摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

長尾山(296m)遍照寺山(167m)・・・京都市右京区

此の日は何故か朝起きても調子が良かった。前日は大岩山を歩いた後、

JR二条駅近くのビジネスホテルに投宿している。朝食付きプランだ

ったが、まずまずの美味しさ。ゆっくり頂いて早めにチェックアウト。

f:id:aw2q:20220312153548j:plain

JR嵯峨嵐山駅に到着したのは11時。勝手知った道をブラブラ歩き

大覚寺前のバス道へ。此処に門柱があるという事は以前は境内だった

のだろう。沿道は瀟洒な高級住宅街。大覚寺の関係者のお住まいかな。

f:id:aw2q:20220312153731j:plain

大沢池に背を向け信徒会館前を西へ進み、すぐの辻を北へ転じて行く。

つまり府道136号線(大覚寺平岡線)を辿っている。とても大きな

家が点在し、清浄で豊かな農村いや山村風景が広がる。気持ちが良い。

f:id:aw2q:20220312153827j:plain

沿道に台杉の栽培地が現れた。庭木用に特異な形に仕立てられている。

一本から多数の幹が伸びている。此れを見て思い出したのが摩耶山

寒谷五郎杉。なるほど稀に自然発生する姿を、庭木に模しているのか。

f:id:aw2q:20220312153918j:plain

道なりに北へ進む。石垣が現れると嵯峨天皇陵の入口。ご近所の方が

数人で賑やかに井戸端会議されていたので、全体写真が撮れなかった。

山上陵への毎日登山をして来られた方達のようだ。立ち止まらず進む。

f:id:aw2q:20220312154332j:plain

石段は短い距離で九十九に登って行き、しばらくで嵯峨野を見下ろす。

大沢池は樹林に隠れているが、遠くに広沢池が見えている。後で歩く

遍照寺山も見えていたが、同定できていない。それが迷う遠因となる。

f:id:aw2q:20220312154417j:plain

山上陵までは採石が敷き詰められた階段となっている。4年前の写真

を見ると地道と丸木の土留階段なので、ごく最近に整備されたようだ。

九十九だった道が北側へ真っすぐになると、やがて陵墓が見えてくる。

f:id:aw2q:20220312154444j:plain

嵯峨山上陵は「さがのやまのえのみささぎ」と読むらしい。方形の陵

の周囲は歩道が一周している。向かって右側の歩道に入り、西へ下る

山道に入って行く。すぐに登り返して北側が抜けた展望所に辿り着く。

f:id:aw2q:20220312154545j:plain

愛宕山の山頂付近は雪が舞っているらしく、時折白いガスに包まれる。

控えめな私設ベンチが3基あり良き休憩場所となっている。もう少し

西側にも倒木を利用したベンチが有るが、そちらは南側の眺めが良い。

f:id:aw2q:20220312155130j:plain

更に主稜線を西へ下って行くと京見峠に至る。真っすぐ長尾山頂上に

行かず北側にある菖蒲谷池に立ち寄ってみよう。地理院地図によると

直線距離250m程のよう。実際大して下りもせず水面が見えて来た。

f:id:aw2q:20220312155353j:plain

南北600mと細長い灌漑用溜池。北側は嵐山ー高雄パークウェイに

接して園地になっている。冬の今は人影も無くて番犬が大声で吠えて

いるのみ。管理釣り場のようで密漁を咎める看板が周囲にやたら多い。

f:id:aw2q:20220312155443j:plain

池の北端まで行ってみようと思っていたが、雰囲気が悪いので止めた。

西側の斜面に道が上がって行く。地図にはないが主稜線に戻れそうだ。

池畔では小雪が舞って薄暗かったのに、日が差してポカポカしてきた。

f:id:aw2q:20220312155738j:plain

高みに向って道なりに歩いて行けば主稜線に戻る。京見峠から30分。

中途半端な寄り道だ。花崗岩の山肌にシダ藪。生育の悪い疎林が続く

様子は姫路の山を思い出させる。頂上の手前が割に急登で息が上った。

f:id:aw2q:20220312155819j:plain

長尾山頂上に到着。三等三角点があって点名は嵯峨。倒木を利用した

簡素な私設ベンチが有る。枝を利用した脚が立体オブジェの如くある。

やや霞がかかったようで展望は冴えない。蛇行する桂川が目立つのみ。

