摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

天応烏帽子岩山(410m)・・・・・広島県呉市・・・(2016年1月2日)

正月休みを、どうしようかと考えていたら、ふるさと旅行券なる

物の存在を知る。国の交付金を利用した割引という。何にしろ

宿泊が半額位になる。以前から行きたかった広島はどうだろう。

元旦は無理だったが、2日と3日を一泊5000円程で予約した。

広島までは青春18切符。灘を5時半に出ても、呉線天応駅に

到着したのは正午過ぎ。7時間近くかけ普通列車でやって来た。

天応駅を出て南に下り、適当と思われる所で、東の山側に向かう。

高速道路の手前は、汐見町なのかな。各戸の生垣や庭木が見事。

屹立した烏帽子岩が望む。とにかく彼方に歩いて行けば良かろう。

高速道路のトンネルを抜けると弥生町。登山口の標識があるので、

それほど登山者は嫌われてないようだが、墓地の駐車場は使うな

と貼紙がある。風雅な庭木や庭石をめで乍ら、ゆっくり歩いて行く。

細い車道を辿って行くと、小さな墓地に到着した。此処が実質的に

烏帽子岩山の登山口。但し公設の道標はない。墓地の右脇の道

がそうだろうと思い、そのまま歩いて行く。目指す山は見えている。

シダ藪が生い茂る谷筋を行く。姫路辺りの山にもシダ藪は多いが、

大きさは2倍以上あるだろう。どうやら岩山にはシダが生えやすい。

やがて道は、花崗岩の岩稜となる。今日は、どんよりした曇り空。

登っていく岩稜は、花崗岩ながら色が濃く、明るい雰囲気がない。

段々壁が立ってきた。人が通る所は、岩が擦れているので分かる。

壁に突き当たった。この一段上で右か左に別れると思ったのだが。

右手にトラバースして行く。出だしだけ緊張するが、足場は豊富。

振り返ると広島湾が広がる。後から考えると、この景色だけが救い。

沢沿いに踏跡が続いている。右手に黒ナメラを望みつつ登っていく。

左側に、烏帽子岩に直上する踏跡が現れるはずだと、思い込んでた。

圧倒的な迫力で迫る黒ナメラ。ゲレンデとして利用されているそうだ。

その迫力に押された為か、左にあるはずの踏跡が中々見つけらない。

潅木の藪の中を登って行くと、方形の大岩の前に飛び出てしまった。

これがドンガメ岩だろう。ということは、烏帽子岩を通り越している。

落胆しつつ、残置ロープにすがって上に登ってみよう。足場が無く、

力任せになるので、見た目より苦労させられた。ロープも頼りない。

確かにドンガメ岩の上からは、烏帽子岩の頂が足下に見えている。

どこかに烏帽子岩への踏跡があったはずだが、いや、そもそも道を

間違えていたのかもしれない。左手に続く岩が、亀の頭なんだろう。

展望の良いドンガメ岩の上だが、平たいようで、僅かに傾斜があり、

どうも居心地は良くない。今更下って烏帽子岩を登り返す気はない。

午後2時に、ドンガメ岩の上での休憩を切り上げ、頂上に向かう。

到着した烏帽子岩山の頂は、来るんじゃなかったと思わせるほど、

殺伐とした場所。私製標識が灌木に一つ、括り付けてあるだけだ。

北側の上山に向かう。この縦走路やけに道幅が広い。実はこの道、

中国自然歩道として数十年前に整備されたが、今は放置されている。

烏帽子岩山と上山の間は、雰囲気が良いと思える所もあったが、

総じて灌木の中の展望の無い道。下山路としてしか意味はない。

上山(391m)の頂上も展望は無い。三等三角点があるのみ。

遠くから来た人間にとっては、わざわざと立ち寄る価値もない。

自然歩道を離れ、天応駅へ下る脇道に入る。登山口までは道標が

あったが、その後は古い私製標識が、所々に残っているに過ぎない。

下山路も藪に覆われ展望は良くない。かなり下って烏帽子岩

望むことが出来た。登路を誤らねば、楽しめたろうと悔やまれる。

下りきると元の墓地に出た。烏帽子岩山頂上や上山を回る必要は

全く無かった。単純に烏帽子岩・ドンガメ岩の往復で十分だったな。

夜は広島の街をぶらぶら歩いて観光。道幅が広くて神戸より都会。


今日のBGM