摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

後鉢巻山(899m)・・・芦屋市最高地点

手許にある昭文社の地図(六甲・摩耶2012年版)を見ると、蛇谷

北山に芦屋市最高峰と付記されているが、違和感を持っていた。なぜ

なら芦屋市の看板がある東六甲ドライブウエイより、かなり低いはず。

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阪急夙川駅から阪急バスに乗り終点の西宮甲山高校下車。土曜なので

運行本数も少なく生徒も一人しか乗車していない。バス停は敷地内に

あるが校舎が見えない。どんな高校生活かなと家族は興味を持ってる。

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一方通行の県道16号線を歩いて、途中から車止めのある旧道に入る。

ロードバイクに何台も追い抜かれる。路面は清掃されているので歩行

者・自転車道路として管理されているよう。のんびり歩けて良い感じ。

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ガードレールの切れた所から仁川を渡る。以前は在ったハイカー用の

ゴミ箱はやっぱり無い。相変わらず道標もない。此処は西宮市であり、

対岸の道を進めば芦屋市の奥池に抜ける。道標の有無で市域が分かる。

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大藪谷沿いの歩道を進んで堰堤を二基越えると、崩れかけたケルンが

路傍にある。ここが三叉路となっていて、前方に大蛇谷が見えている

が、右の樹林に入って行き斜面に取り付くのが、小天狗山への登山道。

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大蛇谷を遡行して適当な所で、此の道に出て下降した事は一度あるが、

小天狗山を通過するのは初めて。もっと密生した樹林の道だったよう

に記憶していたが、冬枯れの今は割合に明るいし、尾根も意外に細い。

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これから進む尾根筋にコブが三つ見えるが、どれが小天狗山だろうか。

地形図を見ても六甲山の支尾根に過ぎないように思う。社家郷山など

から見ても、ピークがあるようには見えない。よく踏まれた道が続く。

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小天狗山を示す小さな私製道標がある。尾根道から20m程北に入る

所が、標高点557のよう。私製の山名標識が一つある。尾根道から

の比高差は数メートルに過ぎず、全くピークという感じのしない場所。

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東側が人工的に伐採され、甲山や阪神競馬場が見える。この付近では

ありふれた景色だし、狭い頂上は休憩する気も起きない。天気予報は

一日中晴れのはずだったが、段々と雲が多くなってきた。気温は高い。

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標高点から5分も歩けば路傍に大岩がある。東の基部から10m程の

高さがあって立派なものだ。小天狗山という名からは此処の方が余程

頂上らしくある。三角点や標高点と山の頂上は一致する訳ではないし。

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次の目標は熊笹峠。標高が上がるにつれて笹原が現れるようになった。

最初の内は都笹かと思われる丈の低い笹だったが、やがて葉の大きな

熊笹の原になった。分岐が幾つかあったが、常に高みに向かって行く。

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芦有ドライブウェイに出た。反対側に歩道はない。45プレートから

南へ少し下ってみたが見つからない。歩行者は通行禁止なので道標類

が無いのは当然だが、古来から歩かれた道の通行権は主張できるかな。

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結局47プレートまで上ってみると尾根への道があった。土曜日だが

通行する車は少ない。ドライブがレジャーという時代でもない。経営

は成り立っているのかな。奥池の住民でなくても公道化が望まれよう。

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上がった所が熊笹峠らしい。「この先ハイキングロードなし」という

看板は芦有ドライブウェイが設けた物だろうが、笹を刈ったのは芦屋

市かな。ちょっと皮肉な感じはするが、作業の為で他意はないだろう。

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それにしても広くてよい道だ。この道は奥池から始まるが、さほどに

需要が有ると思えない。奥池からスタートだと土樋割峠へのコースが

一般的だろう。波打つようにアップダウンを繰り返して疲弊する道だ。

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いったん車道脇まで下りる。この広場は芦屋市の災害情報マップでは

臨時ヘリポートと記載されている。此処から林山(747m)に行く

踏跡があるというが定かでない。展望のない山らしいので興味もない。

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芦有ドライブウェイの宝殿ゲートを右に見ると、しばらくして東六甲

