昨年4月14日生駒山系を歩いたら、とても桜の木が多い所と知った。
花はほぼ散っていたが、機会があれば又来たいと思った。そんな日が
早くも訪れた。今年は三月末に急に暖かくなり里桜は例年並みの開花。
しかしその後に寒さがぶり返して山桜の開花は遅かったよう。そんな
様子をネットで知り少し遅いかも知れないが行ってみる。阪神線から
難波駅で近鉄に乗り換え瓢箪山駅へ到着。まだ7時で通勤客もまばら。
ジンジャモール瓢箪山という垢抜けない名のアーケード商店街に入り、
石造りの鳥居から東に向かうと瓢箪山稲荷神社に至る。ご婦人たちが
何やら賑やか。昨日咲いていなかった藤の花が一斉に開いたと大騒ぎ。
確かに濃い紫色の花が咲いていた。稲荷社からは又東に向い一直線の
道を歩いて行く。住宅街の道がだんだん傾斜を上げると、何故か畑に
突き当る。此処だけ宅地化されてない。細い農道でグルっと回り込む。
昨年に廃館となった郷土博物館からは又東へ一直線。やがて客坊谷の
ハイキングコース入口に着く。何の変哲もない登山口だが、生駒山の
大阪側の入口としては、ゴミも廃屋もなくとてもスッキリとしている。
道も良く整備され歩きやすい。河原を歩くような所は無く、客坊谷の
左岸斜面をひたすら辿って行く。昨日は大阪万博の開幕日であったが
午後に強い雨が降った。その為に土は湿っているがぬかるみ等はない。
やがて前方に大きな橋が見えて来る。下から見上げると廃墟のようだ。
現在らくらくコースという遊歩道として利用されているが、その為に
建造されたとは思われない。ネットで調べてみるが全く分らなかった。
山上施設の建設作業用道路或いは、観光用ドライブウェイだったかも。
前回は此処から橋を渡ってらくらくコースを進んだが、今回は客坊谷
コースを詰めてみよう。左岸の斜面をひたすら土留階段が登って行く。
標高を上げて行くと次第に足元が、薄桃色の花びらで敷き詰められる。
やっぱり昨日の風雨は少なからず影響が多かったようだ。ほんの数日
来るのが遅かったかな。僕らの広場の桜は既に散ってしまったろうか。
そんな不安を胸に客坊展望台に到着する。はたして此処の桜は去年も
咲いていた。染井吉野ではないので葉も着いているが、満開と言える。
単に林道の余地だが、展望は頂上より良い。正面にはハルカスが高い。
客坊展望台から直上すれば旗立山を経由しぼくらの広場に至るのだが、
それでは少し勿体ないと林道を北側に廻ってみよう。最初のカーブを
曲がると斜面一帯が山桜の花で彩られていた。間に合ったと安堵する。
府民の森の園内マップによると、この付近は山桜の園休憩広場と云う。
だけど広場らしき所は何処にも無い。府民の森のネーミングセンスは
時代がかったものが多くて頷けないが、桜はその年数分成長している。
適当な所で折り返し山桜の園から、レストハウスに向かう林道に入る。
散り始めているが白や薄桃、濃いピンク等の桜花が斜面を埋め尽くす。
萌え出た新緑の若芽も良いコントラスト。良い時に来られてラッキー。
今日は黄砂が飛来しているそう。振り返ると靄った先に梅田のビル群。
白い花を咲かせた三角錐の樹は何だろうか。摩耶山で見かけるものは
ほぼタムシバだがコブシかもしれず。もっと観察しておけば良かった。
まだ早い時刻のせいか二人しか人に出会っていない。いずれも大きな
望遠レンズ付きのカメラを持たれている。どんな画画でどんな写真を
撮られるのかな。再び客坊谷コースと交わる所で一旦旗立山に向かう。
期待通り旗立山の紅桜は咲いていた。だが昨年は他の桜より大分遅く
開花したと思われたのに、今年は同じ時期だったようだ。急に気温が
上ったせいだろうか。コンクリベンチで親戚から貰った菓子の小休止。
再び分岐に戻ってぼくらの広場を目指す。此の付近の樹は山桜にしろ
人工的に植栽されたものであろう。こんな樹木が自生するはずないと
思う事が多々あるんだけど、それはそれ花見ハイクに何の問題もない。
ぼくらの広場に到着した。一番見たい一本桜は何とか花が残っていた。
さすがに若葉も萌え出ているが満足だ。木の下にあるベンチで休憩と
思って来たが、いざ来てみればその気にならない。此の辺りで十分だ。
ベンチからの眺望はこんな感じだ。本当なら六甲山や淡路島が見える。
近鉄大阪線が難波に向って一直線に伸びている。その左側にハルカス。
