摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

阿弥陀ヶ峰(196m)・・・京都市東山区

豊臣秀吉の墓が京都にあると聞いた。それ自体に興味はさほどないが、

長い石段を登って行くらしい。最初は何処にあるのか分らなかったが、

清水五条の交差点からそう遠くない。散歩にちょうど良い距離のよう。

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清水五条から500m東大路通りを下ると、東へ緩やかに登って行く

坂道と出合う。この坂は京女の学生が通学するので、女坂という名が

付いている。地形図からは読めないが左側はフォーシーズンズホテル

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坂道を登りきると平坦地に到着する。その広さの割りに建物は少ない。

ここが豊国廟なのか。敷地の三分の一程は、京女の学生バスの駐車場

となっている。このまま進んで良いかなと、キョロキョロしてしまう。

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すると案内所の小屋の窓が開いて、当直者の男性に声をかけて頂いた。

初めてだと察せられたのか、豊国廟の概要を話して頂いた。其の上で

入場したいと申し出ると、時間と体力とお金を使って頂きますとの事。

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一瞬ビビり幾らまで出せるかなと、頭の中で考えたりしたが一人百円。

喜んで納めさせてもらう。前を行く青年は陸上選手らしく、志納金箱

に百円玉を投げ入れると、あっという間に石段を駆け上がって行った。

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家族が石段を数えていたが分らくなったと言う。ちょうど下って来た

青年が立ち止まって挨拶してくれたので、ついでに聞くと上下併せて

500段位との事だった。ネット上でもいろんな段数が記されている。

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中段に平地があり立派な門があるが、只それだけで階段が続いている。

つまり此処は寺でも神社でもなく大きな墓のよう。日光東照宮や大谷

祖廟、高野山の御廟のように日々盛大に弔ってくれる人はいないのだ。

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そうか豊臣家は家康に滅ぼされたのだから、江戸時代に存続できたと

は思えない。帰って調べると山麓に壮麗な豊国神社があったが家康に

破壊され明治時代に入るまで荒廃していたという。だから寂しいのか。

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という訳で現在目にしている建造物は、全て明治時代に作られた物と

いう事になる。数百年以上経つものが、町中にゴロゴロある京都では、

それほど大事にされていない感がするのも当然か。訪れる人も少ない。

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案内所の方も言っておられたが山頂の一角が伐採され、視野は狭いが

清水寺の伽藍群が見える。昨日歩いた東山もその向こうにあるようだ。

近くの木に私製山名板があって、此処が阿弥陀ヶ峰という名だと知る。

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観光の積りで来たのに196mのピークに登っていた。いわゆる東山

三十六峰の一つだという。下りも元の道。上の石段は30度あるかな。

出だしだけ少し怖く思う。頭上の枝から雪の塊がドサッと落ちて来る。

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閑散とし寂しげな豊国廟ではあったが、日本の歴史を実感するようで、

興味深いものがあった。帰り際に案内所の方に一言御礼申し上げると、

御利益がありますようにと言って頂く。観光地らしくない京都の一面。

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女坂を下りきると智積院(ちしゃくいん)の北門が有った。立入禁止

の札がないので入っても良かろう。京都の寺院にも慣れて厚かまし

なってきた。最初の頃は遠慮というか、拝観料が怖くて入れなかった。

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京都の大寺院は有料・無料の区域がハッキリ分かれている。日常的に

地域住民の通路としての役割を担っている境内も多い。智積院の境内

は美しくも豪勢に整えられている。現代まで隆盛は続いているようだ。

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此の寺は和歌山県の根来にあったが、1585年に秀吉の根来攻めで

全山が炎上。その後1601年に秀吉を祀った豊国神社の跡地を家康

から与えられ再興したという。そんな史実を2時間の散歩で実感した。

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なんとも豪勢な散歩だと嘆息する。智積院から東へ下って行くと左に

ハイアットリージェンシーがある。右は国立京都博物館。更に下ると

三十三間堂。此処は境内に入るのにも拝観料がいるようで通り過ぎる。

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若狭の三十三間山には山スキーで訪れた。確かに杉の大木が多かった。

この寺院に使われているとか。歩いて行くと格子越しにパラパラ漫画

のように本堂が見えて面白い。この後も養源院や建仁寺に寄って帰る。

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今日のBGM


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