摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

大文字山(465m)北面から山科駅へ

昨年は何故か、大文字山の北面に関する記事を目にする事が多かった。

そられの多くは魅力的でない写真が添付されており、どうしてこんな

所が人気なのかと不思議だった。その考えを一変させる記事を読んだ。

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ヤマップに押され凋落著しいヤマレコだが、京都地方では未だ秀逸な

記事を目にする事が度々ある。中でも yamaneko0922 さんは美しい

写真を添付されている。紅葉の頃の記事を拝見し行ってみようと思う。

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四条烏丸から市バスに乗り、銀閣寺道バス停で下車したのは、我々の

他は女性三人組のハイカーだけ。火床に向かう道を見送って谷沿いの

脇道に入る。踏跡程度かなと思っていたら、いきなり立派な丸木階段。

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小堰堤を二基越えたあとも、自然木を使った丸木の土留め階段が続く。

谷自体は小さいのにガレが川床全体を埋めている。もっと急峻な地形

では見るが、こんなな緩やかな谷では初めてみる。面白くなりそうだ。

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谷沿いの道は200m程で左岸の尾根に上がる。中尾城跡までの間に

絶好の展望所があるというので脇に入る踏跡を探しながら歩いて行く。

だが見つけられず城址という平削地に着く。途中僅かに望む京都市街。

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分岐が幾つもあるが一旦高みを目指す。南側に見えるのが大文字山か。

ヤマレコの記事で見た美しい紅葉の写真に誘われて来たが、今の所は

照葉樹を主とした雑木林が続いた。主稜に出るとやや落葉が深くなる。

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ネットで見た記事を完コピする気はない。ヒントは与えて貰って後は

自分の感覚で歩きたい。頂上に向かう尾根道から離れて浅い谷を下る。

背後や頭上からハイカーの声が聞こえてくる。脇道が沢山あるようだ。

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京都一周トレイルで歩いた比叡山の沢とよく似た雰囲気。細かい砂が

堆積した河床。両岸には藪どころか広く草木が生えておらず、普通の

道のように歩いていける。京都の山でも珍しい植生ではないだろうか。

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踏跡を辿り河原を進んで行くと小滝に行き当たった。これが中尾の滝

だろうか。夏季ならば楽しく登れそうな滝だ。六甲山系の花崗岩とも

京都北山の黒い岩とも異なる。左岸を大きく迂回して上流へ巻上がる。

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前方を歩いている三人組はバスに同乗していた人達だ。我々とは違う

コースで中尾の滝まで来られたらしい。網の目の如く道があるようだ。

確かに先程から分岐が幾つもある。その割にはマーキング類は少なめ。

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広々とした河原を進んでいく。 この水系の谷沿いには何故に草木が

育たないのだろうか。その理由は分からないが、此の谷がハイカーに

好んで歩かれる要因と考える。水流は途切れると丸裸の段丘が現れた。

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段丘から源流部を望む。流石に木が増えてきたが、相変わらず下生え

のない川床が廊下のように続く。やがて踏跡は最後まで谷を詰めずに

右岸の低い尾根に上がっていく。短い上りで支尾根の峠状の所に出る。

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この峠状の箇所は三叉路となっている。尾根の下り方向が赤ペンキ

のマーキングで酷く汚されている。それを嫌う人が一度削った上に

再び大きく塗り直してある。目を背けるしかなく尾根を登って行く。

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複雑な地形だが道は明確。支尾根が斜面に消えると北に比叡山を望む。

広く木の生えていない斜面の先には杉の植林帯が見えている。淡々と

上がっていくと、スギ林の隙間から一瞬低い太陽が光が強く差し込む。

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ある意味京都らしいスギ林の先は妙に明るい。ひと登りすると唐突に

大文字山の頂上広場に飛び出した。実は此処までは雪を踏んでいない。

昨日降ったはずだが、多くの人が歩いているので道の雪は溶けている。

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それなのに頂上の広場には誰もいなかった。此処には数回来ているが、

