先週に伺った長田区の食堂がとても良かった。違うメニューも食べて
みたいと思って、お店のインスタをフォローする。すると9時過ぎに
日替わりメニューがアップされた。前回は鶏肉だったが本日は豚肉だ。

これは行くしかないだろう。長田区と云えば高取山。コースは歩いた
事のある妙法寺口の川からが良いだろう。食堂には13時半の予約を
お願いした。JR新長田駅に10時20分着と、少々遅めのスタート。

グーグルマップに禅昌寺と打ち込んだら、後はその指示に従って行く。
すると不思議な三叉路に出合う。一瞬トリックアートなのかと思った。
横尾忠則のY字路シリーズより印象的だ。此処は左の道を進んで行く。

さて禅昌寺を右に見て更に北へ進んで行く。無住となったアパートや
墓地の石垣の間を進んで行く。少々不安になったころ口の川自治会の
掲示板のある辻で出合う。此処が登山口。小さな地蔵堂も目印となる。

坂道は民家の駐車場に向かっているが、更に奥へと進む細い道がある。
立派な塀があって何棟か住宅があるが何れも無住のよう。この状況は
前回来た時と同じ。庭先を失礼するように進めば、ようやく山に入る。

すぐに緩やかな尾根の末端に乗った。蚊が多いので虫除けスプレーを
全身にふりかける。家族によると効いたそうだ。この区間もごく短い。
前方が明るくなると風化した岩場が現れ、途端に勾配がキツクなった。

頭上には古い高圧鉄塔が現れた。歩いて来た道はこの鉄塔保守の為の
巡視路なのかも。家族は左側から回り込んで行ったが、ハムは正面を
直上する。その方が効率が良いだろう。斜度は緩いし階段状であった。

登山口から10分少々で爽快な眺めが広がる。日差しが強く、気温も
そこそこ高い。とはいえ5月中旬、風さえ吹き抜ければ涼しく感じる。
海側に目立っているのはJR鷹取駅北の30階建てマンションだろう。

先週歩いた東山から横尾山へのスカイラインが、スッキリ見えている。
低山ながらも、背後が海というロケーションのなせるワザに違いない。
眼下の屋根に真っ青な色が多いのは何でだろう。同じ家主の貸家かな。

見上げると露岩帯はまだまだ続いている。右手の谷側に金属製の古い
手摺りが設置されていた。方向的には次の鉄塔に向かう巡視路用かと
思われる。探ってみたいと思うが、ランチの予約があるので先を急ぐ。

右手にも露岩の発達した尾根がある。下って行けば禅昌寺の境内かと
思われる。昨日さらっとネット検索してみたが山行記録は見つからず。
境内の通行が不可なのかもしれない。向こうに新長田の再開発ビル群。

さらに登って眼下に阪神高速新長田トンネルの入口2つが見えて来た。
楽しかった岩稜歩きも終わり。ここからは藪の中の道が頂上直下まで
続いている。これが地味にきつい。風が通り抜けないのでかなり暑い。

傾斜はなかなか緩まらないし、周囲は灌木や笹で日除けにもならない。
日頃の運動不足がたたって息が切れ、汗が噴き出て足を止めたくなる。
だが食堂の予約に遅れる訳にいかない。ヨロヨロ歩き続けるしかない。

斜面を横切る道が現れると全山縦走路であった。長いと思っていたが
岩稜から藪尾根に転じてから僅か15分でしか無かった。どんだけ体力
ないんだろう。此処は全山縦走路を進まずに石段で荒熊神社に向かう。

神社全体が塗装し直され、しきりに展望の良さをアピールされている。
ところが樹林が成長して眺望はほぼ皆無。かろうじて旗振山が見える
ぐらい。とにかく疲れたのでベンチをお借りして氷水を喉に流し込む。

気が付けば10分も休んでいた。鳥居が数多く並ぶ表参道を進もうと
したが、何だか違う気がして本殿奥に戻って来た。ここに道標がある。
チラ見して矢印の方向に進んだが、改めて見ると意味深い道標だった。

この時は気づかず此処が高取山の頂上かとあっさり思っていた。だが、
東西のピークがあったようだ。此方には三等三角点があったが標石は
境内に移設したと案内がある。取りつけられた電子基準点の扱いは謎。

その後は荒熊神社の表参道に戻って東に向かう。これは無駄な動きだ。
西側のピークから主稜線の踏跡を辿って、東側のピークを目指すべき。
神社の参道、全山縦走路、登山道、この三種の道が入り組んで難しい。

水平路を東側に進んで行くと高取神社の表参道下に着いた。仕方なく
スイッチバックするように石段を上がると、頂上と思われる削平地に
到着した。片隅に高取山頂之碑という石柱があるので間違い無かろう。

西峰から主稜線を縦走してきたら、無駄が無かったのにと悔やまれる。
そんなこんなで時間が押している。隅々まで掃き清められた高取神社
の参道を早足で下って行く。常に修繕されている様で古さを感じない。

この景色を見ると、新田次郎の小説の中の加藤文太郎を思い浮かべる
人は多いだろう。ハムもその一人。此処で詩吟を聴くシーンが浮かぶ。
まあフィクションだろうが、山麓の住宅密集地はその時代の名残りだ。

高取神社から又しても全山縦走路に入ってしまった。此の道は大勢の
縦走者が通行する事で石段が痛むのを嫌って作られた迂回路。通常は
通っても余り意味はない。ただ30m程脇にある大燈篭を初めて見た。

月見茶屋を過ぎると全山縦走路と別れ、長田を指す道標に従って下る。
潮見茶屋、中の茶屋、そしてこの清水茶屋と通過して行く。いまだに
営業されているが、茶屋の多さは往時の毎朝登山人気を物語っている。

最後には高取大明神脇から住宅街に飛び出した。途中の記憶は抜け
落ちていたが前回と同じ道を辿っていたよう。此処だけ記憶にある。
あとはグーグルマップに道案内をお願いし、新長田を目指して行く。

先のY字路にも工業デザイン的なものを感じたが、此方のアパートは
その上を行く造形美。興奮して写真を撮っているとドアの前に座って
いたお婆さんが不思議そうな顔をされていた。予約時刻に食堂に着く。


荒熊神社の道標には「須磨・高取山です」と記されて、東峰と西峰の
イラストも添えられていた。西峰には長田と記されている。此方には
328mの標高点が打たれているが、本稿は三角点の値を標題にした。
今日のBGM