今朝起きると家族が朝食用に、鶏飯(けいはん)を用意していた。そ
れを持って山に行こう。なにしろ週間予報によると晴れは今日だけだ。
摩耶山に行くほど元気はない。暑さを避けて地獄谷でも歩いてみよう。
朝食は簡単に済ませ、開森橋まで来たのは10時前。前回よりさらに
暑苦しい景色に変わっていた。数組のハイカーが先行するし、高座滝
には毎朝登山組を中心に20人ばかり休憩されていた。平日も賑やか。
地獄谷に降りた所で、大きなザックにメット姿のグループが入渓して
行かれたので、時間調整もかねて休憩する。そろそろ我々もと谷に入
って行くと、最初の小滝で先行グループが新品のザイルを出し始めた。
何をされるのか見たかったのだが、促されたので抜かさせてもらった。
今日はジャガーシグマを履いてきた。滑り易い黒い藻も無く、花崗岩
のフリクションを良く拾う。家族は水心に近い所を選んで歩いて行く。
もっとも人為的にステップが刻まれていて、ほとんど何も考えずに歩
けてしまう。ロークガーデンへの通路と言った位置付けで、沢歩きを
楽しむという雰囲気はない。前後に人がいて常に追い立てられるよう。
あっという間に小便滝まで来てしまった。この付近は踏跡が数多く交
錯しているが、未だに把握出来ていない。適当に左岸を巻き上がって
梅谷第二砂防ダムを越えると、地獄谷も多少落ち着いた雰囲気となる。
梅谷が本当の名で、地獄谷は通称なんだろうか。そう言えば摩耶東谷
にある堰堤も、深谷という名がついている。苔むした巨岩を縫う流れ。
滑床というほどでないにしろ、岩盤の露出した川床を歩くのは楽しい。
二段の直瀑。ベンチ代わりになる大きな倒木があったので、ここでも
休憩する。上段の滝は円形の側壁に囲まれている。規模がもう少し大
きければ名所になったのではと思う。左岸側壁の巻き道から落ち口へ。
さらに1~2m程の小滝が幾つか現れたり、短いが滑床があったりで
飽きずに歩いて行ける。周囲に見上げるような巨岩が現れたりもして、
ロックガーデンらしさも感じる。左から支流が一つ入るのを見て進む。
見覚えのある二俣に到着。前回は若干水量の多い左俣に入り魚屋道に
出た。それでも良いが今日は右俣に入ってみようか。風吹岩の東側に
出るのではと予想している。少ないものの水流はもう少し続きそうだ。
谷にすっぽりと嵌った巨岩。これが最後の見所だったか。しばらくは
水流も続いていたが、やがて濃密なシダ藪の中で消えて踏跡に変わる。
周囲からも踏跡が集まるようで、そのうちに道と言えるレベルになる。
万物相上の道と似た雰囲気だったが、明るい所に飛び出して吃驚する。
なんと風吹岩に直接出てしまった。谷歩きをしていてピークに直上す
るなんて中々ない事。パッと浮かぶのはモジキ谷から稲村ヶ岳ぐらい。
ところで風吹岩は高圧鉄塔の建て替え工事中で立入禁止。その只中に
出てしまった。通路ぽく柵がしてあるのは、工事の休日にハイカーを
通す為なのか。七兵衛山との鞍部で工事のヘリがホバリングしている。
横池に行くとまだ睡蓮が咲いていた。前回よりも水量があるのでボリ
ューム感が増しているみたいだ。花の総数は同じぐらいだと思うけど、
個々の花は気のせいか、一回りサイズが小さくなったんじゃないかな。
平日だが睡蓮を見に立ち寄るハイカーは多い。腰を下ろせるスポット
には昼時とあって休憩する人がチラホラ。やっぱり我々は静かな雌池
で昼食にしよう。池畔の平たい大岩に座り込んで鶏飯の具材を広げる。
二年前鹿児島に行って以来、鶏飯が我が家の定番メニューに加わった。
蒸した鳥胸肉を中心に、錦糸卵、椎茸の煮物。後は適当に家にある物
を使う。今日は紅しょうがを忘れたが海苔と練りワサビがアクセント。
白飯の上に具材を乗せて、コンロで温めた鳥ガラスープを注げば完成。
雌池は生き物が多くて楽しい。亀は大小6匹。小魚もいっぱい。特に
トンボの種類が多くて、パンダのようなコシアキトンボを初めて見る。
食事している間もずっとヘリコプターが、何度もピストンして資材を
運んでいる。かなり大掛かりな工事のよう。昼食をしている間に段々
曇ってきた。そろそろ帰ろうか。魚屋道から会下山遺跡への道に入る。
何だかいつもよりスッキリ見える蛙岩。高い所にはとりあえず登る人。
今日はジャガーシグマに中敷きを2枚入れてみた。かなり窮屈だけど
自宅まで足裏が痛くならなかった。歩数は26618歩で意外に多い。