f:id:aw2q:20220312160056j:plain

頂上から主稜線を西側へ進み231標高点を過ぎると、正面に円頂が

見えて来る。これを遍照寺山と思ったのが迷った原因。右側に伸びる

尾根が目指していたピークだったが、改めて写真を見ても分かり難い。

f:id:aw2q:20220312160123j:plain

後宇田天皇陵から上がって来る林道に出る。北側は住宅が迫っている。

さて京都市観光協会のサイトによると、遍照寺山は広沢池北岸に位置

する231mの山となっている。他に公式アナウンスは見当たらない。

f:id:aw2q:20220312160144j:plain

先程見た円頂の山は標高222m、広沢池北岸のピークは167mに

すぎない。長尾山の肩にあたる所に231m標高点があるが、そこが

本当の遍照寺山頂上なのか。峠から南へ少し下ると西側に道があった。

f:id:aw2q:20220312160248j:plain

この時はネットで見た幾つかの山行記録しか頭にない。この先に峠状

から南へ登れば遍照寺山頂上というものだ。ただ地図を印刷してきて

ないので記憶だけで歩いている。それにしては道が南側へ寄り過ぎる。

f:id:aw2q:20220312160311j:plain

此処で間違えた。左斜面を斜上して行く道に入ったのだ。最初の内は

良く踏まれていたが段々と心細くなる。10分も歩いた所でシダ藪に

踏跡は消える。これは違うとようやく気付き元の分岐まで戻って来た。

f:id:aw2q:20220312160356j:plain

改めてトラバース路を直進する。路傍のシダ藪が刈られて最近に整備

されている。南からの陽光を浴びて明るい。京都の里山というからに

暗い針葉樹林を予想したが全く違う。右に見える高みが目的地なのか

f:id:aw2q:20220312160428j:plain

峠状の所から南側に緩やかな尾根を辿って行く。此れも想像とは違い

ピークハントらしさは全くない。尾根筋を逍遥するように進んで行く。

踏跡は間断なく続いているので、少なからず訪れる人々はいるようだ。

f:id:aw2q:20220312160446j:plain

展望はほぼ皆無の藪尾根だが一ヶ所だけ北西が抜けて、愛宕山の姿を

望める所があった。手前の長尾山の連嶺と相まって形よく見えている。

他に展望所はないので、実質的に此処を頂上としても良いかと思われ。

f:id:aw2q:20220312161022j:plain

その先で踏跡が乱れ小さな空地がある。この先の尾根は下って行くし、

恐らく此処がネットでハイカーが遍照寺山とする頂だろう。嵯峨富士

遍照寺山と書かれた私製山名板が、近くの灌木に一つ吊るされていた。

f:id:aw2q:20220312161119j:plain

峠状に戻り下山に掛かろうとするが、行きたい南西方向には道がない。

北側の222pに上がる踏跡が顕著だが、無駄に体力を使いたくない。

よく見ると北東へトラバースする切り分け道があるので入って行こう。

f:id:aw2q:20220312161140j:plain

急斜面を横断するような所もあったが、無事尾根道に出る事が出来た。

どうやら此の道は222pから下って来るようで、我々が歩いた道は

そのバイパスだったよう。後は良く踏まれた尾根道をどんどんと下る。

f:id:aw2q:20220312161158j:plain

尾根は次第に方向を変えて南に向かって行く。眼下に広沢池が見える。

これからが少々問題がある。池の東側に園地が見えるが、宗教団体の

所有地であり立入り禁止。此処から直接広沢池へ下ることは出来ない。

f:id:aw2q:20220312161240j:plain

尾根を下って行くと峠状の所に出る。園地に下る階段に立入禁止の札。

南側の展望園地にもロープが張ってあった。それを避けて東側へ下る。

公道に出ることが出来てホッとする。後は車道沿いに広沢池を目指す。

f:id:aw2q:20220312161331j:plain

観光協会の写真には嵯峨富士と呼ばれる167mのピーク。その裏に

標高点のある222mピークが覗いてる。だが標高は231mだとか。

本当の遍照寺山の頂上は何処だろう。ただ単に寺領地を示す名前かも。

f:id:aw2q:20220407132444p:plain