摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

岡本八幡谷から横池へ

蒸し暑くはっきりしない天気の日が続いた。だが此の日は晴れの予報。

もう紅葉の時期まで山歩きはしなくて良いかなって思ってたんだけど、

なぜか朝になって何処かへ行きたくなった。やっぱり沢歩きをしたい。

思いついたのは岡本八幡谷。横池の水量があんなに多いとどんな状況

だろうか。他に行きたい所もなく、JR摂津本山駅から八幡谷登山口。

日記の最初の写真としては冴えないが、順番からすると仕方がないな。

登山口からすぐ古い街灯辺りから下っていく。下の駐車場からの方が

楽だけど立入禁止のロープが張ってある。木の根にすがって降りたつ。

見上げる急斜面。投棄ゴミが多かった。こんな所で怪我はしたくない。

フェルトシューズに履き替えたら素行開始。すぐにゴルジェが現れる。

入口は二段の小瀧のように見えているが、取水施設の遺構らしき擁壁。

それより左岸の土砂崩れの様子が凄い。大雨となれば再び崩れるはず。

取水施設を越えるとゴルジェに入る。廊下とはよく言ったものである。

両岸の険しさに比べると、川床は至って穏やかだ。奥には二段の斜瀑。

期待したほどに水量は多くない。足もさして濡らさずに進んでいけた。

二段の斜瀑の前に小さな淵。ここでは右岸の水中にステップを求めて

へつっていく。残念だが水はやや濁っている。川床には泥が沈殿して

おり清涼感は感じない。六甲の小さな沢はやっぱり来る日を選ぶべき。

大雨が降り続いたあと、適当に水が引いた頃合い。でも毎週のように

入渓していないと判断がつかない。二段の斜瀑の中段にも小さな淵が

ある。ここも右岸をへつって、滝身にとりつき斜上して左岸に抜けた。

次の淵は少し長くて深い。カメラがポートレートモードになっていた。

変な写真になっているが雰囲気は伝わるだろう。ここは左岸のバンド

を渡った。過去二回は右岸を腰まで浸かってへつったと記憶している。

気のせいか何だかあっさり出口の小滝に辿り着いた。三回目だからか。

いや川床にあった大きなゴーロの積み重なりが流され無くなっている。

それで歩き易かったよう。出口の小滝は右岸をへつり流心を直登した。

さほど時間は掛けず通過したが、腰から下がズブ濡れになってしまう。

一般道から丸見えなので、この間にハイカーの通過もなくホッとした。

橋を渡って八幡滝を見に行く。大きな御堂だけど荒れるに任せてある。

まずまずの落差がある八幡滝。右側に二条、左側も一条の滝が落ちる。

その中間が階段状で容易に越えられる。ただ上がってすぐ堰堤があり

遡行は続けられない。また滝上から一般道に戻るにもかなり苦労する。

何故かそうと分かっていても、淡い期待を持って滝上に出てしまった。

前回一般道を歩いた時、滝上に向かって切り開きが出来ていたように

思えたのだ。と言ってそれが何ヶ月前のことだか記憶も定かではない。

結局、切り開きは見つからず10分ぐらい藻掻いて濃密な藪を抜けた。

足元の定まらないほどの急斜面に倒木が重なり、棘の多い藪を避けて

右往左往した結果。やはり八幡滝は見に行くだけにしとくべきだった。

上流は八幡滝堰堤、正副の八幡滝第二堰堤が続くし、堰堤上の堆砂に

伏流しているので遡行する価値はない。打越峠に向かう一般道を歩き

小橋を渡った所で再び河原に降りる。広場にはまたオブジェが増えた。

沢に戻って最初の滝。ミニサイズだが姿が良い。流芯を歩いて越える。

この左岸には小屋がある。山中にオブジェを作っている人達の休憩所

なのかな。そして八幡滝第三堰堤。よく見ると看板に副の文字がある。

