摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

長峰山 西谷から天狗塚へ

箕ノ裏ヶ岳ツツジに触発されたのか、摩耶山の開花状況も知りたく

なった。一般道を歩くのは面白くない。と云え難しい所には行けない。

安易だが西谷から天狗塚への最短路を目指そう。六甲ケーブル下まで

16系統のバスに乗って来た。桜は全て花を落とし新緑になっている。

旧道を山田堰堤横まで歩いて来た。ちらと堰堤上から入渓しようかと

思ったが水の冷たさを想像してしまい、山羊戸渡の取り付きに向かう。

西谷の出合で沢用の足拵えに変える。普通の人ならゴム底で十分だが

久しぶりの沢歩きで用心した。すぐに堰堤に突きあたって左岸を巻く。

堰堤上は倒木が多く荒れた感じだが、小滝が現れると西谷らしくなる。

ツバキの花弁が沢山落ちている。時間が経って変色している物が多い。

廊下状を抜けるとすぐに二番目の滝が現れる。丸い釜を持つ優雅な滝。

右岸に巻き道があるが、川床から高い所を通るので怖い。直登しよう。

水心すぐ横にホールドが多い。苔の生えてる方に寄ると却って難しい。

上流は小滝が連続する。岩色の黒い所は特に滑り易いので慎重に進む。

苔の生えた川床を水流が幾筋も流れる所。緑色の苔の上には白い桜の

花弁が散っている。なんとなくツバキの花弁と住み分けしてるようだ。

二俣へ着く。右俣の本流に小滝が掛かる。ここも右岸に巻き道がある。

巻く場合は二俣まで戻らねばならない。滝身の左側壁も階段状で容易。

水流が多い時は滝になりそうな黒い階段状を上がって来た。右岸寄り

苔の階段状も使える。どちらも直登というより小さく巻くという感じ。

さらに一つ堰堤を左岸から巻いて、四番目の堰堤手前で右岸に支谷が

流れ込む。ここからが最も容易に天狗塚に出られるコースだったはず。

何度も歩いているのに記憶が怪しいな。というのも似たような支流が

上流にもあるし、いずれにしろ天狗塚より北側の尾根道に突きあがる。

川床の岩盤が露出する所はごく短い、後は累々と岩屑が詰まっている。

こんなだったかな?。ちょっと落胆してしまう。淡々と高度を上げる。

水流が消えると沢の中央に立木が一本。なんだか既視感のある風景だ。

此の先の谷筋を追うのは止めて、右岸の斜面を斜上して行く事にした。

これが長い。やはり谷を詰めた方が良かったと思う頃に細尾根に乗る。

高木のツツジが咲いている。これは季節の進み具合が思ったより早い。

やがて天狗塚北側の一般道に飛び出す。谷筋を離れてから約30分の

アルバイトだった。薄曇りではあるが微風。心地よい陽光が降り注ぐ。

砂の影響で神戸市街はボンヤリしている。気温もちょうど良いので

此処で昼食にしようかと思ったが、やはり六甲線一三鉄塔まで下ろう。

山頂付近のツツジは四月末に咲くイメージだ。とすれば中腹の群落は

既に花を落としているだろう。今年の季節の進み具合は思うより早い。

巡視路を下って行くと関電の設置したロープの末端の木が朽ちている。

結んだ時は充分と思われた立木が、数年で折れるとは用心しなければ。

やはり中腹のコバノミツバツツジは終わっていた。ほとんどは若葉が

萌え出てしまっている。僅かに花弁を残す株越しに掬星台方面を望む。

六甲線一三鉄塔に到着。長峰山での昼食場所としては最も好きな場所。

此れより下に道はないので人に出会う事はまずない。静かで落ち着く。

家族が作ってくれたツナとスクランブルエッグのサンドイッチの昼食。

此処から見る山腹の眺めが好きだけど、桜も終わり華やかさに欠ける。

一三鉄塔から下降するには幾つかルートがあるが、ここでも一番楽な

ルートを選んだ。少しだけ巡視路を戻って北向きの谷を下って行こう。

最初こそ急だが柔らかい土砂の詰まった谷は、まるで砂走りのように

下って行ける。この谷にはシロバナウンゼンツツジがもう咲いていた。

標高を下がると景色の濃度が一転する。前のピークは木ノ袋尾根の頭。

ナバ谷に下り着くと堰堤上の堆積地。堰堤の天端から対岸の尾根道へ。

堰堤下にはナメ床があるんだが天狗塚でスニーカーに履き変えていた。

なので一四鉄塔の尾根に出るが怪我の功名。ツツジの花が残っている。

確かに杣谷の奥の方へ行くほど開花時期は遅くなるが、一つ北の尾根

だけでこれほど状況が違うとは思わなかった。南側の方が花色が濃い。

北側にはピラミダルな木ノ袋尾根を常に見つつ下る。地形図には谷の

名前しか残っていないが、本当は山塊の名が木ノ袋と思う由縁である。

杣谷道に下り着く手前では、ヒカゲツツジが一株咲いていて吃驚した。

小ぶりだが花の数が多い。この尾根で見るのは初めて標高も最も低い。

杣谷道を永峰堰堤まで下って来るとモチツツジがもう既に咲いていた。

この花を見ると初夏へと季節が移る。年々歳々花相似 歳々年々人不同。

 

今日のBGM  小学生に大人気らしい。

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