摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

大文字山(465m)から北白川へ下る・・・京都市左京区

京都で4時間の空き時間。四条に居たら清水山辺り。京都駅付近なら

稲荷山。この日は三条に居たので大文字山で時間潰しをしようとなる。

ましてや穏やかな晴れの日。でも二週間前行ったばかり何処を歩こう。

あくまで時間潰しなので昼食が優先。前回に大文字山の帰りに寄った

聖護院の食堂に行こう。11時30分開店なので平安神宮で時間調整。

此処には素敵な建築の府立図書館もあるけど、雨の日に取っておこう。

割合に閑散とした境内。昭和54年に再建された本殿なので観光的な

見所は少ないし、御利益は御金神社に百歩譲りそう。インパウンドな

参拝客もチラホラって感じ。修学旅行生は北野天満宮の方が好みかも。

大型バスなら平安神宮だけど、現在は修学旅行もタクシーで回る時代。

安くて美味しい昼食を摂った後、食堂の前から西に進むと金戒光明寺

丸太町通の岡崎神社脇に抜けて哲学の道に出る。更に西進し法然院下。

山門へは向かわず墓所から大文字山への道に入る。境内に標識は無く

森に入ってから公設道標を見る。なので初見だと難しい登山口である。

だが銀閣寺北側から回るよりは、火床に直接的に上がる事が出来る道。

尾根に上ると見晴らしがあって、愛宕山がすっきり見える。手前には

吉田山の東斜面。神楽岡の借家群が整然と並んでいる様子が興味深い。

山上のカフェ茂庵は人気店だったのに不定期営業となっているらしい。

前回は第二画を歩いたので今日は第三画を歩いてみよう。風は穏やか。

1月25日の寒さが嘘のよう。昔は2月が一年で一番寒かったとけど、

ここ数年は1月が寒さのピークみたい。清々しい青空が広がっている。

第一角の上端から。左下の小山は真如堂金戒光明寺の森。ところで

大文字山って意外に宗教的な物がありそうで少ない。金尾に大師堂が

あるけど割合小さな物だし。山頂を越えて雨社までは祠の一つもない。

火床から20分弱で山頂に到着。時刻は14時30分。もう遅いのか

閑散としている。市街の眺めより南の音羽山や醍醐山の山塊が印象的。

下りは多少でも初めての道を歩きたいと、スマホの地図アプリを開く。

北尾根への道は谷の源頭に降りてから回り込んで行く。正面に比叡山

1月17日に歩いているので四明岳、駐車場、大比叡の位置が明瞭に

分って中々面白い。目を凝らせばロープウエイの山上駅も視認できる。

此処までは過去2度歩いている。左へ下れば中尾の滝がある谷である。

今日は尾根筋を直進して行こう。しっかりした道が北側へ続いている。

ただし路傍の樹木に赤ペンキでマーキングが施されて非常に汚らしい。

こんなに明瞭な尾根道で行先を示さないマーキングは無意味でもある。

展望も無く目を引く植生も無いが、稜線漫歩の気分が味わえるだけに

人工的な汚損は残念だ。丁寧な道普請がされているのにこの落差は?。

大文字山北斜面は網の目のように歩道がある。随所に勝手な命名をし、

山名板や地名板が乱立していると聞いていた。この鹿山も尾根上の瘤。

とても山の名が付く場所でない。綺麗な山名板が一枚だけなのは救い。

京都人の自然に対する美意識が問われる所だなと思う。緩やかだった

尾根は末端で姿を変える。白川の支流に下り着く手前は急斜面となる。

川床近くは崩れやすい真砂の斜面、道筋も一定していないようだった。

降り立った上流には小滝があって、小さな私設ベンチが有ったりする。

夏季なら休憩したいが先を急ごう。通行する人は多いはずだが荒れた

河原が続く。対岸に凄まじい崩落地を見る。廃施設もあるが何だろう。

同じ花崗岩質でも六甲山とは全く異なる白い真砂。白川の名の由縁に

違いない。清冽な水質に遡行してみたい気もするが、滝を巻く場合に

崩れ易い真砂の急斜面は危険に違いない。それを犯す元気はもう無い。

すぐに白川本流に出合う。多くのパイプがあり上流の廃墟は取水施設

だったみたい。鉄橋があったが入口の扉は施錠されていて乗り越える。

対岸の道路は比叡山へのバス道。比叡平や大津に抜けられる道である。

その故に一般車両や工事車両の通行が多い。最初の内は歩道がなくて

恐々歩いていたが、やがて狭いながらも歩道が現れる。四条あたりの

白川に比べて水量が多くて驚く。何処かで鴨川へ放流されてるのかも。

歩いて来た道路は志賀越道という旧街道とか。面白いのは東一条から

鴨川の荒神橋まで斜めに貫いている所。碁盤目状の京都の街にしては

珍しい。亀形の飛び石が楽しい鴨川。北に見える雪山は桟敷ヶ岳かな。