という事はすぐ正堰堤があるはずなのに天端から河原に下ってしまう。

そのまま斜面を進めばよかったのに。何をやっているんだろうと思う。

もちろん正堰堤のほうが副よりデカい。青モミジが見れて僅かに救い。

その上流の左岸に巨大な岩というか岩壁のある所で、河原の真ん中に

変な物を見る。ツリーハウスみたいなんだけど脆弱な間伐材ばかりで、

とても人の体重に耐えられそうにない。これもオブジェの一種だろう。

3m弱の赤い小滝。現地では垂直に見えたけど、写真を見直すとそう

でもない。巻くなら左岸だが、ズルズルの土壁でそれも安全ではない。

流芯のスタンスを拾って直登する。赤いのは苔で少し滑りやすいかも。

さらに一つ二つミニ滝があり苔の小滝。ごく短い区間だが河原歩きの

退屈を忘れることが出来る。此処は滝身の向かって右端。苔の壁との

境辺りを直登できる。まあ高度感もない難しくもないアトラクション。

また堰堤。もう淡々と越えるよりない。名前は八幡滝第四堰堤である。

最初の堰堤は八幡滝上にあるから付いたというのはわかるが、こんな

上流までそれに引きずられなくても。此処は河原に戻るのに苦労した。

しばらくは堰堤上の堆砂地が続く。ゴルジェ状も現れるが平凡な河原。

その出口は高さ10mばかりの斜瀑。といっても水の流れは少ないし、

階段状で傾斜は緩い。中段は二俣なので降雨直後は見応えがあるかも。

斜瀑の上は一般道。此の道は七兵衛山の肩へ向かうので、すぐに離れ

右側の谷に戻る。といっても此処に水の流れてるのを見たことがない。

落ち葉も積もらず岩盤が露出している。豪雨の時には流れもあるはず。

また堰堤だ。その名も八幡滝第五砂防ダム。場所的には横池堰堤でも

良いような所。高さ16mだがもっと高く見える。小滝ばかり越えて

来たからかな。水抜穴が目と口に見えなくもない。さて乗り越えよう。

八幡滝と同じ名を冠しながら、堰堤と砂防ダムとの違いは建設年度か

堰堤の大きさの違いなのか。機会があれば砂防事務所に聞いてみたい。

横池への近道として利用する人もいるのか、此の堰堤には巻道がある。

その後も明瞭ではないが踏跡が続く。最後の小滝。もし水流があれば

立派だと思うけどじっとり濡れているだけ。手も使うが難なく越える。

この後は不思議なほど平坦な地形が続いて遡行も終わる。横池の真下。

そして奥の二俣。右へ行けば雄池だが今日は伏流している。貯水量は

知る限り過去最高なのに流出量は少ないのか。謎といえば謎。今日は

雌池に直接出たいので左俣を選ぶ。こちらも水流はないが掘れている。

涸れた溝状を進んでいくが草木が、煩くなったので左岸の踏跡に出る。

地形図からは読み取れない平坦さ。雄池の南東側の険しさと対照的だ。

何度となく横池に訪れるにつれ、その成り立ちを考えるようになった。

八幡谷を詰め切った最終地点。此の土手が雌池の水を堰き止めている。

写真中央左に転がっているのは古い土管。雄池には現役で水を吐いて

いるが、同じように雌池にも水抜き用の土管が埋設してあったようだ。

という事は横池(雄池・雌池)は灌漑用に人工的に作られた池なのか。

東灘区の小中学生なら社会科の授業で習っているかも。昨年出会った

生物部の二人に聞いてみればよかった。いつもの岩の上で大休止する。

今日も満水状態の雌池。なんでこんなに水が溜まるのだろう。北側は

住吉川があるので六甲山に降った雨は流れ込まず、集水域は至極狭い。

そんな些事を考えてると、クサガメが泳いで来て無聊を慰めてくれた。

 

 



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