旅行４日目。今日は金曜日で、尖沙咀の宿からランタオ島のホテルに
移動する。比較的短い山行を計画した。ユーチューブを見てると、サム
ネイルに石林の文字。拝見すると中々面白そうな所なのでやって来た。
ＭＴＲ馬鞍山線・大水坑駅で下車し、飲茶の朝食を摂った後、富安花園
という団地に入る。その最奥１７座（棟）まで進むと、川を渡る橋がある。
橋の袂にテント張りの廟があり、線香の煙がたなびく。割と古い地域だ。
橋を渡ると梅子林路。１ｋｍほど淡々と歩く。朝の散歩から下って来る人
が多い。正面に見えるのは女婆山。昨年歩いた水牛山の連嶺の北端だ。
頂上に大岩が見えて景色は良さそうだ。登るなら少し下手から道がある。
梅子林村への道を分け、東側へユーチューブでも見た橋を渡る。この
道路は引水道の管理用で、この先に人家はなく取水施設があるだけ。
橋を渡った所の擁壁に、何となく人が歩いた跡がある。此処だろう。
もう少し先へ進むと、擁壁が低くなって容易に回りこむことも出来る。
擁壁を登ると引水道。英語訳の「catch water」の方が分かり易い。
この山に降った雨を一滴残らず、貯水池に取り込もうとする施設。
橋を渡り階段を登ると、しっかりした道が続いている。それもその
はず廃虚となった村落跡に到着した。石壟仔という村だったようだ。
呉氏一族の墓が今も祀られている。この墓所の右横から道が続く。
少し細くはなったが、しっかりした道。多分此処を進めば良かろう。
分岐があるが右の道を選んだ。何方を選んでも同じ所に出るよう
な気がした。思った通りで少し登ると、此の道も左に曲がって行く。
路傍の岩に「石林入口」とある。どうやら目的地に到着したようだ。
照葉樹の暗い森を抜けると、明るくなり巨岩の堆積地に飛び出た。
雲南省の石林とは趣が異なる。谷筋に出来る岩塊流（香港では石河
という）ではないが、岩塊原とでも呼ぶほうが、石林より適当に思える。
摩耶山の岩ヂャレもそうだが、どうやってこんな場所が出来たのだ
ろうか。岩の隙間を覗くと、とても深くて１０ｍは積み上がっている。
何処でも歩けるが、何となく人が歩いてるような場所を選んで登る。
日本ならきっと、汚いペンキ・マーキングが施されてれているだろう。
眼下に梅子林村を望む。左手の山は水牛山・黄牛山ということになる。
岩は皆、同じ岩質であるものの、それぞれが千差万別の形をしている。
最初の石林の上端まで登ると、照葉樹の森があり踏跡が続く。ネット
情報によると、もう一区画の石林があるそうだ。一旦は土の上を歩く。
すぐに巨岩が行く手を阻む。此処までは左上してきたが、この岩を越
えて進むのは難しそうだ。此処からは方向転換して右方向へ斜上する。
斜度は緩いので岩を攀じるような楽しさはない、その割にコース取り
や足運びに注意が必要で、けっこう疲れてきた。そろそろ終わりかな。
２番目の石林からは草原の中に踏跡が続く。南方向つまり右手に登る。
登りついたピークは幾つもの巨岩が転がり、特徴的な場所でハイキン
グの目的地となっている。だが、三角点も無ければ名前もついてない。
正面に見えるのは、馬鞍山山系の大金鐘（５３６ｍ）。越えれば西貢だ。
このピークには唯一「獨木舟石」という名のある岩がある。カヌーに
似ているというが、そうでもない。周囲にはもっと特徴的な岩がある。
無名ピークで簡単な昼食を済ませ、北の鹿巣山に向って下って行く。
踏跡が縦横に幾つもあり、どれを進もうか迷う。一番太いものを選ぶ。
鹿巣山（４１４ｍ）に到着。三角点があるがさして特徴のないピーク。
先程の無名ピークの山腹に石林が見える。岩の色が黒いので分り難い。
グーグル・マップには、「石壟仔石林」と表記されているが、ネット上では
「鹿巣石林」とする方が多い。でも鹿巣山の隣の山にあるのでどうだろう。
鹿巣山からは富安花園に下ろうと思う。北西に向かう踏跡を辿って行く。
それが思ったよりも大変だった。複雑な地形で幾つかの谷を渡って行く。
一旦、引水道の管理歩道に出る。逆に進めば朝の取りつきまで戻るかも。
戻るのはシャクなので先に進む。谷を渡りまた尾根の上へ登り返したり。
ようやく富安花園の裏手まで来た。鹿巣山頂から此処まで１時間半程。
標高から考えると時間も掛り過ぎ。もっとスッキリ下れる道もあったろう。
最後はフライパンや植木鉢の古を埋めて、土留め階段にしてあるという、
ややパラダイス的な道を辿り、富安花園の敷地に下りついた。１３時近い。
富安花園のバス停から。遠くに見えるのは多分、牛押山と馬鞍山だろう。
大水坑駅で地下鉄に乗り、２度乗り替えて尖沙咀駅。スターフェリーで
中環に渡り、フェリーターミナルからランタオ島の梅窩行きの船に乗る。
