に思われる。歪に切られた老木は、

今頃に咲いているんだから河津ザクラだろうか。品種は全く分らない。

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青谷登山口脇にある荒れた祈祷所に入ってみる。花やロウソクが供え

られてるのでお参りに来る人はいるよう。左は不動明王だが、右側の

人物は誰だろう。役行者かと思ったが笠を被っている姿は初めて見る。

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青谷道をゆっくり歩いて行者堂跡。途中3人も抜かれるが気にしない。

どうにも足が遅い。満艦飾に花を咲かせているのは白梅だと思うけど、

少し遅いかな。今の季節は梅・桜・桃・アーモンドと色々咲いている。

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植物にさして興味がないので、何れも同じに見えてしまう。少し水を

飲み行者尾根鞍部を目指す。滝行場までに大きな倒木があるが、もう

処理されてから大分経っている様子だ。そういやしばらく来ていない。

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行者尾根の鞍部というか取りつきに到着。その清浄な様子に安堵する。

此処はペンキで汚されたり、テープマーキングが沢山付けられたりで、

不快な思いをしがちな所。行者尾根には入らずに老婆谷へ進んで行く。

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尾根道に比べて斜面の道は、大雨や土砂崩れによって消失しやすいが、

此の谷の道はしっかり残っている。以前より通行する人が増えた事も

一因だろうが、元々は薪炭の搬出の為の広い道だった事が要因だろう。

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淡々と右岸沿いの道を詰めて行くと炭焼き窯の跡が現れる。此れより

少し上で老婆谷道は左岸へ渡って、天狗尾根のアドベンチャールート

分岐まで続いている。途中2ヶ所ほど崩落していて分り難い所がある。

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上の写真で対岸に渡る。2008年(平成20年)播州野歩記さんが、

ブログで紹介されるまでは、此処から西側の尾根を通って天狗尾根の

鞍部へ抜ける踏跡が顕著だった。だが現在はほとんど歩く人はいない。

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出だしの樹林帯こそ踏跡が消えてしまっているが、緩やかに斜上して

行けば明確な道跡に出会うはず。そう思っていたが何だか様子が違う。

倒木というか斜面の崩落があったようで、かつての道が覆われている。

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何本かの倒木を潜り抜けて振り返って見る。根元に崩れた岩が不安定

に乗っている。前回来た時も倒木はあったが、それほど通過を困難に

感じてはいなかったので、その後更に崩れ倒れて来たものと思われる。

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踏跡を辿って尾根に乗ったら15m程下る。すると展望岩に飛び出る。

この位置関係が解らずに、最初はこの岩場だけを目指して来たりした。

その頃は松が繁っていて煩かったが、松が枯れた今は良き休憩箇所だ。

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まず誰も来ない場所なのでボーっとしていたいが、家族が寒いと言う

ので移動しよう。陽が差したり陰ったり。展望岩の背後にはドウダン

ツツジが初々しい花を咲かせていた。こうしてみると可憐な姿である。

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此処からは尾根筋を直上するという訳でなく、右へ左へ歩き易い所を

選んで上がって行く。藪を分けるような所は一か所もない。その昔は

西側の天狗尾根鞍部に至る踏跡が明瞭だったが、今はもう見つからず。

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斧の刃を立てたような巨岩が現れる。最初に来た時は此の岩に跨って

休憩したよねって言うが家族は覚えていない。でもスルスルと登って

しまう。反対側は10m以上の落差、ハムは見ているだけで怖くなる。

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巨岩から天狗道まで標高差はごく僅か。岩場が現れるが東西何方でも

抜けられそうだ。前回来た時はは東に切り開きがあったが、藪っぽく

なっていたので、今日は岩を縫うようにして直上気味に上がってみた。

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辿り着いたのは天狗道脇の展望所。残念な事に此の下に大量のゴミが

散乱していた。多少は回収したけど準備不足で多くは残してしまった。

多人数で食事して故意に放り投げている。令和にしては珍しい蛮行だ。

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昼食は天国ベンチに立ち寄る。なんだかスッキリと草刈りされていた。

今朝は朝日が差して良い天気になりそうだったが、曇りがちな一日だ。

明日の方が良いかと思ったが、勢いで家を出ないとダラダラして終る。

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昼食は有り合わせの物でサンド。主役は最近流行りのキャロットラペ。

安いハムも入れているが、京都の野菜レストランで食べ慣れたせいか

野菜だけでも十分美味しく思う。ただビールを飲むにはまだ寒かった。

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掬星台では紅梅が咲き始め。標高差で季節感がゴッチャになっている。

背後ではベンチの修復工事が行われていた。しばらく来ていないので

様子が変わった。仙人さんにはもう遭えないかと思うと寂しさが募る。

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下りは約束の通りロープウェイ。ハムの年券で家族は2割引きになる。

山麓駅から桜トンネル。老木が多くかなり伐採された。もうトンネル

とは言えないがピンクの蕾がほころび始めている。来週末が見頃かな。

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今日出会った動物。

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掬星台で土を掘り返していたイノシシ。かなり若い個体だと思うけど

近寄っても全然逃げようとしない。人は危害を加えないと知っている。

鼻先が濃い茶色なのは土で汚れているから。お食事中お邪魔しました。