摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

喜撰山(416m)・・・京都府宇治市

この日は山を歩く予定は全くなかった。なので何の用意もしていない。

だが昨夜泊まったホテルに、とんでもなく大声で喋る女子大生二人組

がいて、チェックアウト時刻まで部屋にいる事さえ気持ち悪くなった。

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家族は大浴場でも一緒になって、珍しく憤慨している。コロナ禍での

大学生活は気の毒に思うし旅行を楽しんでいるなら、我々が逃げ出す

方が理にかなっている。五条から京都駅へ歩き、宇治駅へは240円。

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昨夜小雨が降ったせいか、気温は前日よりも2度ばかり低くなるそう。

早めに朝食を摂って出たが、宇治駅出発は10時とあんまり早くない。

半分観光を兼ねて、以前ネットで見掛けた喜撰山を周回しようと思う。

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家族は何度か来ているが、ハムは宇治市には初めて来た。地理的にも

何処にあるのかさえピンと来ない。駅前から宇治川に突き当った所で

平等院門前の土産物屋街に入る。閑散としているのはコロナ禍だから。

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平等院手前で宇治川に抜け、橘橋で中州に渡り、朝霧橋で対岸に渡る。

正面に見えるのが最初に登る仏徳山(131m)であろう。川の水が

満々としており、大雨の際には溢れ出さないのかな。少し心配になる。

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対岸に渡ると宇治神社。すぐ隣には世界文化遺産だという宇治上神社

京都市内の大きな神社を見慣れてしまったか、両社とも小ぶりに思う。

何で狭い所に神社が二軒隣り合わせ何だろう。そんな事しか考えない。

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宇治上神社に「仏徳山は当社の敷地ではありません」と張紙が有った。

その意図は分らないが、北側に少し進むと東海自然歩道の道標を見る。

遊歩道を九十九に登って行くと、東屋やベンチがある展望所に着いた。

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ご近所の老人達の社交場という感じで、写真を撮るのが憚られるほど

賑わっていた。木々にペットボトルを加工した鳥のエサ入れが吊るし

てあって、ヤマガラが飛び交っている。慣れていて手にも乗るそうだ。

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展望所から石段を上がると仏徳山の頂上。塚のように積まれた小石に

半分埋まるようにして三角点がある。残念ながら展望は皆無。陰気な

所で通り過ぎるよりない。頂上から下ると興聖寺の伽藍を右下に見る。

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鞍部にある三叉路から朝日山に向かう。ところで今日は山歩きの用意

はしておらず、服も靴も街歩き仕様。参考にしたネット記事には林道

や遊歩道の写真しかなく、ずっと歩き易い道が続くものと思っていた。

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ハムは底の平たい靴。家族は踵の浅い靴を履いている。水分は宇治で

1本買い足して計500mlX3。食料は昨夜夕食にしたワルダーの

パンの残りが少々。やはり石積みのある朝日山の頂上から宇治の市街。

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立派な観音堂があるが清浄な雰囲気とは言えない。石碑などもあるが

雑然として雰囲気は良くない。水を飲んで小休止。此処にも野鳥の餌

が吊るしてあったがヤマガラは一羽も見ない。その代わり人もいない。

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朝日山頂上からは緩やかに下って行く。この先で一旦は住宅街に下る

と思っていた。ところが山道がずっと続いた。北側には明星町という

新興住宅街があるので、そこを通った記事とゴッチャになってたかも。

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やがて志津川という集落に下りついた。農家だけでなく工場や事業所

もあるが飲料の自動販売機が見当たらない。これには困ってしまった。

この辺りで冷たいのを買い足すつもりだったから。なんとも甘い計画。

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少し迷ったが集落の奥にある神社から尾根に取りつくようだ。トイレ

の裏側に何となく踏み跡を見つけて入って行く。今一つしっかりした

踏跡ではなかったが、尾根に乗ってしまえば道はハッキリするはずだ。

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最初の内は急な斜面だ。地形図から間違いないと思うが、参考にした

ネット記事からこんな所を歩くとは読み取れなかった。貧弱な針葉樹

を主とする雑木林は、気持ちの良い所ではない。ひたすら尾根を辿る。

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290標高点に到着。神社から45分も掛かっている。一か月ぶりの

山歩きと暑さがたたって何度も休んでしまう。水も随分消費している。

ただ此処からは関電の巡視路を歩く事になるので、道は幾分良くなる。

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290標高点から北東に転じて、10分程で突然断崖絶壁の上に出る。

見た所では土砂を採取しているようだが、自宅に帰ってから調べても

詳しい事は分らない。周囲を見回しても岩壁はなく土の急斜面だけだ。

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地形図からすると真下の施設までの比高差は130mある。岩場なら

ともかく、よく山崩れを起こさないもの。長さ700m、法面を含め

幅300m程の広さがあり、北東奥では今も土砂が削り取られている。

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展望はあるが自然の景色ではないので休む気になれない。先に進もう。

