摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

四条河原町から大文字山を越えて浜大津へ

3月中旬から4月にかけては京都のハイシーズン。安い時は4千円の

2段ベッドの部屋も3万円位したり。そこで探し回って見つけたのが

大津の宿。ビジネスなので日曜が安い。予約したのは昨年12月の事。

7時ちょうど阪急電車の京都河原町駅からスタートする。四条大橋

渡って白川沿いの道に入る。まだ朝日が眩しい頃だが、既に国内外の

観光客が桜を見に来ておられる。此の道は京都らしさもあり良い選択。

花見小路に出て有済橋を渡れば人通りもやや少なくなる。今年は桜の

開花が平年より1週間遅かった。そのおかげで予期せぬ花見ハイクを

楽しめそうだ。進行方向がどうしても逆光になってしまうのはご愛敬。

古門前橋からは柳の緑が涼やか。大文字山のアプローチとしては好適。

家族が立つ行人橋の他に2本。計3本の一本橋が白川に掛かっている。

それを渡ったりし乍ら進んで行くのは、何度来ても楽しい散歩である。

仁王門通りを琵琶湖疎水沿いに東へ向かう。対岸には美術館や動物園。

ずっと桜並木が続く。観光客もどんどんと増えて来る。南禅寺橋から

インクラインの末端を見下ろす。今日は此処から北西に進んでみたい。

御屋敷の塀に沿って進んで行くと色鮮やかな紅枝垂れ桜が見えて来た。

清流亭の御庭。民間会社の所有物で非公開だが国の重要文化財だとか。

数寄屋造りの母屋や、藁ぶきの茶室の風情が桜に興趣を添える美しさ。

永観堂に突き当り冷泉通に入れば哲学の道の南端。お勧めは此処から

疎水沿いに法然院へ進み、大文字の火床を目指すルート。でも今日は

歩いた事のない道を辿ってみたい。それに哲学の道は観光客で大混雑。

若王子(にゃくおうじ)神社では神職の新人が研修を受けておられた。

拝観は遠慮して東側の階段道を上がる。そこは桜花苑という陽光桜が

植樹された園地となっている。残念ながら盛期は過ぎて寂しげな様子。

園地の東屋で家族が作ったアンパンで朝食を済ませる。地理院地図に

記載のある破線はこの園地の北東を走っている。適当に高みに向えば

その道に出るだろうと進んでみる。すぐに古い道跡に出る事が出来た。

分岐があり一旦は右側の道に入るが、谷へ降りた所で詰まってしまう。

引き返し左側の尾根へ向かう道に入る。深く掘れているので往時には

相当の通行があったろうが、現在はハイカーの利用は少ないかと思う。

主稜線の京都一周トレイルに出るまでのコースがやや迂遠であったり、

登山口である若王子神社が、銀閣寺や法然院それに南禅寺と比べると

観光的要素が少ない事もあるだろう。照葉樹の疎林が続き眺めは僅か。

東山42標識で京都一周トレイルに合流。この道標に若王子神社への

分岐も記載されていた。なので廃道という訳ではないだろうが登山口

には何の案内もない。ここからは何度も歩いた道。山頂まで30分程。

毎日一万歩程度の散歩をしているが、トレーニングにはなっていない。

何人も追い抜いてもらいつつ大文字山頂上に到着。時刻は9時54分。

日曜だけあって多くのハイカーが休憩されている。まあ長居は無用だ。

5分ばかり元来た道を戻った三叉路。向かって右側が我々が来た道で、

左側が如意が岳を越えて大津に向かう道。さて以前あった私製道標や

マーキング等が一切ない。ハム的にそれはそれで好ましい事だと思う。

だが観光客のハイクの多いこの山ではどうなんだろうと思っていたら、

自分が道に迷ってしまう。雨社を過ぎた所で如意越道の道標に誘われ

進むと道は細くなるし、伐採作業で通行止めの標識も出てきたりする。

記憶を呼び戻して尾根筋に戻って如意ヶ岳の航空保安施設に辿り着く。

如意越の公設道標は古道復活の目的があるが、山に車道やゴルフ場が

出来た現況からすると、眺望や歩き易さを求めるハイカーに合わない。

如意ヶ岳の頂上(標高点472m)は航空無線標識所の敷地内にあり

近づく事は出来ない。周囲を迂回して車道に出る。此処からしばらく

車道を下って行く。再び如意越の公設道標を見るが疑心暗鬼でスルー。

更に車道を下ってガードレールを潜る箇所から山道に入る。此処にも

私製道標があったけど無くなった。前を歩いていた男性は行き過ぎて

しまったようで戻って来られた。ただこの下で如意越の道と合流する。

色んな思惑が透けて見える私設公設の道標事情。マーキング類一杯の

大文字山北斜面の様子と対照的である。勿論ハム的には無い方が良い。

此処で家族が足指が痛くて歩けないと言い出した。靴下を替えてみる。

城北線四五の高圧鉄塔に出る手前に、巨岩が点在する平地があった。

庭石として配置されたとしか思えない。遠い昔に禅寺でもあったのか。

後でグーグルマップを見ると灰山城跡とある。室町時代の遺構のよう。

靴下を替えた所で一度痛めた足指が、すぐに回復するはずもないので

最短距離で下山する事にする。長等山の頂上手前の鞍部から谷へ下る。

この分岐も以前はマーキング花盛りだったが今は何一つ残っていない。

西大津バイパスをトンネルで抜けて看護学校脇に出る。このコースは

ゴミが多く辟易とする。その為か歩く人も少ないようで道もよくない。

皇子山公園から住宅街を通り抜けて、京阪大津京駅辺りへ出てしまう。

少し距離は長くなるが千石岩から早尾神社に下った方が良かったかな。

まだ時刻は12時過ぎだ。宿にチェックインするのには早すぎるので

湖周道路(県道558号線)沿いのチェーン店で昼食を摂る事にする。

昼食を終え県道沿いに浜大津に向かう。此の道は元の国道161号線

であるがバイパスの完成で県に移譲されたとか。最近はリバーシブル

レーンの廃止が話題になったり。琵琶湖一周する自転車も必ず通る道。

ここからは余談だが日記も兼ねているので書き残して置く。浜大津

高架通路の複雑さに文句を言いつつも宿に辿り着く。大津一安かった

だけあって昭和な宿だったが、あてがわれた部屋からは琵琶湖が一望。

宿のロビーに疏水ライトアップの案内があった。夕方から行ってみる。

夜桜は人工的な感じがして好きじゃなかったけど、此処は見事である。

久しぶりの山歩きだったが、前後の花見歩きの印象が強く残った一日。

 

今日のBGM 


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