摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

老婆谷西稜3

今年は梅雨が早いらしい。週間天気予報を見ても雲や傘マークばかり。

この日は唯一晴れマークのあった日。ところが朝起きてみたら曇り空。

行こうか行くまいかと9時近くまで、自宅で空を見上げて考えていた。

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だから王子公園に着いたのは10時過ぎになるが、短いコースなので

ゆっくり歩き始める。はっきりしない空模様で、蒸し暑くなりそうだ。

今日は5月6日に歩いた老婆谷西稜へ、もう一度行ってみようと思う。

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青谷道から行者堂跡を経て老婆谷に入る。蟻塚かケルンの様に見えて

いるのは、ダム工事の際に放置されたろう砂利入りセメントの固まり。

谷道は右手の離れた所を通っているので、何の目印にもなっていない。

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鋼製堰堤を越えると右岸から支沢が流れ込む。前回はそこそこ水流が

有ったが、今日はかなり少ない。一応念の為ジャガーシグマを履いて

来たが要らなかったかも知れない。入口付近は狭い溝状になっている。

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少し進めば谷が広がるが、右岸は険しい岩稜である。これを詰めれば

行者尾根のコル辺りに着くだろう。そっちへ行ってみるのも面白いか

もとぼんやり見上げる。さらに進むと北側へ谷が90度屈曲して行く。

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曲がるとそこは10mばかりの傾斜の緩い滝となっていた。もう少し

水量が有る時期に来たかった。岩はしっかりしているし階段状なので、

何の問題もなく通過する。こんな所がずっと続けばと甘い期待を持つ。

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その後もしばらく川床の岩盤が露出している。出合の狭さからは想像

出来ない変化だ。ところで地理院地図では左岸の等高線が極めて広く

描かれているが、見る限りは急な斜面が続いて、そんな所はなさそう。

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二俣が現れた。右俣が本流と思われ2mの小滝となっている。左俣も

同じような小滝となっている。どちらも登れそうにない。側壁の傾斜

緩いので取りついてみたが、岩が脆く剥がれるので諦めて降りてきた。

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結局は左岸を巻き上がったが、積もった落ち葉が滑り易くて難儀する。

小滝の上は伏流し、谷幅一杯に巨岩が鎮座している。かなり大きな岩

だと思ったが、写真はそれほどでないのは比較する物が無いせいかな。

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更に涸れ沢が天狗尾根に向かって伸びているが、目的は左岸尾根上の

展望岩なのでそろそろ方向を転じねばならない。だが巨岩の点在する

谷間も独特の雰囲気があって捨てがたい。しばらく周囲を眺めていた。

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すると西側がやけに明るいので、斜上してみると大きな倒木帯だった。

此処はさっきの左俣上流だろう。谷は倒木で埋まり、源頭は土砂崩れ

で岩盤が露出している。さて元の谷間に戻り展望岩を目指すとしよう。

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樹幹越しに感じるスカイライン。これ以上上がると緩やかになるよう。

左岸の積木崩しのような巨岩の裾を斜上してみよう。猪が獣道を作っ

てくれているので歩き易い。下生えも少なくて藪を分けることもない。

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辿り着いた所は展望岩の数m上、ハムにしては珍しく予想通りだった。

とても狭い範囲での事で、別に自慢にもならないが、少しだけ嬉しい。

それにしても地理院地図の等高線の間隔については、不明なまま終る。

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朝早く家族が作ってくれたパイづくし。まだ先行きがあるので全部は

食べずにチーズパイだけオヤツにしよう。テルモスのコーヒーで頂く。

日差しは強いが気温は上がっていない。気分良く1時間も休んでいた。

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過去の記事を読み返すと、20mも上がれば老婆谷から道が上がって

来ると書いている。今日は其処を下ってみよう。すぐ東側に道らしき

が現れる。炭焼きの頃から歩かれているはず、簡単には跡は消えない。

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更に進むと道幅が広くなる。両脇の木には鋸目がある。倒木があるが

通行は困難でない。だが暗い照葉樹林の中に入ると、落ち葉で埋まり

道跡は定かでなくなる。逆コースは知っていないと難しいと思われる。

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なんとなく斜降して行くと、これまたピッタリ老婆谷道のバリケード

に着いた。本当の道は此処で小さな谷を東側に渡っている。かつては

分り難かったが、現在はアドベンチャールート分岐まで迷う事はない。

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約1m幅の道跡が緩やかに九十九を描いて上がって行く。ただ上部で

沢を渡る道が流されており、斜面を直上しなければならない所もある。

少し上がれば再び道跡に出会い。天狗道のスカイラインが見えてくる。

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薪炭の搬出路だった老婆谷道は、もっとも効率的に摩耶山上から下山

出来る道だと思う。一か所の登り返しもなく最短で舗装路に出る事が

出来る。山上で雷雨に会いそうになり、駆け下った記憶が二度ばかり。

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天狗道に出た所は、地蔵谷に向かって同じ幅の道が下って行く四差路。

いつもはハイカーの声が前後に聞こえるようになるが、今日は少なめ。

お一人とだけすれ違ったかな。NHK電波塔はまだ工事中で人がいる。

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昼ごはんはやっぱり天国ベンチ。日陰はないが耐えられない程でない。

残りのパイはウインナー巻き3本。勿論もれなくセージが入っている。

20パックも買ったが残り少なくなった。味にも慣れて旨味を感じる。

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天国ベンチのそばに、小粒な紅満天星(べにどうだん)が咲いていた。

どうしたらそんな読みになるのだろうか。中国の呼称に和名をあてた

だけだろうと思われる。紅灯台という漢字をあてることもあるようだ。

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12日から兵庫県はマイルド緊急事態宣言下。各種施設が営業を再開

している。その割に掬星台は人が少ない。摩耶ビューラインの経営は

どうなんだろう。ロープウェイもケーブルも4名乗車。内2名は年券。

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中間駅ではニセアカシアが咲いていた。繁殖力が強いので摩耶山では

治山の為に植えられた。東山尾根等に多い。香りの強い花弁は焼酎に

漬けたり、天ぷらにして食べる所もあるらしい。美味しくはなさそう。

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ケーブル山麓駅では、バスの時刻が表示されるモニターが新たに設置

されていた。駅舎内なので営業時しか見れない。坂バスも表示されて

いるのは好ましいが、行先は明示してほしい。広告も集まると良いな。

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今日出会った動物

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行者堂跡に積んであるブロックで寝ていたトカゲ。まさに登山用語で

使うトカゲっていう状態。こんなに近づいても起きずシャッター音に

驚いてようやく動いた。沢で冷えた体を岩の上で温めた事を思い出す。