摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

沓掛山(414m)みすぎ山(430m)・・・京都市・亀岡市

今日は亀岡の宿に泊まる。併設する入浴施設が気に入っていたのだが、

来月から値上げになるという。ならばと今月末に予約を入れておいた。

天気が良ければ牛松山に行こうと考えていたが、明日は雨となる予報。

さてどうしようか。3年前に一度歩いているが唐櫃越の道で亀岡まで

あるこうか。JRの運賃200円分の節約にもなる。阪急上桂駅下車。

駅前の道を西に向かい真直ぐ進む。時刻は8時、通勤通学の人が多い。

駅からの道は、10分も歩けば竹林に吸い込まれる。墓地を過ぎても

また竹林が現れてしばらく続く。道はあくまでも緩やかだ。ずいぶん

歩いたように思うが、左下に桂坂の住宅街が見えて山深さは感じない。

山道に入ってから25分程で、ようやく南向き斜面から尾根上に出た。

すると私製ベンチが現れた。小展望所という看板もある。つまり先に

大展望所もあるという事だが、そこは荒れた雰囲気なのを知っている。

視界はそれほど広くないが、比叡山大文字山音羽山が同定できる。

水分を補給して小休止。思っていたより京都市街の北側が見えている。

まだ々先は長い。腰を上げて少し進めば大きなベンチのある大展望所。

先ほど追い越した男性二人組が休憩しておられた。お邪魔したくない

ので大展望所はスルーしよう。山道はあくまでも緩やかに上って行く。

針葉樹の人工林ではなく照葉樹中心の灌木体であることが唯一の救い。

緩やかな道が急になったかと思うとすぐ沓掛山頂上。三角点の石柱を

見ると、設置した頃より土砂が相当流れているよう。展望は南側のみ。

やや落ち着かない場所だが、私製ベンチが幾つかありしばし腰掛ける。

沓掛山頂上から北へ下ると鴎谷の乗り越し。私設道標やら何やらあり

賑やかな所。亀岡へ抜けず京都に戻る人は、此処で折り返すか桂坂や

嵐山へ下る選択があるよう。更に北へ進むと愛宕山が一瞬だけ見えた。

沓掛山から小一時間は単調な尾根歩き。こんなに長かったかと思う頃、

唐櫃越を示す公設道標が現れた。西京区亀岡市が協力して設置した

とあるが、上桂駅から此処まで一つも見なかったのはどうしてだろう。

林道に飛び出すと唐櫃越(本能寺への道)と記された看板が多数ある。

亀岡の市域に入った事は間違いないし、唐櫃越への熱量をひしひしと

かんじる。ここからはずっと林道が、みすぎ山の頂上直下まで続いた。

舗装林道終点に広いヘリポート跡と思われる所がある。隅のベンチで

甘栗数粒の大休止。3年前来た時より樹木が繁りスッキリしない眺望。

此処からの林道は一見未舗装。実際には随所がコンクリ敷きだったり。

途中で大型の望遠カメラを持った人と擦れ違う。林道終点から愛宕山

前回は高圧鉄塔の多さに目を奪われていたが、足元の保津峡に鉄橋が

見える。それも山の尾の両側。なるほどこの景色を撮られていたのか。

ちょうど山陰線の列車が通る。それに加えて保津峡下りの舟が5艘も

連なって下って行った。この景色こそコースのハイライトに違いない。

みすぎ山頂上には鉄塔が有り西側が開けているが亀岡市街は見えない。

少々退屈さを感じて鉄塔の銘板を見てビックリ。大黒部幹線だったと。

ところが帰って自分のブログを振り返ると、三年前に気づいていた事。

それを忘れてしまい、改めてこの高圧電線の長大さに感心したお粗末。

山陰線の鉄橋が見える事も、沓掛山の三角点も三年前に見ているのに

記憶に残っていなかった。そろそろ危ないな。みすぎ山からの下りは

急峻である。4時間以上かけて稼いだ高度を1時間弱で下ってしまう。

篠町山本の登山口に下って来た。此処には文化庁選定歴史の道という

案内板がある。唐櫃越は老ノ坂と併せて選ばれている。ただ京都側に

このような案内板は無かった訳で、その温度差を感じずにいられない。

明智光秀の軍が本能寺を襲うのに、使ったというのも根拠が無いとか。

鵜ノ川沿いの歩道を進み山陰線を潜り、トロッコ嵐山駅前に出て来た。

乗車する外国人観光客を見物しつつトロッコ列車の到着を待ってみる。

失礼だが面白い。というか昔に海外で右往左往していた頃の自分達を

見るようだ。さて駅からは保津川沿いに道がずっと伸びているようだ。

一帯は増水時に遊水地となるらしくて、背高泡立草とススキの草原だ。

歩いて来た道にはトロッコ駅と保津峡下りの乗り場までの観光馬車が

運行されていた。道の脇に寄って馬車を見送ればみすぎ山が望まれる。

唐櫃越の山歩きは、阪急上桂駅とJR馬堀駅の間とされる場合が多い。

しかし此の河川敷の道を使えば、JR亀岡駅まで車道歩かずに行ける。

馬車道の終点は保津橋の近く。すぐ右にはサンガスタジアムが見えて、

橋を潜りスタジアムを回り込めば亀岡駅。歩き足らない人にはお勧め。