香港で一日だけ山歩きが出来るとしたら、迷わずこの山に登る。
500mに満たない標高だが、香港一の美しい自然を楽しめる山。
今回の旅行中、一番天候の良い日をあてたかった。幸い今日は、
昨日の北風も治まり快晴に恵まれた。祝日なので、バスも多い。
MTR鑽石駅から96R黄石碼頭行きバスに乗車。北潭凹で下車。
北潭凹(峠)には、トイレや飲料水の自販機、案内板等がある。
マクリホース・トレイルに入るが、コンクリ舗装の道でがっかり。
シャープ・ピークが見えたが、道はすぐに赤徑へ下ってしまう。
キャンプの帰りだろうか、大きな荷物の大勢の学生とすれ違う。
一旦赤徑近くの浜辺まで下ったトレイルは、廃村を抜けて行く。
やがて道は登り返して大浪坳の峠に至る。この間ずっと舗装路。
峠からシャープピークに階段道が上って行く。ようやく土を踏む。
登るにつれ、大鷲が翼を広げたような勇壮なシャープピークが現れる。
本当にこの山は、標高468mなんだろうか。にわかには信じられない。
だが標高の低さは登れば実感する。あっという間に肩まで登ってしまう。
道は乾燥し大きな砂利道で歩き難い。所々岩場があるが難しくはない。
大湾からの稜線道と合すると、後は大展望の道を山頂まで一気に登る。
山頂はハイカーで混み合い、三角点の写真を撮ろうとするがままならず。
北側に少し下りコバルトブルーの南蛇湾を見下ろし乍ら、昼食休憩した。
こんな美しい山を、峠からのピストンで終わらせるのは、もったいない。
山頂からは西の東湾山鞍部へと、南西の大湾へ、二本の稜線が下る。
どちらも捨てがたいが、東湾山への稜線が長いので、そちらに下ろう。
東湾山との鞍部まで下ったところで、シャープ・ピークを振り返る。
摩耶山は猪が沢山いるが、香港の山には牛がいる。放牧されてる
のかな。野良牛かな。大人しくて登山者には、何の興味も示さない。
日本の山は雪が積もると立派に見える。それは尾根や谷の陰影が
ハッキリするからだろうか。香港の山は木が無い故に立派に見える。
下りついた谷底には水流があって、一帯がキャンプ地となっている。
道が縦横にあるので、展望の無い樹林の中では、少々迷ってしまう。
南の尾根の末端に登り返せば、東湾の展望が開け大湾への道も分る。
山頂から下ってくる稜線道と出合った後、大湾の砂浜の北端につく。
靴を脱ぎ波に足を洗われ乍ら南に向う。波打ち際の砂は固くしまり、
足跡が僅かに残る位で歩き易い。こんな楽しみが用意されてるとは。
シャープ・ピーク登山の最後を飾る、素晴らしいフィナーレだった。
今日は休日なので、山頂以上に浜辺には行楽客の姿が多い。愛犬を
散歩させる西洋人の姿が多かった。此処まで歩いて来られたのかな。
鹹田湾への乗り越しから、楽しかった大湾の砂浜に、別れを告げる。
下った鹹田湾には、食堂が二軒並んでて、行楽客で賑わっている。
お値段は高めだが、海を見ながら食事する気分は、悪くないだろう。
この先の、西湾村にも食堂が数軒あったが、お客さんは少なかった。
鹹田湾南端からは、コンクリ道のマクリホース・トレイルに戻る。
一旦西湾村まで下り、バス停がある西湾亭まで単調な登り返し。
休日で西貢行きミニバスはピストン運行。満員になり次第出発。
西貢から92番の鑽石駅行きバスに乗り、彩虹駅と鑽石駅間は
夕方道路が混むのでMTR彩虹駅で下車し、地下鉄に乗換える。
満足な山行ができて、とても幸せな気分で佐敦の安宿に帰った。