摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

石屋川を遡行して 一王山 十善寺へ

久しぶりに桜トンネルにお花見散歩に行こうと思う。あまり乗り気で

ない家族には、最後に西灘小学校前の食堂で昼食を摂ろうと誘い出す。

灘区桜まつりが開催される河原のコースが良い。9年前も歩いている。

阪神線で行くのは初めてなので、グーグルマップでY字型の川の形を

確かめて石屋川駅で降りる。この時点で川の名前をすっかり忘れてる。

改札口付近には駅名表示が無く、なぜか高架橋に看板がある石屋川駅。

さっそく桜花が迎えてくれるが、手前の一本が五分咲き位でその他は

三分咲きと寂しい。歩道が付いているので河原を歩いて行こうと下る。

これが後の惨事になるとは思いもよらず。そもそも全く違う川だとも。

三面護岸の川は味気無いけど歩き易い。周囲の桜が思ったより少ない

とは思うけど違う川を歩いていると気が付かない。そもそもこんなに

狭い川幅では桜まつりなんて出来るはずない。と考える事さえしない。

ここ数年は物忘れを度々するようになった。好きだった曲の歌手名が

思い出せない等々だ。但し断っておくが前を行く家族はハムのナビで

歩いているだけである。今回のコース選定には全く関わってはいない。

物忘れが認知症の初期症状だとは知っていたが、自分が此処まで酷く

なっているとは思わなかった。つまり今日のブログはそういうお話し。

少し水量が増えて来た。靴を濡らさないために草地を進んで行ったり。

後から調べてみるとJR神戸線、山手幹線も通り過ぎて平野橋の辺り。

まだ々川幅も広くて特別に変な事をしてる感じもない。歩道橋の上を

男性が通って行かれたが、さして我々に注意を向ける様子もなかった。

やがて二俣に出合う。これを見てハムは救いようのない勘違いをする。

右俣の水量を見て六甲川だと思い、ならば左俣は杣谷川だと確信する。

確かに都賀川にも同じような二俣があるけれど、スケールが全く違う。

昨夜の深酒で少々朦朧としていた感はあるが、こうなるともう徘徊だ。

都賀川も二俣より上流を歩いた事ないので、此の風景に違和感はない。

次の橋は阪急の鉄橋。それにしても両岸高いし階段も梯子も現れない。

右岸の幼稚園の屋上で子供達が遊んでる。これはヤバいって思ったら

ヤッホー!、ヤッホー!て声を掛けられる。仕方なく手を振り返すと、

今度は、バイバーイ!って皆に見送られた。あ々早く此処から出たい。

でも相変わらず階段も梯子も現れない。引き返す事も考えたが、また

幼稚園の横を通るかと思うとダメだ。完全に退路を断たれてしまった。

右岸にバス停あり数人待っておられる。目を合せないよう通り過ぎる。

さらに上流に進むと住宅街となる。右岸にいた小学生女子二人連れに

何か声を掛けられた。思い切って何処か上れる所ないかなと尋ねるが、

逆に、落ちたんですか?って聞かれた。いや々そうじゃないんだけど。

家族には、頑張ってください!って、猿の縫いぐるみを振ってくれた。

民家の裏手に低い所もあったが流石に遠慮する。結局こんな所で上る。

左岸の草が生えた辺りを攀じった。ところで此処は何処なのだろうか。

川沿いの道を下って行くとこんな石碑。やっと自分の間違いに気づき

スマホのマップで確認する。一王山は他の人のブログによく登場した

ので名前は知っているけど、一度も訪れた事はない。寄って行こうか。

石柱の左参道の案内に従って山門に着く。朱塗りの鐘楼門が現れるが、

仁王像までマットな朱色で塗られているのは初めだ。案内板に寄れば

此の寺は元々油コブシ付近にあったが、戦火で消失し移転したらしい。

なるほど油コブシの削平地はそういう由来か。境内には毎朝登山会の

山小屋風事務所や茶店があって、早朝にはけっこう賑わっているよう。

参拝を済ませた後、背後の一王山らしき所へ上ってみようと道を探す。

本堂裏から四国八十八か所巡りを模した歩道がある。かなり古い祠が

立ち並んでいる。地理院地図では等高線が描かれてなく平地に見える。

実際歩いてみれば山と云えなくもない。だが一王山は寺の山号である。

しかも油コブシに寺を創建された時に付けられたもの。それ故なのか

最高所と思しき所には、ありがちな標高を記した山名板の一つもない。

町名でもある一王山は、寺の山号と地名であり山の名でないのだろう。

八十八ヶ所巡りを下って行くと変わった石柱があった。高野山奥之院

遥拝所とある。穴の方向に弘法大師が今も瞑想を続けている奥之院が

或るはずだ。各所で遥拝所は見かけるが、此のデザインは優れている。

十善寺は臨済宗永源寺派だが、脇仏に弘法大師が祀られているそうだ。

高野山真言宗なのにと思ったが何となく納得。参道を道なりに下り

高羽町の歩道橋へ。この川底を歩いて来たのかと思うと顔が赤くなる。

川床に居ると周囲が見えず音も聞こえにくい。そんなに交通量の多い

所を歩いているとは思わなかった。途中見たのは高羽町バス停である。

ランチの予約があるので桜トンネルには行けないが少し花見をしよう。

篠原北町公園から御屋敷街に入る。両脇のお庭の桜が見事。その先に

掬星台が見えるのがまた良い。どの木も古木のようで年々伐採されて

いるのが少なからず寂しい。護国神社にも寄りたかったが時間がない。

次の辻から南側へ下って行き都賀川の左岸に出る。こんな大きな川と

石屋川を間違えるなんてどうかしている。食堂の予約時間に間に合い

美味しい昼食を頂いて、妙な散歩に付き合わされた家族の機嫌も直る。


今日のBGM


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