先週、東谷の支流を歩いてから、早や一週間経とうとしている。その
間に晴れた日もあったのに、何処へも行っていない。これでは不味い
と思って、目的もないまま杣谷までやって来た。とにかく山を歩こう。
長峰堰堤下では4組もハイカーを見る。曇り空の土曜日だが、明日は
雨だからか人が多い。杣谷道を歩き杣谷第二堰堤上で入渓する。何の
目的も持たずに来たので、必要以上にゆっくり準備したり、休んだり。
赤い色の川床を歩いて3m小滝。此の滝は水心にスタンス豊富だけど、
この水量では頭から水を浴びることになる。先ほど休みすぎて身体が
冷えている。手前で思い返して、右岸の側壁との際を越えてしまった。
続いて杣谷では一番迫力のある6ⅿ滝。直登は難しいので左側の壁を
登る。さして難しくはないが、高度感もあるし割と楽しく越えられる。
自粛でなまった体でどうか。ところが取り付いてみるとやけに簡単だ。
一瞬、自分が上手くなったのかと思うが、そんなはずはない。よく々
見ると岩が白い所がある。どうも人為的に岩を砕いてスタンスが作ら
れているよう。そんな事をして何の意味があるのだろう。悲しくなる。
正副2基の摩耶堰堤を一般道で越え、急斜面を下って再び河原に戻る。
ヌメッた樋状から落ちる5m滝。右岸水中をへつって取り付く。水心
を横切り右のガリーへ抜けると、頭から水を被ってズブ濡れになった。
こんなに濡れるなら、さっきの3m滝も水心を登ればよかったと思う。
滑状を歩いて巨大なチェックストン滝。20m程手前から右岸を斜上
する。ガイド本では滝手前の側壁を登るとなっているが泥っぽくて嫌。
杣谷を離れて、岩ヶ谷に入る。堰堤工事で出来たガレを登って行くと、
上部で滝身が露出していた。積もっていたガレが流されたよう。入口
の滝は爆破されたと思っていたが、ガレに埋まっているだけなのかも。
何十年かすれば滝全体が現れるかもしれない。摩耶第五堰堤を抜ける。
整地してあった所も崩れて、かつて飯場小屋があったと思えない様子。
堆積地奥の小滝は突っ張って抜ける。此処まで終始のらりくらり歩き。
岩ヶ谷は難しい谷ではない。むしろ源頭から一般道に出るまでが長く
消耗する谷。適当な所で右岸から六甲線一三鉄塔に抜けられないかな。
そんな事を思っていると、チェックストン滝手前で右岸に涸沢がある。
ルンゼと呼ぶほどには険しくないし、土砂の詰まった谷は傾斜も緩い。
下流過ぎて六甲線一三鉄塔へは出ないだろうが、試しに行ってみよう。
岩ヶ谷の入り口近くにある岩壁の裾を、回り込むのではと思っている。
すぐに二俣があるので左俣へ入る。土砂の上に乗った岩が不安定だが、
一人で歩いている分にはさほど気は使わない。左側はかなり高い岩壁。
南側が切れているが、北側へ斜行は可能かも。右は低い岩尾根が続く。
岩に突き当たり涸沢は90度近く屈曲する。凹って漢字が頭に浮かぶ
ような地形がずっと続いている。土砂の堆積がなく川床が露出してい
れば、ガリーとかクーロアールって呼べそうだけど、傾斜が緩すぎる。
多少は傾斜が上がって両手も使うようになるが、このまま稜線に抜け
られるのは間違いなさそう。もし詰まっても左側の岩壁に逃げる事も。
できそう。現在地も何となく想像はつく。さして大きな地形ではない。
途切れる箇所もあったけど、稜線手前ではまた両側を岩壁に挟まれる
回廊状。稜線まで出ると杣谷を挟んで、寒谷南尾根や掬星台が見えた。
現在地は分っているが、一応確かめる為に50m程尾根を下って行く。
長峰山頂を望む展望所に着く。左上には六甲線一三鉄塔が見えている。
この尾根を南へ下ると岩壁の上に出てしまうので、西へ転換する箇所。
逆に摩耶第5堰堤から上がって来た時は、尾根に乗ってホッとする所。
そんな事を言ってみても、分かって貰える人は少ないだろう。何度か
歩いている家族さえも意味不明って言うに違いない。とにかく岩ヶ谷
の右岸を形成する尾根に乗ったので、後は細い踏跡を辿って行くだけ。
六甲線一三鉄塔に到着。長峰山頂上を望み、山懐に抱かれたような所。
春はサクラ・タムシバ・ミツバツツジも楽しめる。初夏の今は深緑で
単調過ぎる。基部に座りこみ家族が作ってくれたオニギリ弁当で休憩。
ふと見るとフェルトシューズにカラフルな虫がいる。ダニなのだろう
咬みついて中々離れない。ごく薄っぺらい体で何処でも入り込みそう。
そろそろ蚊もいるし、虫除けを忘れてきたが次回は必ず持って来よう。
食事を終えたら急な巡視路を歩いて天狗塚へ寄る。ヤマツツジが満開。
ハチノス谷西尾根をゆっくり下る。沢歩きも少し楽しみ、短いが初め
ての所も歩いた。天気は冴えないがまずまずだったか。25541歩。
上の写真は2016年3月、岩ヶ谷左岸尾根の架線場跡から右岸の岩
場を撮影したもの。黄色い破線ぐらいが今日歩いたルートだと思うが、
写真では急峻に見える。もしかするともう少し上流寄りかも知れない。