摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

梅窩から老虎頭(465m)・・・・・ランタオ島 (大嶼山)・・・2017年12月16日

旅行最終日、昨夜はランタオ島・梅窩に泊まった。金曜から日曜、

香港中心部の宿は高騰する。我々の泊まっていた宿も2倍以上の

値段となる。寧ろ空港のあるランタオ島のホテルの方が安かった。

帰国便は17時50分発。手近な所で老虎頭に登ろう。ホテルに

は朝食がついていたが、8時からなのでサンドイッチにして貰い

7時に出発した。日の出は遅くて、ようやく銀礦灣に朝日が昇る。

老虎頭を選んだのは、ホテルから歩き始められるから。5年前

は愉景湾から往復しているが、山頂からの伸びやかな稜線が心に

残っていた。梅窩の村の奥から、北西へコンクリ道を歩いて行く。

香港にしては珍しく梅窩では、自転車が村人の主な交通手段だ。

道端にも自転車が沢山停めてあるし、坂道を下って来る人もいる。

さて、目指すのは老虎頭の主稜線。奥運徑という道を進んで行く。

道なりに歩いて、白銀郷という村に入る。だがどうも様子が変だ。

奥運徑の案内図もあるが、村からの道は老虎頭へは向いていない。

犬を散歩させていた人に聞いて、行き過ぎていたことが分かった。

間違ったのは此処。スイッチバックするように道がついていた。

因みに奥運徑は2008年の北京オリンピックに、香港選手が

出場した事を記念して整備された。道々にモニュメントがある。

コンクリ道を進むと、まずは銀礦瀑布という滝。さらに登ると、

坑道跡前に東屋があったので、朝食のサンドイッチをいただく。

時刻8時18分。ホテルを出てから既に一時間以上歩いている。

峠状を越えると歩道は下って行き、再び田畑や民家が現れる。

日本では車道の通じていない集落は、極めて珍しいが、香港

では、自家用車が一般的でないこともあるのか、珍しくはない。

コンクリ舗装路をどんどん登って行くと、梅窩の港が遠くなる。

今日は土曜日、通勤といった感じの方も下ってくるが、トレラン

姿の西洋人も多い。愉景湾から縦走して来られたのだろうか。

再び峠状の場所に出た。もう老虎頭の主稜線かと思いきや、

また下る。かつては田畑だったらしい平坦地を迂回して行く。

愉景湾だと直ぐなのに、梅窩からは思ったよりも奥行が深い。

8時40分ようやく老虎頭への分岐に到着。いくら足の遅い

我々でも距離が有りすぎ。東屋で休憩して、ドリアンロール

の残りを食す。此処から山頂までは老虎頭郊遊徑という道。

老虎頭郊遊徑に入ると、周囲の木々が低くなって明るくなった。

香港在住の方のブログを見ると、「土道」という言葉が出てくる。

最初本当に何の事か分からなかったが、文字通り「つちの道」。

昔の登山用語では、地のまま道ということで「地道」という事が

多い。ただ中国語では地下道(地下通道)を略してか「地道」と

言うので、紛らわしいかもしれない。1時間半もコンクリ舗装の

道を歩いてくると、「土道」と言いたくなる気分も分からぬでも

ない。最初は「士道」という表記かと思い、士太夫階級の人が、

作った道なのかもと考えていた。右手にゴルフ場が見えてきた。

山容は複雑で、二重三重の稜線となっている。正面に見えてい

るのは山頂ではなかった。緩やかにピークを迂回して道が続く。

昨日の鹿巣山もそうだったが、今回は複雑な山容の山が多いな。

昨夜のホテルの居心地が良かったので、チェックアウトの12時

までに、山頂を往復して来て部屋でシャワーを浴びようかなんて

考えたりしてたが、既に9時を過ぎている到底無理な計画だった。

岩が点在するピーク。愉景湾から登ると老虎頭は険しい岩山

だが、ようやく片鱗を見せてきたという所。どうやら山頂は更に

その向こうのようだ。トレランやマウンテンバイク向きの道だな。

登山道の真ん中に「ゆるぎ岩」とでも名の付きそうな岩がある。

家族が不遜にも蹴りをいれてるが、そんな事で動くはずもない。

今日の道は、リードなしで犬を散歩させてる人が多い。前から

2匹の犬が来た。香港の飼い犬は総じてよく躾けられているが、

小さい時に数匹の犬に襲われ、咬まれた事のある家族は怖い。

北側に空港島を望む。数分おきに飛行機が飛んで行く。曇り空

のうえ、本土からのスモッグで霞んでいる。今回の旅行は雨に

こそ、降られなかったけど、ずっとスッキリしない天気が続いた。

冬場は強い北風が吹いて、スモッグが晴れることが多いと聞く

が、風は弱い曇天の日ばかりだった。香港の天気予報は台風

以外はあてにならないらしいが、今週はピッタリ予報通りだった。

9時50分、やっと山頂に到着。梅窩から3時間近くかかった。

相変わらず山名碑は無いが、前回無かった展望案内板が設置

されていた。香港の山としては珍しい方だが、案内板にも山頂と

か標高の表記はなくて、老虎頭景観台(東南)とだけ記してある。

香港の山は大きな三角点の標柱があるので、頂上まで登ったと

いう証拠写真にはなる。その点何もないハワイの山よりましかな。

主に各国の駐在員が住むという高級住宅街の愉景湾を望む。

沢山のハイカーが登って来られるのが見える。険しいものの

この山は愉景湾から登った方が、はるかに魅力的だと思うな。

山頂から大蠔灣に直接下る道がないかと探したが分からない。

時間は十分あるとはいえ、飛行機の時間もあるので、あっさり

諦めて来た道を戻ることにする。峠から白芒村に下ろうと思う。

考えてみれば、その道はYahooで老虎頭の画像を検索すると

出てきた略図にあったもの。自分が摩耶山の地図に赤線を引

いてブログに掲載してるのと同じで、踏跡程度かもしれないな。

同じ道を歩くのはどうかと思ったが、正面に雄大な大東山を

望みながら、伸びやかな道を下って行くのも、そう悪くはない。

11時15分、奥運徑の分岐まで戻って来た。ここから白芒村へ

下り、更に東涌駅まで歩こうと思う。沢山のハイカーとすれ違う。

途中にあった公衆トイレ。トイレットペーパー・液体洗剤・温風

乾燥機が完備してある。何よりとてもキレイに清掃されている。

掬星台にあるトイレの現状を思うと、観光客の方に恥ずかしい。

ハイウェイ沿いまで下ってきた。ちょうど空のタクシーがいたが、

東涌駅までは1時間も掛らないだろう。そのまま歩くことにする。

実際40分で東涌駅に着いた。出発まで十分な時間があるので、

33元の弁当を買って食べ、自宅への土産を探したりして過ごす。

だがピーチ航空は当たり前のように延着し、関空に着いたのは

11時30分。三ノ宮までのバスはあったが、家までは帰れない。

第一ターミナルのソファーで一晩過ごして、翌朝始発で帰宅した。