摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

成就山(236m)から衣笠山(201m)へ・・・京都市右京区

前回、衣笠山を歩いた時に成就山まで縦走するのは難しいと思ったが、

どうも誤りのようであった。龍安寺の寺有地を避けるために北側から

回り込むようだが、ネット上には通して歩いている記録が散見された。

3月1日に衣笠山へは東側から取り付いている。なので今日は成就山

から入ってみよう。一条通の食堂で肉そばと惣菜の昼食を頂いてから

のスタートだ。仁和寺の門前に到着したのは既に12時を過ぎていた。

なぜか前回あった拝観券の購入を求めるような看板がない。通常営業

みたいで仁王門から中門へと抜けていく。成就山の登山口は境内の外

なので門前から大回りしてもよいが、境内を抜けるほうが少しは近い。

山行の安全を祈願してから西門に向かう。御山めぐりの立派な標柱を

見るにつけ、やはり此処を出発点としたいもの。門を抜けると瀟洒

住宅街が続く。西へ進み突き当りを山側に少し入れば一番札所である。

御堂の中に人がいたので少し驚いたが、コロナ禍で無人だったほうが

異常な事だったよう。おもに御朱印を付与される方らしが、そんなに

需要があるのだろうか。山中で出会う人は近所という感じの方が多い。

札所巡りが目的ではない。そういう人向けに参道ではなく尾根を辿る

山道も出来ている。御堂の裏側を通って行く。此処では3箇の札所を

スキップすることになった。コンクリート敷きの参道に比べ歩きよい。

二四番札所横の展望所に到着する。ちょうど休憩したくなる所にある。

正面に見えているのが石清水八幡宮と天王山。その後ろに生駒山系が

ぼんやり見えていたり。もっとも眺望はこの先にもっと良い所がある。

展望所から参道ではない尾根道を辿って行く。コバノミツバツツジ

咲いていた。よく見ると両側の藪はツツジが多い。これは意外だった。

宝ヶ池の東山ではツツジ保護の為として柵まで設けてあるというのに。

なので京都では、コバノミツバツツジが珍しいのかと思っていたのだ。

まだ少し早いようで咲いている株は少ないが、摩耶山系と変わらない

密生度合いである。あと一週間ほど経てば満開になるかとも思われた。

成就山の頂上とされている場所。実際の最高点はもう少し北側だろう。

ここも西側の展望があるが、もう少し下った所に眺望の良いベンチが

あるので、そちらで休憩しよう。左の藪もコバノミツバツツジである。

頂上より少し下った所の一株。此の日に見たツツジの中で一番豪華?。

若葉はまだ萌え出ておらず花弁だけ。おそらく今朝咲いたと思われる。

ツボミも沢山ついているので、明日になればもっと量感が出るはずだ。

京都市内を一望できる場所に来た。私製ベンチがいくつか並んでいる。

ちょうど真ん中に高層ビルが一つ見える。阪急京都線の車内からでは

見えない建物。後で地図から京阪樟葉駅前のタワーマンションと知る。

左手に車道が見えた所で八十八ヶ所巡りの参道から外れる。此処にも

ツツジの株がある。岩場にあって開花すれば趣ある風景を作るだろう。

車道にいきなり飛び出さないように、ロープで誘導路が作られていた。

道路の反対側には擁壁に石段が作られている。つまり舗装路が出来る

前から歩かれていた道があったという事。日本の道路行政の基本的な

部分で従前の通行権が保護されている。高速道路の歩道橋が具体例だ。

尾根筋に出ると意外に幅広い道がある。進んで行くと四差路に出会う。

右はきぬかけの路、左は宇多天皇陵。前方の道は斜面を巻いて行くが、

もう一つ高みに登って行く山道があるので入ってみるがこれは遠回り。

小ピークに上がったが又下ってしまう。右側は石庭で有名な龍安寺

寺領地が続いた。ずっと柵や立入禁止の札があるので、間違って入り

込む恐れはない。感じは悪いが、違う意味で衣笠山への道案内となる。

また四差路がある。左側には樹幹越しに大きな木造建物が見えている。

雰囲気は製材所みたい。直進する道でまた小ピークに上るがこれまた

間違い。行き止まりのようなので分岐に戻り、右側の道に入って行く。

きぬかけの路に下ってしまうのではと思ったが小さな地形をくねくね

進んで行く。石柱に参陵道の文字。此処まではちゃんと読んでおらず

参詣道と書いてあると思っていた。山道でなくあくまで参陵の為の道。

比叡山が見える唯一の展望スポット。此の付近七つもの天皇陵があり、

地理院地図に一々陵墓の名前が記載されているので地形が判りずらい。

記号という訳にいかないのかな。地形図という役目からはズレている。

左側斜面は杉の植林帯が続いた。まだ若い木が多い。その中の一本が

とんでもない形状で驚いた。どうやったら固い木がこんな形状になる

のだろう。たとえ人為的なものとしても、その方法の想像も出来ない。

方形と思われる石垣に突き当たった。これが御陵であろう。実際には

此処も龍安寺の境内だという。調べて見ると意外にも近代まで葬儀は

仏式で行われている。東山の泉涌寺内にも数多くの御陵があるという。

円融天皇陵からは立派な参陵道をあるので、一條天皇陵へ下っていく。

展望はないが恐らく衣笠山は南東方向と思われる。左手に踏跡らしき

を探しながら進む。一箇所マーキングがあるがちょっと怪しくてパス。

やがて一條天皇稜と思われる石垣に突き当たった。これ以上下る気も

しないので石垣に沿って東側に向かう。次の角まで行くと上から踏跡

が降りて来ていた。たぶんさっき見たマーキングの出口だったみたい。

結局、対角まで進むと衣笠山を示す私製道標があって、良く踏まれた

道が東へ向かっている。少し先で三叉路がある。左の緩い道は乗り越

を経て衣笠幼稚園前へ至り、直進する道が頂上への近道のようである。

直進する道を選ぶが相当急峻。ここまで緩い道ばかり歩いていたので

これが堪える。ほんの僅かな距離だったが二度三度立ち止まって休む。

周りを見回すと植林地ではあるものの下草や苔が繁り割良い雰囲気。

ようやく衣笠山の頂上に到着。平坦な広場だが東西が少し抜けており

展望がある。伐木を使ったオブジェというか何というか不思議な物が

二つ三つある。子供の作った秘密基地らしくもあり祠のようでもあり。

東側からの眺め。まず右側に大文字山。三角形の火床もはっきり分る。

伸びやかな稜線の先には比叡山。更にその左側には横高山と水井山の

ツイン・ピークス。そこから目を下げると鹿苑寺金閣も見えている。

この展望所から真っ直ぐ下っていく道がある。今日はこの道を下って

みようと思う。さて何処に行き着くか。家族は金閣寺に下れるかもと

言うがそれは全く無理なこと。でも樹林が続いているようにも見える。

直線的にどんどん下っていくとフェンスに突き当たる。どうも立命館

大学のバイク置場みたいだ。思っていたより南北に広大な敷地である。

フェンスに沿って道があり北へ進めば衣笠幼稚園上もすぐ近くだろう。

此処は南側に向かって下って行くときぬかけの路に出た。門衛のいる

バイク置場のすぐ脇である。道標の類はないけど近所の人が日常的に

散歩に使っていそうな道である。筋向かいの建物は立命館大学の校舎。

実はこのあとに船岡温泉へ行って汗を流そうと予定していたんだけど、

何だか凄く疲れていて止めた。低山とも言えない標高の山歩きなのに

情けない事だ。それでも仁和寺から参陵道を廻った京都らしいハイク。