巡視路は断崖の縁を進んで行く。崖からそう離れていない所に、高圧

鉄塔が立っていたりするが大丈夫なのかな?。多分素人の要らぬ心配。

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巡視路を辿って行くと河原に下りついた。倒木や土砂崩れで判り難く

なっているが、下流方向に進んで行くとガードレールが見えた。草を

分けたり沢を渡ったりして道路に出る。志津川集落からダム湖への道。

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反対側にちょこんと見えているのが、今日の目標である喜撰山だろう。

西側へ5分も車道を歩いて行けば、ダム湖を望むようになる。しかし

湖畔にはフェンスが張り巡らされているので、近づくことはできない。

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キレイに草刈りされた路肩に寝転んで大休止。ここでまた水を飲んだ。

残りの水は二人合わせても400mlほど。時刻は13時30分だが、

持参のパンを食べる気はしない。ハード系のパンは口中の水分を奪う。

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碧色の水を湛えた喜撰山ダム湖が見える。正しくは貯水池だけど湖と

呼びたい大きさだ。だが周囲の山が低すぎて不思議に思う。調べると

電力需要の少ない夜間に宇治川の水を揚水して、昼間に発電するそう。

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車道から喜撰山頂上までは標高115mの上り。ヘロヘロに疲れてい

るが、それほど苦痛に感じ無かったのは、これまでの道より歩き良い

せいだろうか。周囲の植生も幾分落ち着いたものとなり好ましく思う。

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とりあえず喜撰山頂上に到着。あまり山頂らしい所ではなく休憩には

向かない。少し水を飲み下りにかかる。良い道が続くがネット記事で

見たような林道は現れないまま20分程下ると、前方が急に広くなる。

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左奥ブロックの階段を下りて来た林道の三叉路。写真右のフェンスを

抜けて進まねばならないが、逆方向に進んでしまい約10分間のロス。

中央奥は喜撰山ダム方面で進入禁止。林道・仙郷山2号線を南下する。

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この2km弱の林道が意外に良い。二日前に打ったワクチンの副反応

か、熱中症なのか意識がフワフワしてきた。過去に家族と長い距離を

歩いた事を次々に思い出す。実際は25分掛っているが数分に感じた。

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なるほど此の林道の印象が良いので、ネット記事に写真が多いのかも。

天ヶ瀬森林公園の看板が現れる。右側の林道を歩いて来た。そのまま

進むと宇治川上流に至る。スイッチバックし森林公園の遊歩道に入る。

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遊歩道と言っても林道ほど平坦ではない。意識を取り戻し歩いて行く。

公園には幾つも道があるが、眺望の道という名のコースを進んでいる。

ずっと樹林の中だけど、コース半ばに立派な展望台が設けられていた。

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ちゃんと眺望があり宇治の市街が望める。涼しい風が吹き抜けるので

ベンチに寝転んでしばし休憩。水も摂取して残り200mlとなった。

空腹を感じないのはホテルの朝食が効いているのか、疲れ過ぎの為か。

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槇尾山展望台からは下りばかりとなった。野鳥観察小屋の脇を通って

冒険の道を下って行く。途中にあった馬の背展望台は、周囲の木々が

成長し眺望がなくなっている。砂利の多い下りで家族が尻もちをつく。

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林道に出てしばらく下ると、トイレのある公園入口に着いた。水道は

あるけど「この水は飲めません」と書いてある。もう少し我慢しよう。

地図を確かめることもせずに、公園を出て車道をフラフラ下って行く。

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眼下に天ケ瀬ダムが見える。今日のハイクで一番の観光スポットだが。

どんどんダムから離れてしまう。500mも進みと地図を確かめると、

公園出口の所で逆方向にダムへ下る階段道があったよう。痛恨の失敗。

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もはや車道を登り返して、ダムを見に行く気力も体力は残っていない。

そのまま下ってしまおう。只ダムにあるだろう飲料の自販機が心残り。

今日通過した志津川集落の南端に出る。更に南へ進めば宇治川右岸へ。

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白虹橋の向うに天ケ瀬ダムを望む。ここまで来ると宇治の観光コース。

散歩する人の姿が多い。暑いが外していたマスクを付け直す。家族は

そういえば山の中でもずっと付けていたな。前方に建物が見えて来た。

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上流から二軒目に自販機が有った。予想ではチェリオのはずだったが

アサヒ。二人で一気飲み。よく冷えてて凄く美味しい。この亀石楼は

大きな民宿。家族は運動の合宿で遠い昔に泊まったことがあるという。

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次に現れた自販機がチェリオだったので、もう一本購入し人心地つく。

宇治発電所の放水路を渡る橋。大津市の南郷から11kmのトンネル

を流れてきた水が宇治川に合流する。色々と見所の多いハイクだった。

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瀟洒な造りの京阪宇治駅に17時13分到着。ネットで見た記事では

6時間前後の記録が多かったが、昼食休憩なしで7時間はかなり遅い。

だけど一ヶ月ぶりのハイクで、それなりに歩けたので良しとしようか。

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