摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

大文字山を越えて琵琶湖に行こう

祝日の2月11日は、大津市に所用がある。どうすれば安く行けるか。

JRの昼得切符を、神戸−大阪/大阪−京都/京都−大津と別々に買う

と1490円なのが、980円位にはなるのだが、まだ々高いと思う。

阪急の株主優待全線券をチケット店で買って、四条烏丸から京都駅へ

歩くことも考えたがまだ何か足りない。そこで地図を見直してみると、

大文字山を越えて大津まで歩けそうだ。四条河原町に午前8時に到着。

四条大橋を渡り、平安神宮に突き当たる所で北に向かう。京都大学

構内を抜けて、銀閣寺バス停に到着したのは、午前9時を過ぎていた。

四か国語の案内が流れる市バスから降りた観光客と共に銀閣寺へ向う。

銀閣寺の山門前を北側に曲がる。この辺りは、毎朝登っているような、

ご老人達が前後に歩いているので、初めてでも迷うことはないだろう。

行者の森の石碑で右の分岐に入り、水量の少ない沢沿いを登って行く。

10分も歩くと対岸に渡る小橋がある。此処が大文字山登山口のよう。

この山には遠い昔に、蹴上から一度登っている。何処へ下ったのかは

記憶が定かでないが、たぶん鹿ヶ谷方面へ下ったのだろうと思われる。

良く踏まれた広い道が続いている。10日前に京都へ来たばかりなの

に、また京都に来ている。嫌いだと言いつつ節操のない事をしている。

この付近は銀閣寺山国有林で、マツ林の保全等の為、間伐されており

明るい林相となっている。道は一しきり上った後、南東へトラバース。

鹿ヶ谷からの道と合流する所で、登山道を外れ尾根の細い踏跡を辿る。

なぜならば、本道を歩いて行くと大の文字の第一画に出てしまうから。

せっかく下側から登るのだから、第二画の裾から登って行きたいのだ。

鹿ヶ谷への峠状の所から、ほんの少し登るだけで刈払われた所に出る。

コンクリートで固められた階段を、ちょうど朝日に向かい上って行く。

左右に火床がある。手前に見える緑地が吉田山。その向うが御所かな。

京都って思いのほか広い。神戸ならば御所辺りの先は、もう海である。

登ってきた第二画の払いの部分。その昔に蹴上から歩いて来た時には、

いきなり大文字の上に出たもんだから、どうせなら下から登りたいと

思ったのだ。なぜだか、それをずーっと覚えてた訳で、念願が叶った。

第一画へ上がりきると、各方面から登ってきた人達が休憩されている。

小さな子供達も沢山登っている。その昔はこんなに人は多くなかった。

大の字を登りきった後は、そのまま広い尾根道を歩いて行く。前後に

幾組ものハイカー姿がある。照葉樹や針葉樹が多い林相だが間伐され

ているので、さほどは暗さは感じない。林間の緩やかな道が続いてる。

大の字から20分弱で大文字山の頂上に到着した。緩やかな主稜線の

一角にすぎなく、三等三角点がなければ、此処が頂上だとは思えない。

雰囲気はさながら養老院。子供達も、此処までは登ってこないようだ。

山頂からは、西から南にかけて樹木が借り払われていて、展望がある。

景色を眺めているとパンパンと音がして花火が打ち上げられた。その

内に大きな煙が上がる。阿含宗星まつりで大護摩壇に点火されたよう。

山頂からは東側に向かう。すぐに蹴上に下る分岐があり、ほとんどの

人がそちらに向かう。道標も無いがかまわず尾根筋の道を歩いていく。

伐採作業中で立入禁止の林道を横断して、良い道が東側に伸びている。

大嫌いな杉の植林帯だけど間伐作業が終わったばかりで、その上冬の

低い日差しが入って存外に明るい。その中を緩やかな道が続いている。

大文字山の賑わいに比べると随分ひっそりとしている。それでも道は

良く踏まれているので、道標はないが此の先も迷うことはないだろう。

航空局の通信施設に突き当たる。此処が如意が岳(472m)山頂だ。

広い範囲をフェンスに囲まれて、山頂に立つことはできない。南側を

フェンスを迂回する踏跡がついている。思ったよりも大きく回り込む。

麓からこの施設に上って来る車道に出る。しばらく車道を歩いて行く。

予めネットで下調べしてきた。幾つかのブログ等も参考にさせて貰う。

此処までは一本道だったが、此の先には幾通りもコースがあるようだ。

車道を下って行くと、琵琶湖が見えてきた。背の高いプリンスホテル

膳所と瀬田を結ぶ近江大橋。此処で下から登って来る良い道があった。

だが下るのはまだ早いだろう。今日の目的地は、JR大津京駅だから。

更に車道を下っていく。ハイカーの通行が少なそうで心細くなった頃、

火の用心の標識を見つける。車道を進むと大きなフェンスに遮られる

ので、この関電の巡視路に入ってショートカットする方が良いらしい。

やや心細い関電巡視路を進むと山城北線四五鉄塔が現れる。この下を

回り込んで再び車道に出る。直進する歩道は三井寺に至ると思われる

のだが、寺域内を通行する事になり拝観料500円を徴収されるとか。

再び車道に出ると、比叡山が大きく見えた。この後「千石岩」経由で、

大津京駅に下ろうと思うのだが、事前のネット情報でも判り難かった

部分があった。というのも、此の先ゴルフ場内を通過するらしいのだ。

ゴルフ場の真ん中を車道が下っていく。そのまま歩いても湖岸に出る

はずが、それは遠回りになるし退屈。分岐からクラブハウスに向かう。

この道は公道ではなかろう。咎められないかと少々心配しながら歩く。

クラブハウスの裏側を進んできた。此処までは、道標も何もなかった。

ゴルフ場利用者以外進入禁止といった看板も無かったが、良いのかな。

クラブハウスの東端から歩道入口があった。「通行者の皆さんへ猪が

入って来ますので、扉を閉めてください。」という看板がある。どう

やらゴルフ場は、ハイカーの通行を認めているようなのでホッとする。

余裕が出たので、ゴルフ場敷地東端から琵琶湖を望む。大津京駅前の

高層マンション。右手に琵琶湖競艇場が。大津港の噴水も遠望できる。

ということは8月開催のびわこ花火大会も、良く見えるということだ。

猪除けのフェンスから踏跡を辿って行くと、直ぐに千石岩に到着した。

此処も大昔に一度だけ来た事がある。二組がトップロープで練習して

いたが、何れもジジババ軍団だった。悪いが何とも悲しい気分になる。

若い人が室内でクライミングしても、ゲレンデに来ない理由が伺える。

初めての公設道標があった。もう此の先は迷う事もなく下れるだろう。

早尾神社に下り着く。名も知らなかったがとても清浄で立派な神社だ。

西大津バイパスを越える陸橋からは、遠く雪山が見えた。左が伊吹山

右が霊仙山だろう。暖冬だけど雪はあるようだ。登ってみたいが遠い。

ほどなく皇子山公園に下ってきた。幼児連れの家族がピクニックして

おられる。それほど温かいという事。JRの駅はすぐそこ。記憶では

西大津駅だったが、平成20年に改称されており今は大津京駅という。

目標では正午頃だったが、結局、大津京駅には午後1時前に到着した。

登頂感とは無縁の地味な山歩きだったが、快晴に助けられて楽しめた。

神戸から大津まで交通費426円と、プラス大文字山のハイキング也。


今日のBGM

No.1/ Cover by Kobasolo & Lefty Hand Cream