いつも大勢のハイカーで賑わっていた。トレースの様子から朝一番に

多くの方が来られたのかもしれない。山麓で買ったコーヒーで小休止。

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もう見慣れた風景なので長居をする気もない。空身のハイカー二人が

上がって来られたのを機に腰を上げる。此処までは思っていた通りに

歩いてきたが、この先がどうも分からない。目標はJR山科駅である。

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頂上からの道は東南に進む。途中から折れた木があるが、その根本が

朽ちて細くなっている。周囲にチェーンソーで切られた木が転がって

いるのに、此の木はどうして切られないのだろう。恐らく難しいから。

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南側の谷へ下っていく道を見送った。そちらを進めば谷沿いに山科に

出るだろうが、今日は尾根道を歩きたい気分。幾つも分岐が現れるが

一番太い道を選んで進む。次にとんでもない規模の倒木帯に突っ込む。

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此処は6年前大文字山から琵琶湖に抜けた時に歩いた道だと気づく。

当時の手入れの行き届いた美林が、きっと4年前の台風でこのような

状態になったのだろう。怪獣が駆け抜けた跡のような先に山科の市街。

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左下に小さな社(雨社)みると分岐がある。東へ直進すれば如意ヶ岳

を経て西大津に下る。南側へは山科を指す私製道標があった。以降は

道なりに下ればば良いはずだ。ただ赤ペンキのマーキングに嫌な予感。

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残念ながら展望はないのだが、緩やかな尾根道がずっと続く雰囲気は

悪くはない。ところが路傍の樹木が1mおき、いや数十センチおきに

赤ペンキのマーキングで汚されており、次第に気分が悪くなってきた。

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基本的に嫌な物には目を背けるタイプ。ただ道標の写真に暗示的な物

が写り込んでいた。木の幹にマジックで矢印と何かが書かれているが、

それを強引に削ってある。此処にもマーキングを嫌う人はいるようだ。

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赤ペンキは林道に出るまで延々続いた。テープに比べて視認性に劣る

ペンキを使うのは、恐らく自分が付けたテープを何度か剥がされた故

であろうと想像がつく。シダ藪に降り積もった雪がキレイで一息つく。

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もう二度と歩きたくない道だった。大文字山には他にも山科側に下る

道があるが同様の状況かもしれない。舗装林道を下っていくと右下に

墓地が見える。古色蒼然とした五輪塔もあれば新しく募集もしている。

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毘沙門堂門跡に入ると見事な枝垂桜が立っている。京都の古寺らしく

落ち着いた雰囲気と思いきや、仁王門や本殿は朱塗りでかなり派手だ。

毘沙門天帝釈天の配下で、仏教世界の東西南北を護る四天王の一人。

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信仰すれば現世利益を得られるという、毘沙門天らしい彩色なのかも。

京都の古寺にしては庶民的な感じもする。桜や紅葉の頃に来てみたい。

門前の参道両脇は興趣を凝らした住宅街。元は境内だったかも知れず。

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更に下って行くと琵琶湖疏水を渡る。そういや2年前に此処を歩いて

いる。その時と違い水がほとんど無くて驚いた。帰ってから調べると

冬季間は送水を停止して清掃をするそう。やや西よりの山科駅はすぐ。

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JR京都駅までは190円。冬型の気圧配置が強まり明日は雪の予報。

まだ13時過ぎ京都市内は曇天で風も弱い。計画運休を知らずにいた

人達はどうされたのだろう。我々は四条烏丸まで歩き阪急電車で帰る。

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前述の通りヤマレコのyamaneko0922さんの記事を参考にさせて頂き

ました。 有り難うございました。しかし前半はトレースしていますが、

後半全く別のルートを辿っていたと、帰ってから見直し気づきました。

 

 

今日のBGM


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