家の窓から見える山を歩こうと中山と六個山へ行った。だけどもっと
近くに見える甲山(かぶとやま)に、家族が一度も登っていないのに
気付く。ハムは一度だけ。紅葉も期待できる時期なので行ってみよう。
夙川沿いに歩き北山公園を抜けて向かう。甲山自体はつまらないので、
周囲の山と組合せないと時間を持て余してしまう。なるべく河川敷を
歩いてみたいと思うが、それほど長く続かず護岸上に上がってしまう。
赤く紅葉した桜の葉は、ほとんど落ちてしまっていた。川面に浮かぶ
落葉も黄色いものが多い。夙川の水量は普通ぐらいかな。布引貯水池
の渇水状態を思えばに比べれば多いかも。いつになく水が澄んでいる。
JRの鉄橋を潜り護岸上に出た所に、葉を残している桜の木があった。
夙川全体でもこの一本だけ。中々見事。紅葉する木だと認識はあるが、
自宅の近くにも桜の木は沢山あるので、夙川まで見に来る気もしない。
他には白い小さな実をつけたナンキンハゼの大木が、キレイだったが、
それほど見るべものもない。河原には季節外れかクレソンも小さな株
しかなかった。セリもあると聞いたので、探してみるが分らず仕舞い。
銀水橋から北山公園に入る。どうも紅葉じゃなくて黄葉って感じだな。
六甲山系の樹木は全て治山の為に植えられたもの。生育の早い照葉樹
が多く落葉樹は少ない印象だが、こうして見るとそうでもないのかも。
西側の歩道を上がって行き、展望所に出た所で雨が降って来た。陽は
燦々と差しているのにパラパラ小雨が降っている。芦屋市内が霞んで
いるのは雨のせいのようだ。此処は木陰なので止むまで待っていよう。
10分程待っていたら東の空が青くなった。展望所から僅かな上りで
北山池に到着する。此の池は三つに分割されていて、上の写真は中段
の池である。背後の山が借景になっていて良い感じと、しばし見入る。
花見広場に桜が咲いていた。十月桜や冬桜といった品種が植えられて
いる。ただヒマラヤ桜のように盛大に咲く木ではなく、交配で無理に
作られた木という感じがする。狭い庭で見るのに向いているかと思う。
緑化植物園内の北山山荘に寄れば良かった。格別に紅葉の美しい所だ。
北山貯水池へ向かう途中で、絶叫岩(たぶん)の頂部に上がってみる。
鷲林寺南町辺りの高級住宅街が良く見えている。平頂なので休憩適地。
北山貯水池に下る手前。高圧電線の下が、ごく最近に伐採されたよう。
少々乱暴な切り方のように思うが、上から見下ろしているので、そう
思うだけで普通だろう。公園内だから多少の配慮があっても良いかも。
貯水池畔に出ると北風が強い。土曜日なので通行する人は多いのだが、
ベンチに座る人はいない。東屋の裏に座り込みバナナ各一本の小休止。
北風さえ避ければ陽射しは強いので、それほどに寒さは感じなかった。
北山貯水池から大師道を渡り北上する。自然観察池手前から東へ進む。
池畔にモミジが何本か植えられているが、それほどの景色とは言えず。
どうも紅葉目当てに甲山に来たのは的外れ。ろくに下調べしていない。
準備が十分ではない我々は気が引ける登山口の看板。甲山には4本の
登山路があるが、ハムが歩いたのは此処から一度だけ。それも自転車
で来たのでピストンしている。今日は南東のバス停に下ろうかと思う。
登山口から頂上までは標高差は86m。時間にして10分足らずだが、
どんな準備がいるのか。その答えは頂上で分かった。土留階段が続く。
やはり黄色くなっている葉はあるけど、紅葉って感じじゃないんだな。
ゴロゴロ岳の向こうに見えるはずの六甲山がガスって見えない。また
雨が降っているんだろう。今日は一日中、冬型の気圧配置で時雨模様
みたい。寒冷前線の通過なら急激に寒くなるはずだが、そうでもない。
頂上の手前でポツポツと来た。でもこのぐらいならすぐに止むはずだ。
家族が紅葉した灌木を指さし「触るなよ」と言う。山漆の木だろうか。
ハムは鈴鹿で漆にかぶれ、首より下の全身が真っ赤になった事がある。
登山口から10分足らずで甲山の頂上に到着。広い草地なのに周囲は
樹林に囲まれて全く展望は無い。ただ空が広いだけで山名碑すら無い。
西宮市はハイキング道整備をする気が、全く無いのをよく表している。
三角点の写真を撮っていたら本降りになって来た。その途端に山頂に
いた数組10名程のハイカーが、全員さっとカッパを取り出し着られ
て驚いた。なるほど看板の山登りの準備とは、そういう事だったのか。
もちろん我々は今日も雨具は持っていない。神呪寺を差指す私製道標
を見て下りを急ぐだけ。少し下ると大阪平野の眺めの良い所があった。
晴れている所と雨が降っている所が、はっきり別れていて面白い眺め。
13分で神呪寺(甲山大師)境内に到着した。此方に下るのは初めて、
新しく立派な伽藍に吃驚した。ホームページを見ると最近の上棟では
ないので、屋根と壁を補修されただけかも。雨は小降りになっている。
境内には東屋のある展望台が設けられていた。もちろん本来は参拝者
向けなんだろうけど、屋根の下にはハイカーが大勢雨宿りされている。
先程まで雨が降っていた大阪も晴れている。きっと夜景も綺麗だろう。
神呪寺の境内も拝見したいと思うが、数分後には一時間一本のバスが
通過する。写真を取らせて貰い下山した。背後の甲山は落葉樹ばかり。
この一角が寺領なのだろうか。北東側は針葉樹の植林帯となっている。
神呪寺から阪急甲陽園駅に出るのも一考だが、西宮に用があって終了。
すぐに阪神西宮行きのバスが来た。その頃には空は晴れ渡り眩しい位。
紅葉は見れなかったが最後に変化が有り、楽しいミニハイクとなった。