摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

衣笠山(201m)・・・京都市右京区

先月のこと。開店直後の食堂に伺ったら常連さんで満員になるからと

断られてしまった。それが心残りで再訪する。時刻は12時45分だ。

無事おいしいランチを頂いて、店を出たのは13時30分過ぎである。

取り敢えず北野天満宮の梅を見に行こう。梅園は有料だが境内にも

梅の木は多いので十分楽しめる。梅の場合は桜のように一斉に満開

という事はないので、まず々の開花具合だろう。人出も一段と多い。

有料ゾーン外から紅梅を見る。外国人観光客も多いが、それ以上に

大型バスで来た日本人観光客で溢れている。マスク姿は変わりない

がコロナ禍以前の状態に戻ったよう。ただ中国語は聞こえて来ない。

境内を北に突っ切っても良いが、いったん大鳥居に戻り境内西側の

歩道を歩いてみた。すると紙屋川に架かる橋がある。橋の上には塀。

橋の右側は有料ゾーンのようで、左側は一般の通行も許されている。

平野神社の下手に出て住宅街を北に向かって歩いて行く。少し迷い

遠回りになってしまう。北へ上がりすぎた感じ。金閣小学校の門前

から見える山が衣笠山だろう。もちろん此処を進む訳には行かない。

通称きぬかけの道を南西に進んで立命館大学前のバス停。大学より

派手な美術館に目が行ってしまう。その名に記憶が呼び起こされる。

伏見区大岩山で見た奇妙な鳥居の作者だ。そんなに偉い人なのか。

堂本印象美術館西側。立命館大学のバイク置場との間の道を上がる。

園児を迎えに来た自転車や乗用車が沢山。遠慮がちに歩いていくと

東の方向に比叡山大文字山を見る。その間が平坦なようで面白い。

突き当りに遊歩道っぽい土留め階段がある。特に標識などはないが

入っても良いということだろう。此処まではフリースを着ていたが

階段を登り切ると暑くて仕方なく脱いでしまう。すっかり春の陽気。

土留め階段はすぐに終わってしまう。その先は広い道のように思え

進んで行くが何か変な感じがする。足元の土がフワフワと柔らかい。

昔からある山道ではなくて、ごく最近に作られたバイパスのような。

ひとしきり急登をこなすと平坦になって主稜線に乗った。此処から

山道は南西に伸びる。他にも踏跡があるがさして確かなものはない。

この周囲は私有地が多いはずなので、安易に入り込むのは避けたい。

思ったより平坦な主稜線。麓から見上げた山容に似ず、こんな道が

長く続いた。最後ほんの少しだけ盛り上がりを感じるとそこが頂上。

私製山名板が一つ。やや乱雑な雰囲気の場所だが東西が抜けている。

まず西側を見てみよう。南西にポンポン山、小塩山。正面に唐戸越。

保津峡を挟んで左側に愛宕山がかろうじて見える。逆光なのでやや

印象が薄い。龍安寺、御室寺、成就山も近いはずだが同定出来ない。

次に東側。此方のほうが展望が広い。いわゆる勝手伐採と思われる。

それゆえ乱雑な林相だが、それなりの年数を経て落ち着きつつある。

こうした行為には批判的だが、展望がなければ来ていないのも事実。

正面に比叡山。左端に大文字山の火床が。更に立ち位置を変えると

北東に白く雪をかぶった蓬莱山が望める。住宅街の海に島のように

浮かんでいるのが船岡山である。そして左下には金閣が見えている。

日差しの加減か金色に輝いておらず、黄土色に見えるのが少々残念。

そうこうしていると空身の御夫婦が登って来られた。やはり初めて

のようで景色について少しお話する。とても都会的な方々であった。

山頂から南側にも、最近に作られたような切り開きが下っていたが、

何処に行き着くか分からない。大人しく元の道を戻ることとしよう。

主稜線より西側は龍安寺の寺領らしい。分岐もあるが入らぬが良い。

主稜線から衣笠幼稚園への急な下り。昔からの道があるのに気づく。

カチカチに固まった赤土で滑りそう。家族はそれを嫌がって上りに

使ったバイパスを下って行く。ずっと丸木階段まで並行して続いた。

路傍に狩猟者向けの貼紙があった。現在地は衣笠山国有林内であり、

八十八ヶ所巡りの成就山は住吉山国有林というらしい。その間には

龍安寺の領地や私有地の範囲が広く、縦走するのは難しそうである。

下山後は船岡温泉に向う。湯殿に入った瞬間、テルマエ・ロマエ

ルシウスの気分を味合う。全てがミニサイズ。でもサウナと露天の

水風呂を行き来するだけで2時間経ってしまった。料金は490円。

ランチが主目的なので衣笠山だけ歩いたが、双ヶ丘や成就山。それに

船岡山を組み合わすと適当な一日コースになるかも。船岡温泉は実に

楽しかった。地元常連さんや外国人観光客と一緒の入浴も得難い経験。