三重県旅行の最終日。賢島の周囲にはガイド本に載っているような山
はない。散策程度でも歩ける所はないかと探すと、横山展望台という
所がヒットした。絶景で国立公園のビジターセンターまであるそうだ。
初めて聞く所だし過大な期待はしないが、半日コースとしては適当だ。
近鉄賢島駅から二駅先の志摩横山駅まで行く。色んなサイトを見ても
マイカー利用か、鵜方駅からタクシー利用しか紹介されていなかった。
しかし地図を見れば横山駅からの方が近い。駅に降りると横山展望台
を示す道標が幾つもある。約2kmでしかない。このアクセスが一番
簡単だと思うが紹介している記事は少ない。それほど車社会なのかな。
横山駅からは25分程で中腹ビジターセンターに到着。一応パンフを
頂いた。園地の大きさから比べると、不釣り合いに立派だと思ったら
2016年開催のG7伊勢志摩サミットを機に作られた施設のようだ。
どうりで今まで知らなかった訳だ。自分達が旅行先にアンテナを張り
巡らせていたのは30年前。その後に出来た施設はほとんど知らない。
ビジターセンターの脇から石段が伸びている。展望台までは530m。
天空カフェテラスという名前から、もっとオシャレな所かと思ったが、
公設の展望台に付随する売店といった雰囲気。コーヒー400円って
普通なのかな。特に飲食しなくても眺望は楽しめるようになっている。
予報では晴れだったのに曇天で、ネットで見るような写真は撮れない。
その辺りは最初から期待はしていない。先程の大テラスが横山展望台
だが、すぐ近くに英虞湾展望台とかパノラマ展望台とか他に三つある。
カフェのカウンターみたいな展望台。とにかく幾つも展望台があって
混んでいても、何処か居場所が見つけれそうな気がする。方向的には
同じなので別に景色が大きく変わる訳ではない。横山頂上に向おうか。
尾根筋を進んで行くと芝生広場への道を分けてウメバガシの林に入る。
炭焼きの二次林であろうが、標高が200mに満たない所で見るのは
初めてかも知れない。炭焼きの生産地は摩耶山でももっと高所にある。
日常的に村人が薪拾いに入る場所と、工業製品としての炭の生産地は、
自ずと区分され、普通は人里離れた山奥が多い。昭和40年代生まれ
の同僚は子供の頃、炭を運ぶ為牛を引いた言うから、そう大昔でない。
その点、この山は200mの低さにもかかわらず、炭焼きの二次林が
広がっている点が興味深い。本日の最高地点である横山の頂上に着く。
大きな石が積み上げられているのは、何らかの意味があるのだろうか。
樹林に囲まれて展望皆無という情報だったけど、頂上からは英虞湾の
景色を望むことができる。尾根道は西に向かってまだ続いているので、
もう少し進もう。この先にもう一つ展望台があるのでそこで引き返す。
横山頂上からは数分で、素朴な石の祠のある迫子浅間山の頂上に着く。
祠自体は原始的とも思われる姿形だが、麓の迫子(はざこ)集落から、
参道として長い階段が施されている。石積み自体に意味があるのかも。
祠の少し先には簡易トイレが付随する立派な展望台が設置されていた。
近畿自然歩道の施設として作られたようだ。270度ばかりの展望が
が得られる。英虞湾はやや遠くなったが、右に五ケ所湾が見えている。
五ケ所湾は別名楓江(ふうこう)と呼ばれ、楓(カエデ)の形に似て
いると云うが此処からでは分からない。西側から青空が広がって来た。
この先は迫子へ下り、一時間に一本のバスで鵜方駅に戻る事も出来る。
バスの時刻にもよるが、往路を戻った方が確実で早いと思われるので、
此処を最終目的地として、近鉄横山駅へ歩いて戻ろう。西に高い山が
見えているのは、奈良県との境の大台ケ原から高見山にかけてだろう。
往路を戻るが改めて浅間山辺りには立派な木が多い。山では人工的な
物はなるべく見たくないが、この日ばかりは樹名板が有ったらと思う。
後でビジターセンターに寄るが、植生について詳しい展示はなかった。
僅か標高200mの山に期待はしていなかったが、意外に山らしい山。
何処から見ても横に長いから横山と名付けられたそうだが、どうして
アップダウンも適度にあるし、尾根も明瞭で、登頂感さえも得られた。
横山展望台に戻ると修学旅行生で一杯だ。これもコロナの影響らしい。
三重県は感染者が少なく、大都市に近いという事で行き先を変更する
学校が多いという。ただ家族には彼らの元気さが少し怖かったみたい。
まだ時刻は11時7分。横山駅まで歩き、少し遠いが名張まで行って
食事にしよう。買い物もしたい。近鉄の急行は時間が掛るが、鶴橋で
乗り換えれば阪神本線に直通だ。そして普段の日常に戻るはずだった。
今日のBGM
【Rainych】 Lemon「米津玄師」- Kenshi Yonezu (Cover)
今日出会った動物・・自動販売機の上の猫。そういや沖縄でも見たよね。