摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

右田ヶ岳(426m)・・・・・・山口県・防府市・・・2017年3月11日

3月11日は、山口県防府市の西目山(312m)に登り、勝坂に

下って、右田ヶ岳に登り返すという計画だった。両者の登山口は

徒歩で5分程しか離れていない。国道262号線を南下して行く。

ところが概念図を見誤って、砲台跡の北側に登山口があるのに、

この写真だけ撮って、更に南下して山ノ口の集落に入ってしまう。

山ノ口は黒瓦の美しい家並。流石に目指す岩尾根が北側に

見えてきたので、間違っていることに気づいた。だが砲台跡の

北側に道があると知らず、民家裏から強引に藪を分け登った。

しばらく藪を分けていくと、砲台跡から上って来る道と出会う。

見知らぬ土地では、落ち着いて行動しなければと反省する。

取り付きが11時30分と、予想よりも遅くなっているからかも。

雑木林を少し登ると、周囲の木々の背が低くなり、前方には

岩尾根が見えてきた。岩がちなので樹木が育たないのだろう。

11時50分、本ルートと尾根ルートの分岐に到着。本ルート

が昔からある道で、尾根ルートは新たに開拓された道のよう。

手元の概念図には本ルートしか記していない。水分補給する。

尾根ルートはシダ藪の斜面をトラバースして行く。とても暑い

ので、ジャケットを脱いでシャツ一枚になる。夏は過酷だろう。

一面のシダ藪の中を、道はいったん沢に下り尾根に登り返す。

分かり易くはあるが、薪炭も取れない不毛の土地ともいえる。

沢まで下ってきた。水流はあるが藻が繁茂してヌメっている。

この沢を詰めても面白そうではあるが、水心は滑り易そうだ。

沢から尾根に登り返した所。思ったよりも傾斜は緩やかだし、

巨岩が階段状に積み上がったような尾根で、容易に歩けそう。

人差し指な岩や、三角錐な岩。奇岩は沢山あるが名前は

付いてないよう。いっぱいあり過ぎて珍しくもないのだろう。

岩に腰かけコンビニのあんドーナッツで小休止。交通量の

多い国道262号線を挟んで、今朝歩いてきた来た西目山。

下から見上げる険しさとは裏腹に、尾根上は緩い階段状で、

幅も広くて登り易い。ロープが設置されている所もあるけど、

上りならば、まず使わないだろう。フリクションもとても良い。

だが流石にピーク直下では、大ハングに行く手を阻まれる。

ここは左手の樹林の中に道が続いて、ピークの肩へ抜ける。

ちょうど本ルートからは、ガイドに連れられた団体が登って

来られた所だった。岩峰の上は良い休憩場所になっている。

こんな顕著な岩峰だが、手元の概念図に名前は記してない。

岩峰から一登りで西ノ峰。東側に中ノ峰(右田ヶ岳頂上)を

望む。頂上から鐘の音や、子供の声が間近に聞こえてくる。

西ノ峰と中ノ峰の鞍部に下ってきた。帰りは此処まで戻って

石船山を経て天徳寺へ下るつもりだ。西ノ峰は本によっては、

南ノ峰と記されている。まあ頂上からの方角的には西だろう。

頂上には13時に到着した。日章旗が掲揚されていた。北側

にこそ樹林があるけど、防府市街方面の展望はすこぶる良い。

山頂の一角には小平地があり、木に山岳会の記帳用のポスト

や鐘が吊るしてあった。毎日登って来られる方も多いのだろう。

ミニあんぱん5個の昼食休憩。眼下の岩の連なりが、天徳寺へ

下る道のある尾根だ。この風景の中に、手前から新幹線・高速

道路・山陽本線自衛隊の飛行場・それに周防灘の航路がある。

休んでいると東側から20名程の団体が、西側からも先ほどの

団体が登って来て、山頂は大混雑となった。どちらも旅行社の

ガイドに連れられたツアー客のようだ。閉口して下山にかかる。

天徳寺コースを下って行くと、また30名程の団体とすれ違う。

話しぶりから、やはり遠来の方達のようだ。今の時間から登ら

れるということは、何処かで一泊しての旅行のように思われる。

眼下にドングリのような石船山が大きくなる。右田ヶ岳の名は

今回調べるまで全く知らなかったのだが、よほど人気のある山

のようだ。団体客の他にも、軽装で登って来る近所の方も多い。

石船山から右田ヶ岳を振り返る。こんなに険しい岩山だけども、

山頂から此処までの間に、幼児から80代位の方とすれ違った。

石船山は三十三観音巡りの霊場となっている。大正時代に彫

られた磨崖仏が散在し、それらを巡る道が縦横についている。

芸術的な雰囲気はなく、あくまで俗っぽい感じの観音様が多い。

それぞれ磨崖仏の側に、云われの書かれた札が下がっている。

中でも一番気にいった観音様が此方。第十番・遊戯観世音。

名前もさることながら、高い所から落ちても助かるという云わ

れがあり、ゆったりと雲の上に乗っている姿が彫られている。

これらの磨崖仏をみて思うことは、大正時代の防府や下関の

繁盛ぶり。物流の要害として富が集まった故の磨崖仏だろう。

15時ちょうど、天徳寺に下山する。背後に見えるのが石船山。

ぶらぶら防府駅に向かって帰る。振り返ると右田ヶ岳が立派。

写真では分り難いが、川沿いの道路のガードレールが黄色い。

昭和38年の国体開催以来、県道は夏ミカン色にしてるらしい。

防府駅に着いたのは16時。今から列車に乗っても、今日中に

芦屋には帰れない。仕方ないもう一泊しよう。駅南のイオンで

食事したり買い物したりする。さて明日はどうしようかと考える。

もう一晩、天神山でお世話になろう。昨日に比べれば、風も無く

穏やかな天気だ。空は晴れてるし、ほぼ満月で明るく助かった。