摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

生駒山系 旗立山を越えて宝来温泉へ

4月中は京都の宿が高くてかなわない。少し範囲を広げ探して見ると

奈良の宿が存外安い。ビジネス利用の部屋なのか又も日曜日が一段安。

それなら交通費節約を兼ね生駒山系と矢田丘陵を越えて行ってみよう。

阪神尼崎駅で西大寺行きに乗り換えて瓢箪山駅には6時55分と早い。

近鉄の初乗り運賃が加算されるので高いが、乗り入れは確かに便利だ。

只生駒に魅力的な山があるとは思えず、これまで食指は動かなかった。

南側へ下って行くと商店街の中に石鳥居があって、なにやら由緒あり

げな石碑や石橋があったり。そこが参道口らしく東側へ100m程で

立派な瓢箪山稲荷神社に到着。境内を抜けて山に向かって真直ぐ進む。

ずっと普通の住宅街だけど、段々標高が上ると道の傾斜も増してくる。

東大阪市立郷土博物館は施設老朽化につき昨年4月より休館していた。

その前を通って山に入って行くが最後まで宗教的な物は一切なかった。

4年前に辻子谷から生駒山に上った時は、種々の宗教施設が点在して

独特の雰囲気があった。それに比べればスッキリしている。今歩いて

いる道は客坊谷コースと云うのだが、河原からかなり高い斜面を行く。

谷を詰めていくと前方に大きな橋が見えて来た。ドライブウェイかな。

どう考えても歩いて来た道を進む方が稜線に近いが、興味に魅かれて

橋の上部に出てみる。チェックインは15時なので時間の余裕はある。

センターラインが消えているし、朽ちるに任せてあるようにも思える。

車道としての役目は終えたが、今は散策路として活用されているよう。

らくらく登山道という名前が付けられている。それもかなり以前から。

路傍の案内図を見るとこの道を進めば、みはらし広場という展望所が

あるようだ。遠回りになるが周回してみよう。そのまま歩いて行くと

やがて木製の階段が現れて、上がって行くと広い展望テラスに着いた。

不思議な形の休憩舎があったりするが、ベンチが一基も見当たらない。

仕方なく展望デッキに座り込んで朝食を摂る。日曜だけあって近所の

方が散歩やランニングに来られたりする。でも何かちぐはぐな施設だ。

朝食を終えてさらに車道を北進すると神津嶽ふれあい広場に到着する。

ここには大屋根休憩舎の下にベンチが数基あった。爽やかな風が吹き

抜けこのままずっと休んでいたい。神津嶽に寄ってみるが展望は無い。

ふれあい広場から車道を離れて一登りで、なるかわ園地休憩所に着く。

ここで再び車道に合流する。北側へ行けば生駒山だが、南側へ回って

元の客坊谷コースに戻ろう。此の辺りから周囲に桜の大木が多くなる。

正直どこをどう歩いているのか分らない。登山道ではなくて遊歩道だ。

ドライブがレジャーの主役だった時代に車道が設けられたが、需要が

薄れたか維持管理できなくなったかで、園地に転用されたように思う。

その真偽はともかく車道を進んで行くと客坊展望台という小さな櫓が

ある場所に来た。此処も素晴らしい大展望。残念な事に黄砂の影響か

六甲山系さえ霞んで見えない。それでも大阪平野の広がりは実に雄大

客坊展望台からは歩道に入って登りきると旗立山。大きな紅桜が満開。

立派な名前を持っているが三角点も標高点もない上に雰囲気は公園だ。

この後も山らしい山は現れないので標題に掲げた。標高486mとか。

立山が山頂らしく無いのはまだ高みが先にあるから。それにしても

山のようでも山でない。すでに標高は500mを越えているし展望も

素晴らしいのに登頂感もない。若い頃なら絶対に足を運ぶことはない。

ネーミングのセンスが無さすぎだ。登り着いた園地でも絶景の展望が

得られる。なのに名前は「ぼくらの広場」って、どこやねんという話。

学校遠足に良いとは思うけど、何々山に登ったっていう達成感は無し。

六甲山系が治山目的の植林としたら、この山は観光目的の植林だろう。

桜の盛期に来たらもっとキレイだと思う。それなのに桜の名所として

喧伝されないのは、何処だか分り難いネーミングにあるんじゃない?。

なんてどうでも良い事を考えつつ「僕らの広場」を最高所として下山

にかかる。しばらくで舗装路に出てしまった。桜の巨木が立つ四差路。

主稜線上に居ながら山里の雰囲気がする所で、もはや山とも言えない。

それもそのはず、暗峠(くらがりとうげ)の集落まですぐの所だった。

大昔に自転車で訪れた事がある。その時は名前の通りひっそりとした

場所だったが、現在は売店兼食堂、野菜販売所等があって割と賑やか。

暗峠といえば江戸時代に郡山藩が敷設した石畳の道がシンボルだけど、

此の道が国道308号線とは知らなかった。信貴生駒スカイライン

高架を少し先で潜るので余計に狭く思われる。此処から奈良側に下る。

本当は普通の山道を歩きたかったんだが、不思議なことに奈良県側に

ハイキングコースは見当たらない。地理院地図に破線の記載はあるが

迷いそうで公道を下ることにした。この舗装路歩きが中々に辛かった。

標高455mの暗峠から、近鉄南生駒駅(111m)付近へ下って

矢田丘陵を標高270m辺りで越える行程。既に此の辺りで二人とも

靴の中が痛くてたまらない。それにしても大きく立派な民家が続いた。

南生駒駅の近くでアイスキャンディを買って栄養補給。住宅街の中を

登り返して行く。もはや宿まで最短距離で行くことしか考えていない。

矢田丘陵にもハイキングコースはあるそうだが今日の行程上には無い。

住宅街最上部の階段を上りきると、そこには市営の足湯施設があった。

無料のようなので私達も利用させてもらう。20分ほど居ただろうか、

幸いなことに足の痛みがほぼ取れた。この先も舗装路がずっと続いた。

足湯施設を出たのは13時、それから2時間かけて宿まで歩きとおす。

終わりかけでも桜の季節に歩けたので、興味が続いたが他の季節だと

どうだったか。それはともかく辿り着いた宝来温泉はユニークな宿だ。。

古さは否めない昭和な観光旅館。大浴場・露天風呂有り。市街地から

離れているが、付近に安売りスーパー2軒あって困らない。入浴して

すぐに眠ってしまった。近鉄西大寺駅奈良駅まで送迎バスもある。

 

今日のBGM 


www.youtube.com