摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

六甲山 一ヶ谷道から石切り場跡へ

11月に入って快晴が続いている。予定が一つ無くなった事もあって、

何となく山に行こうという気になった。16系統の神戸市バスで六甲

ケーブル下へ。現在は車両故障運休中代替バスが運行されている。

終点まで乗車したのは我々だけで、すぐに大型バスが発車して行った。

トライやるウィークの中学生が乗車整理を手伝っていた。運休は残念

だが神戸らしい魅力的な配置先。職員の方々も優しく接しておられる。

まずは油コブシの一般道を目指し、マンションタイプの老人ホームが

立ち並ぶ坂道を歩いて行く。新しい看板が設置されていた。イノシシ

のイラストが秀逸。ザ・ワイルドブォースって何だかカッコいい響き。

最初の伐採地を過ぎて、樹林に入った所で西へ進む小道へ入って行く。

六甲ケーブルの法面補強工事の際に相当の通行があったよう。前回に

歩いた時より道が良くなったように一瞬思ったが、それは少々勘違い。

左下の六甲ケーブルの線路から大きな工事音が聞こえて来る。運休の

原因は車両の台車部分にヒビが発見されたとの事。まさか此処で修理

している訳ではないだろう。対岸にこれから歩く尾根が険しく見える。

一ヶ谷道といっても谷沿いを歩くわけでなく、右岸の支尾根を辿る道。

山上へは効率的に行けるが、最初の部分に危険個所がある。急斜面で

道が流れかけている所が10mほど。小石が多くザレていて嫌らしい。

一息つく間もなく5mほど危なっかしい所。ここで滑ると川底の岩に

叩き付けられる。まあ普通に歩ける人なら何てことなく通過するかも。

ヒザに故障のある家族や、バランス悪いハムは慎重に歩いて行かねば。

この後も急斜面の道は流されるだろうから、一般にお勧めは出来ない。

堰堤の下で対岸に渡渉する。下流方向に六甲ケーブルの橋梁が見える。

運行していればカラフルな車両が見えて楽しい所。まあ一休みしよう。

足元に不思議なものがあった。古びたペットボトルの中に青々とした

草が繁茂している。何処かに小さな穴が開いていて土や種子が入った

のかも。ゴミはゴミだが持ち帰るには忍びなくそのままにしておいた。

右岸の支尾根に取りつき堰堤の天端を経由、少し上がれば鉄塔がある。

六甲ケーブルのトンネルの真上と思われ、専用の送電線或いは通信線

と思われる。此処には保守の人も来るだろう道も直してくれないかな。

一ヶ谷の源頭辺りに六甲ケーブル山上駅が見える。標高差は400m。

それにしては遠くに見える。この数か月、山に入ってないので自分の

目測が怪しくなっているのだろう。さて々目的地まで行けるだろうか。

最初は明瞭な細尾根が続いて迷いようもないが、次第に尾根が広がる。

西側に踏跡が振れたりもするが、概ね尾根通し。それほど気にせずに

トレースして行ける。やや濃い笹原もあるが、綺麗に刈ってあったり。

支尾根が斜面に消えるころ、西側へ誘導する白いポリロープが現れる。

敢えて逆らう必要もなくロープに従って行けば、天望尾根に飛び出る。

アイスロードへの分岐の一つ上のコブと言えば、分かる人も多いはず。

安易に入り込まないようガイドロープは尾根筋の手前で終わっている。

堰堤下まで下ってしまうと、道が流されていても引き返すのは難しい。

他人事ではなく、我々のようなレベルのハイカーは下らない方が良い。

天望尾根の笹原が以前より背が高く繁っている。ミヤコ笹だったのが

根笹に変わったのかと思う程。前を行く家族の姿が藪に埋もれている。

末端の関電巡視路が落石防止のフェンスで塞がれた影響もあるのかも。

歩く人が減ったのか、10年前なら一筋の道が明瞭に見えていたはず。

六甲らしく静かで好ましい道と思っていたが、退屈に思い始めている。

自分の山への興味が薄れているせいかも知れない。淡々と歩いて行く。

