フォートラベルという旅行サイトの、「jun2」さんの投稿記事で知ったのが、
鳳凰山の「狗牙嶺」という尾根。険しい尾根のようで登高意欲をそそった。
ところが、バス停からの山の位置関係が、どうしても分からず取り付きに
辿りつけるか、不安だった。どうも自分が思っている方向と反対みたいだ。
地下鉄・東涌駅から、11番大澳行きのバスに乗車。「石壁警崗」で下車する。
バスから下車して、振り返ると鳳凰山が見えた。位置関係の不明が氷解した。
石壁警崗のバス停はダム湖の堰堤の一端にある。昨年も、此の路線に乗車した。
海辺から登ってきたバスは、ダム湖の周囲を通って観音山に向ったという記憶だ。
海から山に向って走り、ダムがあるなら、その先に目指す山頂があるだろうという、
日本的な考えに囚われていた。バスは峠を越え、側面から堰堤上の道路を横切る。
バス道をしばらく戻ると、公園がある。此の奥の橋を渡ると、狗牙嶺への道がある。
石壁郊遊径というトレイル。此の道自体はダム湖の側壁をトラバースするように、
鳳凰山麓の昂平に向う。その途中で右手に、狗牙嶺への尾根があるという具合。
急な階段を幾つかこなすと、緩やかで広い道となる。右手の尾根が中狗牙嶺だろう。
水平道といっても良いようなトレイルを、進んでいくと、先方に深い谷が現われる。
対岸は岩尾根となっている。これが西狗牙嶺の取りつきに違いない。この道は谷を、
大きく回り込むのであろう。対岸のほぼ同じ高さに、水平なトレイルが見えている。
路傍の大岩に書かれた落書き。五言律詩だが、漢文の素養なく意味が分からない。
岩尾根をへつるような道。岩が多いせいか疎林となり、前方ににダム湖が見える。
期待通り、トレイルが尾根を回り込むところが、西狗牙嶺の取りつきであった。
振り返ると照葉樹林の森に、歩いて来た道が一筋の線となって見えていた。
西狗牙嶺の取りつきから、背の低い照葉樹が茂る藪斜面を、ひとしきり急登。
傾斜が緩くなりなった所で、一気に展望が開ける。これから進む尾根が見える。
足元には石壁水塘。堰堤の先は海だ。天気が良ければ素晴しい景色に違いない。
昂平の大仏。本当に何処からでも良く見える所に作ったものだ。その向こうは大東山。
緩やかだった岩尾根だったが、やがて目の前に岩峰が壁のように聳え立つ。
稜線には一筋の道が続く。ここからが狗牙(犬の歯)という名の由縁であろう。
急斜面は、目の前に地面があるので、それほど怖くない。ところがピークに達すると、
両側がすっぱりと切れ落ちて、50センチもはずせば奈落の底。ちょっとクラクラする。
右手からは、伸びやかな稜線の中狗牙嶺が登ってくる。下れば稜線漫歩を楽しめそうだ。
中狗牙嶺との合流点を目指し、急な細尾根を登って行く。薄日が差して、かなり暑い。