猛暑に耐えかねて出掛ける気がしない。大雨でも降れば沢に入ろうか
と思うが晴れ続き。一方相変わらず京都のホテルが安いので、それに
かこつけて半日程度のハイキングを考えてみる。でも大抵歩いている。
無理矢理ひねり出したのが瓢箪崩山というちょっと変わった名前の山。
四条河原町から京都バス岩倉村松行きに乗車し、八幡前バス停で下車。
ずいぶん長く乗せて貰ったが、一律料金区間内なので運賃は230円。
大鳥居の前を狛犬ではなくて、雌雄の鳩が御守りしている。後利益は
子供のかん虫封じ。害虫駆除等で虫八幡と呼ばれているそう。鳩とは
直接関係ないようだ。鳩は神様の使いという以外の関りは不明らしい。
境内には噴水が上がっている。池畔のベンチに腰掛けて朝食を頂いた。
瓢箪崩山は岩倉花園町や長谷町から歩くのが一般的のようだが、それ
は短すぎるし、箕ノ裏ヶ岳から周回するのでは長すぎるように思えた。
噴水の前の細い道を辿って行き、三明院というお寺の前を行き過ぎる。
バス停からの道筋が分かり易くて、京都らしい風情がある登山口だと
選んでみた。瓢箪崩山の頂上までも、半日ならばほどよい距離がある。
民家に突き当る所で北側の林道に入る。左側の家の裏に獰猛な猟犬が
いて、すごい勢いで吠えられた。20m程進むと山側の擁壁に石段が
現れる。此処から入るようだが廃屋がありゴミが散乱する不気味な所。
ネットで他の人の山行記録を見て選んだコースだが、そういった事は
記載されていなかった。かなりマイナス要因で二度と来たくない場所。
もっとも廃屋を過ぎると、よく踏まれた広い杣道となり気を持ち直す。
道標の類はないし脇道が幾つもあるが、地理院地図の破線路が生きて
おり迷う事は無いだろう。道は北東に進んでいる。感覚的には朝日に
向って行くので東を目指している。三叉路があって今度は東南へ進む。
瓢箪崩山は現在地から北側にあるのに、南側に回り込むのは非効率に
思えるが地形がそうなのだから仕方ない。尾根筋を忠実に辿って行く。
松茸山らしく10月1日から11月15日まで入山禁止との札がある。
右手に八瀬の谷を感じるようになり、尾根道は北へ方向を変えていく。
ここまで南側の高野や、東側の八瀬から上がって来る脇道はあったが、
自分達が歩いてきたより良い道はない。いずれも踏跡程度に思われた。
この日、初めての道標が現れた。私製ではあるが詳細に記されている。
かなり古いので状況が異なるかもしれないが、上高野の崇導神社から
入山できるようだ。地形的にはそのコースが一番スッキリすると思う。
暑さは厳しい。樹林の中なので直射日光は浴びていないが、風の通り
は良くない。10分歩いては10分休み冷水を飲む。そんな繰り返し。
西側が抜けた所が有った。一番高い山は愛宕山だろう。他は判らない。
植生は思っていた通り魅力的なものではない。杉の人工林と雑木林が
交互に現れて見るべきものもない。ただ346標高点からの下りだけ
落葉樹の大木があって緑が美しいと思った。ここでも5分程休んでる。
461標高点を過ぎ、緩やかな稜線を辿って行くと、八瀬分岐という
峠状の場所に出た。消防団の名があるので一応は公設道標なのだろう。
来た方向は八瀬・高野となっているが、下山口までのフォローはない。
八瀬分岐から地形図上では、尾根道と斜面の道の二手に分かれている。
現在は斜面をへつる道の方が良く歩かれている。自然とそちらに入り
緩やかに斜上して行く。やがて尾根道と合流すると最後の登りとなる。
10時53分、瓢箪崩山の頂上に到着。三宅八幡神社を8時に出発し、
約3時間も掛かっている。多分途中の休憩で1時間以上も使っている。
頂上は樹林に囲まれているが、三方に隙間があり少し展望が得られる。
最も印象的なのは東南方向で、比叡山が間近に迫っている。近すぎて
山容を楽しむまでには至らない。西側には愛宕山も見えるが樹幹越し。
北側も僅かに抜けているが、何も見えないよりはマシという程度かな。
頂上からはまず寒谷峠を目指して下る。瓢箪崩という変わった山名は、
その山容から付いたという説が有力だが、ハム的には瓢箪型の山崩れ
跡が有ったのではないかと思っている。はっきりした定説はないよう。
寒谷峠に到着。摩耶山にも同じ名の谷がある。此処では南西の岩倉に
下る谷ではなく、北東の大原に下る谷が寒谷なんだろうか。地図には
谷の名が記してないので、判然としないが名前からするとそう思える。
寒谷峠から砂利が沢山混じった斜面を下ると、15分で谷沿いの林道
に出てしまった。後は淡々と歩くのみである。逆コースだと頂上まで
あっけなく着いてしまいそう。下って行くと大きな溜め池の脇に出る。
路傍に変わった草花を見る。花穂と思われる部分から、花だけでなく
葉も出ている。帰って調べるとメハジキという名前だとか。もう少し
後だと花が綺麗だったみたいだ。ご近所の方が保護されているらしい。
さらに下ると石碑が有った。朗詠谷(御所谷とも云う)と彫ってある。
とすれば寒谷は大原側の谷なんだろう。下った岩倉は昭和の新興住宅
街といった風情。時間的に余裕が有るので岩倉実相院まで足を延ばす。
実相院まで来たのは失敗だった。周囲は病院がある外は普通の住宅地。
京都らしい雰囲気もない。又この時間帯、実相院発のバスは国際会館
前までしか行ず、途中で市バスに乗り換えて河原町へ戻る事になった。