今年は梅雨が早いらしい。週間天気予報を見ても雲や傘マークばかり。
この日は唯一晴れマークのあった日。ところが朝起きてみたら曇り空。
行こうか行くまいかと9時近くまで、自宅で空を見上げて考えていた。
だから王子公園に着いたのは10時過ぎになるが、短いコースなので
ゆっくり歩き始める。はっきりしない空模様で、蒸し暑くなりそうだ。
今日は5月6日に歩いた老婆谷西稜へ、もう一度行ってみようと思う。
青谷道から行者堂跡を経て老婆谷に入る。蟻塚かケルンの様に見えて
いるのは、ダム工事の際に放置されたろう砂利入りセメントの固まり。
谷道は右手の離れた所を通っているので、何の目印にもなっていない。
鋼製堰堤を越えると右岸から支沢が流れ込む。前回はそこそこ水流が
有ったが、今日はかなり少ない。一応念の為ジャガーシグマを履いて
来たが要らなかったかも知れない。入口付近は狭い溝状になっている。
少し進めば谷が広がるが、右岸は険しい岩稜である。これを詰めれば
行者尾根のコル辺りに着くだろう。そっちへ行ってみるのも面白いか
もとぼんやり見上げる。さらに進むと北側へ谷が90度屈曲して行く。
曲がるとそこは10mばかりの傾斜の緩い滝となっていた。もう少し
水量が有る時期に来たかった。岩はしっかりしているし階段状なので、
何の問題もなく通過する。こんな所がずっと続けばと甘い期待を持つ。
その後もしばらく川床の岩盤が露出している。出合の狭さからは想像
出来ない変化だ。ところで地理院地図では左岸の等高線が極めて広く
描かれているが、見る限りは急な斜面が続いて、そんな所はなさそう。
二俣が現れた。右俣が本流と思われ2mの小滝となっている。左俣も
同じような小滝となっている。どちらも登れそうにない。側壁の傾斜
緩いので取りついてみたが、岩が脆く剥がれるので諦めて降りてきた。
結局は左岸を巻き上がったが、積もった落ち葉が滑り易くて難儀する。
小滝の上は伏流し、谷幅一杯に巨岩が鎮座している。かなり大きな岩
だと思ったが、写真はそれほどでないのは比較する物が無いせいかな。
更に涸れ沢が天狗尾根に向かって伸びているが、目的は左岸尾根上の
展望岩なのでそろそろ方向を転じねばならない。だが巨岩の点在する
谷間も独特の雰囲気があって捨てがたい。しばらく周囲を眺めていた。
すると西側がやけに明るいので、斜上してみると大きな倒木帯だった。
此処はさっきの左俣上流だろう。谷は倒木で埋まり、源頭は土砂崩れ
で岩盤が露出している。さて元の谷間に戻り展望岩を目指すとしよう。
樹幹越しに感じるスカイライン。これ以上上がると緩やかになるよう。
左岸の積木崩しのような巨岩の裾を斜上してみよう。猪が獣道を作っ
てくれているので歩き易い。下生えも少なくて藪を分けることもない。
辿り着いた所は展望岩の数m上、ハムにしては珍しく予想通りだった。
とても狭い範囲での事で、別に自慢にもならないが、少しだけ嬉しい。
それにしても地理院地図の等高線の間隔については、不明なまま終る。
朝早く家族が作ってくれたパイづくし。まだ先行きがあるので全部は
食べずにチーズパイだけオヤツにしよう。テルモスのコーヒーで頂く。
日差しは強いが気温は上がっていない。気分良く1時間も休んでいた。
過去の記事を読み返すと、20mも上がれば老婆谷から道が上がって
来ると書いている。今日は其処を下ってみよう。すぐ東側に道らしき
が現れる。炭焼きの頃から歩かれているはず、簡単には跡は消えない。
更に進むと道幅が広くなる。両脇の木には鋸目がある。倒木があるが
通行は困難でない。だが暗い照葉樹林の中に入ると、落ち葉で埋まり
道跡は定かでなくなる。逆コースは知っていないと難しいと思われる。
なんとなく斜降して行くと、これまたピッタリ老婆谷道のバリケード
に着いた。本当の道は此処で小さな谷を東側に渡っている。かつては
分り難かったが、現在はアドベンチャールート分岐まで迷う事はない。
約1m幅の道跡が緩やかに九十九を描いて上がって行く。ただ上部で
沢を渡る道が流されており、斜面を直上しなければならない所もある。
少し上がれば再び道跡に出会い。天狗道のスカイラインが見えてくる。
薪炭の搬出路だった老婆谷道は、もっとも効率的に摩耶山上から下山
出来る道だと思う。一か所の登り返しもなく最短で舗装路に出る事が
出来る。山上で雷雨に会いそうになり、駆け下った記憶が二度ばかり。
天狗道に出た所は、地蔵谷に向かって同じ幅の道が下って行く四差路。
いつもはハイカーの声が前後に聞こえるようになるが、今日は少なめ。
お一人とだけすれ違ったかな。NHK電波塔はまだ工事中で人がいる。
昼ごはんはやっぱり天国ベンチ。日陰はないが耐えられない程でない。
残りのパイはウインナー巻き3本。勿論もれなくセージが入っている。
20パックも買ったが残り少なくなった。味にも慣れて旨味を感じる。
天国ベンチのそばに、小粒な紅満天星(べにどうだん)が咲いていた。
どうしたらそんな読みになるのだろうか。中国の呼称に和名をあてた
だけだろうと思われる。紅灯台という漢字をあてることもあるようだ。
12日から兵庫県はマイルド緊急事態宣言下。各種施設が営業を再開
している。その割に掬星台は人が少ない。摩耶ビューラインの経営は
どうなんだろう。ロープウェイもケーブルも4名乗車。内2名は年券。
中間駅ではニセアカシアが咲いていた。繁殖力が強いので摩耶山では
治山の為に植えられた。東山尾根等に多い。香りの強い花弁は焼酎に
漬けたり、天ぷらにして食べる所もあるらしい。美味しくはなさそう。
ケーブル山麓駅では、バスの時刻が表示されるモニターが新たに設置
されていた。駅舎内なので営業時しか見れない。坂バスも表示されて
いるのは好ましいが、行先は明示してほしい。広告も集まると良いな。
今日出会った動物
行者堂跡に積んであるブロックで寝ていたトカゲ。まさに登山用語で
使うトカゲっていう状態。こんなに近づいても起きずシャッター音に
驚いてようやく動いた。沢で冷えた体を岩の上で温めた事を思い出す。