摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

左大文字山(231m)・・・京都市北区

四条烏丸交差点でバス停Dを探し出し、事前に京都市交通局のサイト

で調べた101系統急行バスを待つが一向に来ない。時刻表を見ると

4月より運休しているよう。仕方なく12系統立命館大前行きに乗る。

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金閣寺道バス停で下車し西へ進むと左大文字の火床が見える。今日の

目的地なんだけど、此方側からは上れない。右手に見える白い建物は

カトリック教会。なぜだか左大文字南麓にはキリスト教の施設が多い。

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更に進むと金閣寺の入口。料金所前まで行ってみよう。3月に来た時

には見なかった修学旅行生達の姿が多い。一緒に中まで入らないのか

バスガイドや添乗員がタムロする前庭でも、紅葉は十二分に楽しめる。

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昨年は紅葉時期に京都をウロウロして、寺院にも意外に無料ゾーンが

ある事を知った。いや有料ゾーンの人混みを考えれば、むしろ外側の

方が快適かと思える。再び門外に出て、境内の南側を回り込んで行く。

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更に境内の西側に回り蓮華谷道から住宅街に入る。十字路を右に入る

所に、私設消防道路である旨の古びた立て看板がある。金閣寺の北西

角にあたる部分。緩やかな道を歩いて行くと逆U字形の車止めがある。

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振り返ると衣笠氷室町の家並。家族は屋根を俯瞰するのが好きなので、

この景色が気に入ったようだ。その向こうに見えるのが衣笠山である。

石庭で有名な龍安寺の背後にある山、と言った方が分かり易いだろう。

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事前にネットで調べた際は未舗装の林道だったが、新しい舗装道路に

なっていた。この先で少し幅員は狭くなるが、軽トラなら通れる幅の

車道が続く。金閣寺を守る防火帯の役目も併せ持つのではと思われる。

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金閣寺を背に北に向っているが、火床は東側にあるはずだ。前方に

見える稜線に乗って右に回り込むのだろう。予想していたより迂遠

な行程のようだ。既に火床の標高より高い所にいるように思われる。

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車道の終了点からもスッキリした良い道が続いている。灌木ばかりの

明るい林相である。杉の植林はもちろん無く、松の木さえ見かけない。

一直線の緩やかな山道を進むと、壁のように聳える尾根に突き当った。

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そう思ったのは余りに平坦な道が続いたからで、少しだけ急な部分を

上がれば、右手の鞍部に向って斜上する緩やかな道となる。シダ藪が

見事に刈られている。これはもうプロの仕事だ。何の目的なんだろう。

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鞍部から一投足で小ピークに達する。此処が山頂かと思うが違うよう。

ただ今日の行程では最高所であり標高は238m。此処からいったん

下りが続く。実際の標高差以上に下ったように思うのは何故だろうか。

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小さな登り返し。尾根上のコブのような所が231標高点の大文字山

私製標識が一つだけある。まあ頂上を目指し来る人はいないのだろう。

伐木の丸太で矢印が作ってあった。示す方向に左大文字の火床がある。

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どんどん下って行くと火床に飛び出る。大の字の一番上から見る景色。

こんもりした船岡山の向こうに、如意が岳の大文字火床が見えている。

さらに中央奥には音羽山であろう。頂上の高圧鉄塔さえも視認できる。

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大の字の要まで下ると東西の景色が広がる。佛教大学のキャンパスが

印象的だ。その先にはスクッと姿勢の良い比叡山から水井山にかけて

の稜線も懐かしい。妙法の火床のある宝ヶ池辺りも見えているはずだ。

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西側は逆光となるのでやや暗くなるが、その中で金閣寺が輝いていた。

写真は十倍の望遠で撮ったものだが、肉眼でもそれとハッキリ分かる。

さて、大文字山を除く五山の送り火の山は、基本的に入山禁止である。

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この左大文字も南麓からの正式な道は閉ざされている。なので大きく

迂回して上がって来た。ネット上に此処から強引に下ったという記事

も散見されるが、修道院等の宗教施設が多い事からも絶対に止めたい。

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また登り返し大回りして元の道を戻る事になるが、それは仕方がない。

今日の行程上は一つも立入禁止等の看板は無かった。そこが他の火床

とは大きく違う点。その意を汲んでこの現状は維持したいものである。

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それどころか最近に草刈りがされて、予想以上に快適な散策が出来た。

古都と記された京都市の標識杭を幾つか見たが、何を意味するもので

あろうか。山道の整備と関係があるのか。ネットで調べるが分らない。

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緩やかに一直線に下って行く尾根は「長尾」と名付けたい伸びやかさ。

正面には京都タワーがひときわ高い。それにしても京都の街は広いな。

高さを求めなければ四囲に歩ける山も多い。景色を見乍ら改めて思う。

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帰りも金閣寺の門前に回り、さらに東進してから千本通を下って行く。

JR二条駅まで歩いたが、この区間が意外に長くて堪えた。ただ途中

ケーキ屋さんで、安くて美味しいパンを購入出来たのが幸いだった。

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地理院地図からも正式な名は大文字山であるが、如意が岳の大文字山

と区別する為、通称の左大文字山が多く使われる。標題はそれに従う。

地理院地図の山名は、山頂を管轄する地方自治体に聴取し決められる。