摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

鍋蓋山(486m)から防火道を下る

日曜日は混むので基本的に山には行きたくない。しかし此の日は晴れ、

その上気温が15度まで上がるという。無理やり三宮に用事を作って

交通費の負担を軽減。山歩きもしてみよう。でも何処を歩くかが問題。

いろいろ考えてみたが掬星台を経由して、三宮に下るコースは何処も

混み合いそう。新神戸を起点とすると市ケ原周辺は激混みに違いない。

日曜でも静かに歩ける所として、防火道(平野谷東尾根)を思い出す。

起点となる鍋蓋山へは城山を経由して行こう。新幹線の高架下辺りは

前後に多くのハイカーの姿。2月とはいえ好天の日曜日。でも皆さん

貯水池方向に進まれる。民家脇の石段を上がると前後に人の姿はない。

照葉樹の暗い森だった此の道も、数年前に間伐されて明るく変貌した。

急峻で脆い花崗岩質の神戸脊山で、治山目的の樹木が少なくなるのは

どうかと思ったが、今の所は大丈夫なよう。歩き始めると暑いほどだ。

いつもなら頭上をロープウェイのゴンドラが通過していくはずなのに、

全く静かだ。後で運営会社のサイトを見ると2月末まで運休だと云う。

法定点検の必要上と唄うが、閑散期のコスト削減目的が見え隠れする。

ずっと昔に麓の事業所で仕事をしていたが、その頃は出勤前に歩いた。

300mという標高が体力維持に好適だった。都会の山だけに早朝は

野外生活者やシンナー吸いの少年に出会ったり。アライグマもいたな。

色々と思い出すことの多い道だが、転居し此の数年間は歩いていない。

猿の架け橋から上がってくる尾根道が合流する場所。ここも間伐され

展望が良くなった。ロープウェイの駅舎やハーブ園の温室等が見える。

頂上近くの東屋で小休止。座っていると数組のハイカーが通過された。

やっぱり日曜日だな。広場にケルンが出来ている。岩質から他所から

運ばれたものだ。高校の山岳部とかがボッカで運んできたのだろうか。

更に西へ進んで再度山ドライブウェイを渡る。大龍寺へは二本松林道

から猩々池を経由してもよいが尾根道を行くことにした。だが単調に

過ぎる。歩いていて眠たくなってきた。家族は足が痛いと文句を言う。

再度山に寄ろうという提案は、家族が即座に却下する。大龍寺西側の

全山縦走路に入る。ここから鍋蓋山までは常にハイカーの多い区間だ。

それを除けば明るく広い縦走路は緩やかで歩き易い。少し目が覚める。

眺望の良い稜線ではないが、一箇所だけ露岩があって神戸港が望める。

ここでも座り込んで水分補給。眼下の谷が大師道のある再度谷だろう。

松の枝葉に隠れているが右に見える尾根が、今日下ろうと思う防火道。

鍋蓋山頂上に到着。伐採されて特に西側の眺望が良い。新しく大きな

山名標識が出来ていた。ところがよく見ると鍋蓋山展望所って表記だ。

なぜ山名だけにしなかったのか。会名は裏に記す位の謙虚さが欲しい。

広く平坦な頂上は休憩適地。それだけにいつ来てもハイカーで混雑だ。

昼食を摂るグループも多いが好きになれない雰囲気。なんでだろうか

いたたまれない気分になってしまう。腰を降ろさずにさっさと下ろう。

ほんの少し東へ戻り、南へ下って行く道に入る。全山縦走路の広さに

比べると心許ない細さだが、二本松林道に着くまでは公認の一般道だ。

七三峠に着くが、此処は地形的に峠らしくない所。名前の由来も不明。

普通に防火道という場合は二本松林道より南を指すが、七三峠以南も

その様相となる。ネザサの原が陽光に輝いている。熊笹やミヤコ笹を

好ましいと思う事は多々あるが、ネザサを綺麗だと思ったのは初めて。

波打つようにアップダウンを繰り返す尾根を歩いて行くと、不思議な

