摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

鷲ヶ峰(314m)・・・京都市北区

五月連休明けで宿が安くなって京都に二泊滞在。目的は食事なんだが、

二日目は暇なので少しだけ散策してみようと、左大文字の北側の山へ。

地理院地図に山名は記載されていないが、314mと山塊一の標高だ。

スタートは金閣寺の西側の住宅街から。この道は同寺の防火用らしい。

入口に車止めがあるので、普段はご近所の方が散歩されているぐらい。

境内奥の谷間を見下ろす尾根筋に伸びている。数年前に舗装された道。

ほんの少し進むだけで、先日歩いた成就山から衣笠山の稜線が望める。

歩いて来た道沿いは豪邸ばかりだったけど、上から見ると住宅密集地。

此の日は図らずも日本の格差社会を垣間見るようなコース設定となる。

舗装路が尾根の東側を真っすぐ進むようになると京都の市街が広がる。

比叡山こそ山影に隠れているが、大文字山から伏見の丘陵までが一望。

舗装される前は展望のない藪道だったらしいが現在は遊歩道のようだ。

消防用道路が終るとほぼ平坦と言える尾根道となる。新緑に包まれて

実に清々しい。正面が鷲ヶ峰の主稜線という事になり、左大文字山

谷を挟み右側。とはいえ火床は中腹にあるので尾根の向こう側になる。

平坦だった山道はやがて壁に突き当たると、逃げるように西へ向けて

斜上して行く。一ヶ所抜けた所で座り込んで小休止。近々に火床への

立入禁止の札が付けられたとか。なので今日は寄らないが十分な眺望。

斜上していた道が主稜線に乗ると、三叉路になっていて右側へ行けば

大文字山。此処は左側へ入る。良く踏まれた道が緩やかに続いてる。

京都の山というと杉や檜の植林帯を思いがちだが明るい雑木林である。

此の道沿い(東側)に、リゾート会社の立入禁止札が付けられている。

これは東向き斜面に入るなという事。調べると麓に高級ホテルがある。

この日のツインの部屋代は最低一泊50万円。本当?と何度も見返す。

どうも本当らしい。それも貴賓室の一室だけが高いのでなく、全ての

客室が同料金以上らしい。なるほど背後の山の一面を買い取ってでも

景観を保持したい訳。因みに今日の我々の宿の100倍の値段である。

山頂手前で東側の眺望がある。比叡山から大文字山にかけての稜線が

印象的である。大文字の火床だけ黄緑色で良く分かる。その向こうは

音羽山であろう。鴨川沿いの並木が横一文字に見えているのも面白い。

ほどなく山頂に到着。残念ながら眺望はないし緩やかな尾根の一角に

すぎず登頂感は全くない。私製道標が一つ。東大文字山にも同じ物が

あるがNEICEL萬寿というのは何だろう。ネットで調べても不明。

山頂から北方向の道は少し怪しい。地理院地図の破線路だが西斜面の

私有地に入り込むのだけは避けたい。山頂手前に三叉路が有ったので

そこまで戻り東向きの道を下る。下るにつれて北へ向きを変えて行く。

植林帯なのにやけに明るいなと思っていたら、いつも見る杉林と違う。

床柱用の杉かもしれない。西側の森7haは京都府立大学の鷲峯演習

林で丸太仕立てのスギ林の他、全国の有名杉が植栽されているという。

下るにつれて踏跡が薄くなるというか分散してしまった。中でも一番

太い踏跡を選んだつもりだったが最後は崖地。両手も使い飛び降りた。

もっと良いとりつきがあるはず。少し下れば紙屋川沿いの車道に出る。

存外に清冽で流量の多い紙屋川。北野天満宮より下流の姿からは想像

出来ない。この先で深い渓谷になっていたりもする。グーグルマップ

では天神川と記しているが、現地の張り紙等は紙屋川と記されている。

山里風景から渓谷沿いに下って行くと、まず右岸側に超高級ホテルが

見え隠れ。左岸側は広大な高級リゾート施設。その次は豪邸や寺院が。

写真を撮るのも憚られトボトボ下って行くと、金閣寺の門前に着いた。