下部は針葉樹、中段以降は照葉樹の多い尾根だが標高が上がるにつれ

落葉樹もポツポツ現れる。左に真水谷を挟んで堡塁岩が見えるように

なると天望尾根の頭というべき展望所も近い。分岐を右に入って行く。

金属製の角パイプがベンチ代わりに置いてある。時刻は12時20分。

2度目の小休止にしよう。六甲ケーブル下から2時間も掛かっている。

遅いとは思うが意外にも疲れてはいない。昼食はもう少し先で摂ろう。

緩やかな尾根を辿るとケーブル山上駅の下に出る。途中に鹿の生息域

を調べる為のセンサーカメラが設置してあった。6月灘区の市街地に

ニホンジカが出没したのを受けての調査だとか。鹿さんも大変だなあ。

運休しているケーブル山上駅前は、代替バスやら山上バスで大賑わい。

乗客は少ないんじゃないかと思っていたら、遠足らしき小学生を満載

したバスが2台も走り去った。そうか世間では行楽シーズンなんだな。

その昔に度々利用した甲楽亭。屋根の上の風見鶏が時代を語っている。

不動産会社の看板が貼ってあるが買い手はないよう。良い場所だけど

カフェとかしても採算は見込めないのか。昔座ったベンチがまだある。

目的地は記念碑台の向こう側だ。車道をブラブラ歩いて行く。家族が

今年の紅葉は色づきが悪いんじゃないとか言うが、さてどうだろうか。

道路沿いの建物は50年以上の歴史がありそう。懐古的な気分になる。

此の道は何度も歩いているが、記念碑台には一度も上がった事がない。

家族も同様で登山の対象ではなくて、あくまで観光地と云った認識だ。

此処が今日の目的地ではないが、この世の思い出に立ち寄ってみよう。

階段を上がると想像以上に広い園地になっていた。ブルーム氏の胸像。

芝地はイノシシの格好の餌場になっているよう。その向こうに立派な

ビジターセンターが建っている。国立公園なのに兵庫県の施設らしい。

ドウダンツツジなのか真っ赤になっている。摩耶山や淡路島も見える

が視界は狭い。大きな展望台を作れば一大観光名所になりそうだけど、

駐車場に限度があるので難しいのかも。ベンチもあるが落ち着かない。

昼食は目的地の岩場で食べよう。ノースロードに入ってすぐ良い道が

北西に下って行く。記念碑台に駐車しゲレンデへ往復される方が多い

ようだ。とても清浄な雰囲気である。下降路を右に見て直進して行く。

するとゲレンデ頂部に飛び出した。眼下には裏六甲ドライブウェイ

見えている。覗き込んでも岩場自体は見えない。その昔に堡塁岩では

散々遊んでいたのに、この岩場を聞いた事もなかったのはどうしてか。

分岐に戻って下降して行くと岩場上部が見えて来た。中々のスケール。

御夫婦のクライマーがおられたので幾つか質問させて貰う。ゲレンデ

として使われるようになったのは、40年前くらいかなというお答え。

岩場の名前は「無い、石切り場跡だ」と明確な回答。最近ネット上で

六甲バットレスと呼ぶ向きもあるが、現在の形状から違和感があった。

バットレス(控壁)と言えば北岳のそれだが、似ているとは思えない。

昔は人工登攀のゲレンデだったそうだが、今は細かいピッチで強固な

ボルトが埋め込まれている。今登っておられるルートは25m程あり。

中央では30mあるそう。ご主人がリードされて奥様はトップロープ

ザイルは60mを使っておられた。拙い質問に答えて頂いて有り難う

御座いました。昼食を摂ったり、見学させて頂いていたら15時近い。

そろそろ帰らないと暗くなる。元の道を天覧台に戻り寒天山道を下る。

渦森台4丁目から神戸市バスで甲南山手駅に出る。家まで歩いて帰る

と3万歩を超えていたが、興味深い一日でそれほどには疲れていない。

思い出話ばかりの記事になってしまう。ブログもこうなると末期症状。

 

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