先ほどまで休んでいた旗立山の紅桜、その手前には白いコブシの大木。
北側を見上げれば生駒山頂の電波塔群。此の付近の標高が520m程、
とすれば比高差は100m。その間に暗峠が有る訳で存外遠く感じる。
時刻はまだ9時35分だが、生駒山頂には寄らず鳴川峠から下山する。
なので大原山頂上を通る。僅かに奈良県側にあるので公園の範囲外だ。
標高点なので国土地理院の標柱もない。ぼくらの広場一体も本来なら
山頂の一角なのに公設の山名板もない。ある意味不遇の山と言えよう。
頂上から南に下って行く。付近に背の高いコブシみたいな木があった。
花も大きい。たぶんハクモクレンなんだろう。山中で見たのは初めて。
神感寺の裏辺り。南北朝時代に消失したが昭和十年に再興されたそう。
緩やかな尾根を進んで行くと、八重の椿が道沿いに咲いてた。真紅や
真白な花もあるが多くはピンクである。一瞬バラかと思うような花弁。
周囲を見渡しても藪ばかりだが、遠い昔に寺か人家があったのだろう。
ツバキの花はそれほど好きではないけど、ちょっと見入ってしまった。
ところで時刻はまだ10時11分。奈良市内の食堂に午後二時からの
ランチを予約している。この先の鳴川峠から下山すると早すぎるかも。
数分後には鳴川峠に着いた。此処を過ぎると次に奈良県側へ下る道は
約3km先の十三峠だ。途中の尾根にさしたる変化も期待できないし、
どうしようかと考える。時間があるなら遠回りでも初めての道が良い。
という訳で十三峠経由で近鉄平郡駅を目指すことにする。南へ進むと
ミツバツツジの花が迎えてくれる。ふと摩耶山の開花状況はどうかな
と思わずにいられない。東大阪野外活動センターの入口を通り過ぎる。
すると路傍に奇妙なオブジェが幾つも現れる。キノコの形をしていて
幼稚園児なら中に入れるぐらいの大きさ。前述の野外活動センターが
教育キャンプ場だった頃の遺物だろうか。でも何のためか分からない。
鳴川峠からはドライブウェイ沿いに進んで行く。観光用に植栽された
桜が大木となっている。さぞかし年月が経ってるはずと調べてみると、
この道の開通は昭和39年とハムより若い。次のピークに変な建造物。
余りに奇妙な形に驚いて、下からの写真を撮るのも忘れて駆け上がる。
どうやら御二人様向けの展望台らしい。予定外のコースなので事前に
何も調べていない。もちろんドライブウェイ利用者向けの施設だろう。
キリンの首のような吊り階段を上がりきると視界は360度。北側に
生駒山まで続く緩やかな山稜が、花と萌え出た新芽で羊の背のようだ。
南側は信貴山の向こうに金剛山があるはずだが、黄砂に靄って見えず。
家族が無駄に鐘を鳴らす。全く期待していない所だったのでワイワイ
騒いでいたら、先ほど我々の後を歩いていたオジさんが階下で弁当を
食べておられた。ちょっと恥ずかしい。まず々楽しいアトラクション。
眼下の駐車場の周囲も桜の木が多い。散り始めており本来グリーンの
舗装がピンク色に染まっている。此の施設の名称は鐘の鳴る展望台と
いう。近鉄が経営する信貴生駒スカイラインの付属施設のようである。
とすれば通行料を払っていないハイカーはお呼びでないか。通らせて
貰えるだけで有り難い。看板によると此処の標高は460m、階段の
先っぽまで上がるとプラス12m。十三峠へはもう少し南下して行く。
十三峠にはドライブウェイの下にトンネルがあって、東西に舗装路が
交差していた。西側へ下って行けば近鉄服部川駅に至ると道標がある。
だが東側の案内が無い。八尾市域に立っているせいかな。やや不案内。
まあ道標が無くとも東側に下れば奈良県だ。生駒山の東斜面は総じて
穏やかで稜線近くまで耕作されている。下って行くと大規模な畑地が
次々に現れた。畑に近づいてみるとどうやら花卉栽培のほ場のようだ。
信貴フラワーロードという名の道路を渡って、集落の中を下って行く。
先程から軽トラじゃなくベンツやボルボがよく通る。各戸の駐車場も
外車ばかり、花卉栽培は好調なよう。因みに集落の名は福貴畑という。
そのまま真直ぐ下って行けば近鉄平郡駅に到着した。駅舎は素朴だが、
周辺の町立施設は新しく垢抜けている。初めての道では知る事が多い。
生駒行きに乗車し乗換え新大宮駅へ。予約した食堂で遅い昼食を摂る。
今日のBGM・・お花見ハイクはタイミングが難しいって事で