摂津本山駅に用事があるので、12時前に家を出る。ついでに何処か
歩こうと思う。だけど特に行きたい所はないので、とりあえず歩いた
ことの無い所にしようと考えた結果、黒五谷道と薬大尾根を思いつく。
駅前で用事を済ませ、岡本八幡神社に来ると12時30分過ぎとなる。
思ったよりも境内の樹木が紅葉している。八幡谷道に入って打越峠を
目指す。9月に歩いた谷底を垣間見るが、随分以前の事ようにも思う。
その時に咲いていたヤブランは、黒い実を沢山付けていた。変わって
ヨメナ(たぶん)が盛んに花を咲かせていた。よく似た花が多いので
あんまり区別出来ていない。何度も歩いた道なので休まず淡々と進む。
13時28分、打越峠が見えて来た。此処まで6組のハイカーと擦れ
違っている。峠にも人がいたので、少し下った路傍の伐木に腰掛けて
小休止する。谷道に入ってからは植林帯が続き紅葉している木はない。
打越峠からダラダラ下ると黒五谷の流れに突き当る。此処の下流には
小滝が連続し、それなりの渓相と聞くが、上流側は全くの平流である。
それはさておき、対岸に渡った所に落葉樹が多いという記憶があった。
今までの暗い針葉樹の植林帯から一変して、明るい林が広がっている。
見上げれば紅葉したモミジの木もチラホラ。だが自然林という感じが
しない。木々が等間隔で立っている。意図的に植林されたと思われる。
右から歩いてきた。直進すれば住吉谷に至るが、今日は北西に伸びる
黒五谷沿いの道に入る。此処からゴルフ場までが歩いた事のない道だ。
何処かピークを目指す訳ではないので、意識しないと歩かないだろう。
分岐からもモミジの木が続いている。日当たりの良い所では色づいて
いるが、ほとんどは緑のままなので、月末にかけて長く楽しめそうだ。
知らないのはお前だけだと言われそうだが、新しい発見に嬉しくなる。
分岐から300m程歩けば、丸木を並べた素朴な私設ベンチが現れる。
全部で四基あって団体の休憩も可能だ。でも今日は無人でとても静か。
予定の行程からすると中間地点となるので、昼食を兼ねて大休止する。
といってもビスケットと温かいコーヒーだけ。今日の行程を考えれば
十分なカロリー補給だ。ベンチからの展望は黒五谷の堰堤越しに見る
打越山と七兵衛山。とても500m近い標高があると思えない貧弱さ。
うららかな秋の日差しを浴びて、ボンヤリと30分近くも休んでいた。
ベンチの周囲もモミジの木が立ち並んでいるが、全てまだ緑色である。
少し進み見上げると紅葉した大木。モミジは400m程も続いていた。
さて谷が浅くなり道が流れに近くなると、モミジの植林帯は無くなり、
六甲らしい照葉樹林帯となる。さらに進むとミヤコ笹も現れたりする。
此の先では素朴な石畳が有ったりする。薪炭の搬出路であったのかも。
14時37分、魚屋道に飛び出す。ゴルフ場の猪除けの柵のある所だ。
此処だったのかと思うが、黒五谷への道が有ったなんて気づいてない。
いつも退屈しつつ歩く平坦な部分。此処から風吹岩までが意外に遠い。
緩やかなアップダウンを30分も歩いて風吹岩の手前の丘。鉄塔工事
の資材置き場だった所から六甲最高峰を望む。さて風吹岩には新しい
名札が架けられ、ローマ字で「カザフキイワ」とルビが振ってあった。
「カゼフキイワ」と思っていた。家族に聞いてもそう思っていたよう。
ウィキペディアにも「カザフキイワ」とあるが、参考文献等少なくて
根拠は薄い。まあどちらでも良いが、我々が無知であったと云うこと。
長い間山歩きをしながら、知らない事が多くて愕然とする日々である。
魚屋道を下って行き、金鳥山への分岐から180m先にある次の分岐
を右に入る。道標の類はないけれど、此処が薬大尾根道の入口だろう。
最初の内は標識杭がやたらと多いのが気になったが、とても良い道だ。
おまけに広々と草刈りがされている。手元の2012年版昭文社地図
には赤線がなく、ヤマップのアプリにも登録されていないのが不思議。
下って行くと高圧鉄塔に突き当る。工事が行われるらしく広く草刈り
されている。大阪方面の眺めが素晴らしく良さそう。工事終了後には
良い展望所となりそうだ。少し下ると私的に整地された小平地がある。
八幡谷や七兵衛山に比べると慎ましいパラダイスだが、どうだろう?。
関西電力が草刈りしなければ、展望所も休憩場所も無いので作られた
とは思う。只ホームセンターで売ってる板はどうも自然にそぐわない。
相変わらず良い道が下って行く。本山支線という高圧線が走っている
ので、その下が広く伐採され展望が良い。急な所も無い歩き易い道だ。
こんな道を知らなかったとは、風吹岩の読みに続いての無知を恥じる。
秋の日が落ちるのは早い。15時30分だが傾いた西日に照らされて、
南港辺りのビルが良く見え、大阪湾を挟み和泉山脈もくっきりしてる。
高圧線さえも白く輝いている。隣接する尾根道と比しても好展望の道。
神戸薬科大の前に下って来た。どうして今まで此の道を歩かなかった
かと言うと、摂津本山駅と甲南山手駅のちょうど中間点に下りるから。
どうも駅から近い道を選んでいた。と言っても全然大した距離でない。
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