公設道標に出合う。初めてならどっちに行けば良いのと言いたくなる。

手書きで付記されているがその気持ちも分かる。左側の尾根筋を進む。

ネザサに覆われたピークに出る。振り返れば鍋蓋山の主稜線が見える。

山頂より西側も間伐されているようだが、眺望の良い道なのだろうか。

遠い昔に菊水山から歩いたが、今は交通費がかさむので行きたくない。

この区間の方が防火道の雰囲気を良く残している。もちろん往時には

草刈りされてこんな状態ではなかった。防火道というと能勢の山々が

有名で規模も大きかったが、現在はどんな状態になっているのだろう。

二本松林道の切通しに降りて来たが、驚いた事に此処にあった木柵や

看板が朽ちていた。最後に見たのはいつだったのか、自分のブログを

見返すと何と10年前だった。時が経つのは早い朽ちていても当然だ。

尾根に乗り直すと神戸東線一四鉄塔がある。鉄塔下はコンクリート

平らに打たれていて休憩適地。最近に西側が伐採されて眺望が広がる。

右に明石海峡大橋。左に菊水山。この両方を同時に眺められる好展望。

此処へは何度も来ているが初めて見る景色だ。関西電力の伐採基準が

変わって低い所で刈るようになったのかも。鉄塔下に座り込んで昼食。

新神戸のコンビニで買った菓子パン。最近は面倒になって自炊しない。

高圧鉄塔からは巡視路が南西向きに下っているが、いわゆる防火道が

南側の尾根伝いに続いている。入り口の笹薮が濃いので誤り易いかも。

旧の公設道標。行き先は塗りつぶしあるが119プレートは現役かも。

防火道って概ね尾根筋にあるものだが、平野谷東尾根では一ヶ所だけ

外れる所がある。出だしが急斜面なので西寄りから回り込むのだけど、

踏跡が薄くなっていて迷ってしまった。この先で再び尾根に合流する。

木陰の道は比較的よく残っている。この峠状にも公設道標があったが

無くなってしまった。左側の谷を下って行けば再度第五橋に出られる。

大師道へのエスケープルートとして何度か利用している。右側は不明。

最後のピークが見えて来た。一番大きく景色が変わっているのは此処

であろう。防火道が無雪期のスキーゲレンデの様にうねっていたのに

すっかり樹木に覆われてしまった。此処はいったん鞍部へ急降下する。

この下りは25度くらいあるかな。通行が多かったころはカチカチに

踏み固められ滑りそうで怖かった。防火道では数少ない難所であった。

しかし今回は土が柔らかくなっていて、難なく下って行く事が出来る。

最後のピークに登り着く。何度もアップダウンを繰り返した防火道も

後は下るだけ。鍋蓋山がずいぶん遠くに見える。南側は神戸港の眺め

が良かったのだが、樹木が伸びて視界が狭くなった。休まずに下ろう。

少し下った所で道は二分する。右の道が旧の一般道で兵庫区梅元町に

下る。大倉山の北側の辺りだ。だが目的地が三宮なので左の道を進む。

諏訪山公園の西側に下り着くので、トーアロードまで一投足の近さだ。

トタンのフェンスに沿って進むと、尾根が狭まった所でトラロープが

フェンスと樹木の間に張り巡らしてある。フェンスの倒壊防止の為だ

と思われるが通行できない。よく見ると左下の急斜面に迂回路がある。

崩れやすい砂の急斜面を斜降するので、一般にお勧めできないルート。

その先も草木繁って荒れ放題で、道迷いして谷底に下ってしまいそう。

どうにか過去歩いた記憶を呼び覚まし、登山口に無事出る事が出来た。

谷を挟んで山手女子のグラウンド。大師道から諏訪神社へ抜ける時に

見ているので位置関係を再認識。七三峠以降は誰一人とも出会わない。

登山口に難があるので一般にはお勧めできないが、静かに歩ける道だ。

 

今日のBGM 


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