ドライブウェイに出た。この道は自動車道路ではないので、自転車や

ランニングする人が幾組も通過して賑やかだ。芦屋と西宮の市境表示。

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石宝殿の東口で再び西宮市に入る。鉢巻山トンネルを抜けるのが早い

とは分っているが、トンネル手前から旧道に入る。阪神大震災の折に

土砂崩れを起こし、その後トンネルが完成したため廃道となった部分。

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後鉢巻山をぐるっと巻いて崩落現場に着いた。途中神戸市北区方面や

西宮市山口町辺りの景色が広い。震災経験の風化という事が取り沙汰

されるが、この古色蒼然とした案内板を見ればそれも当然と思われる。

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東六甲ドライブウェイとの出合からは、六甲全山縦走路に入る。普段

トンネルを通過してしまうので、この部分は一度も歩いたことはない。

緩やかに東へ向かうが、やがて三叉路があるので西へ戻るように上る。

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石宝殿からするとグルグル2度回ったような感じで、後鉢巻山の頂上

に着いた。関西電力の通信施設があるが、樹林に囲まれて展望はない。

鉢巻山と記された私製の山名標識がある。地理院地図に山名はないが、

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昭文社の地図や芦屋市発行のガイドマップには、後鉢巻山とあるので、

そちらの方が適当だろう。因みに蛇谷北山と林山との中間に鉢巻山が

ある。どちらもドライブウェイがピークを巻いてるのが名の由来かも。

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頂上の一角に座り込み昼食にしよう。スーパーで買った水餃子を寒い

のでスープ餃子にして頂く。薬味は台湾土産の金鉤朝麻辣椒。この種

の辣椒の中では最強の辛さ。数滴垂らすだけで十分で、コスパもよい。

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昼食を終えたら三叉路を東へ下る。トンネルの上を越えたのでドライ

ブウェイの南側に出る。ちょっと変な感じ。そのまま石宝殿の境内に

入って行く。 駐車場からは、海や市街・最高峰も見え意外な展望所。

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下山道は完全に芦屋の市域に入っている。標高870mから下り鞍部

が800m。登り返して蛇谷北山の標高は840m。頂上には芦屋市

最高峰と記された山名標識がある。一見すると公式かと思う立派さだ。

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だが設置日が記されている点で、五助山や天狗岩、鉢巻山と同じ人が

作った私製でないかと思う。それなりの根拠があるのだろうが、隣に

芦屋市の公設標識があるが、最高峰云々といった記載はもちろんない。

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頂上から見える市街は神戸市東灘区。さて芦屋市発行のガイドマップ

では後鉢巻山に芦屋市最高地点と付記があり、蛇谷北山は何の記述も

無い。最高地点がピークでなく斜面であれば、最高峰が低い事もある。

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だが地理院地図を見る限り、後鉢巻山の頂上は、神戸市・西宮市との

市境になっており、十分芦屋市の最高峰と言えると思うがどうだろう。

土樋割峠に下ってきた。東お多福山を越えてもよいが、奥池に向かう。

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初めて歩く奥池の邸宅街ではちょっと迷う。全部で三つある池の内で、

一番大きな池は奥山貯水池ていうのか。そんな事も初めて知る。対岸

に見えるのがゴロゴロ岳なんだろうが、とても山という感じではない。

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真中の池が奥池というらしい。時刻は既に16時15分。日が傾いて

薄暗くなってきた。奥池からは観音山を越えて、鷲林寺に下るつもり。

摩耶山で日頃ロープウェイで下っているので、そろ々足が疲れてきた。

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飯盛尾根の分岐。此処がまた西宮市との市境である。以降は西宮市の

公設道標は一切ない。それに業を煮やしたか、新しく私設道標が分岐

ごとに設置されているが、通行の多い道ゆえ、行政のすべき事と思う。

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観音山の頂上で紅茶とチョコの小休止。バスの時刻なんて考えてない。

のんびりしてたら17時近い。暗くなる心配をしなくてはいけないと、

パノラマコースを駆け下る。15分程で鷲林寺の境内まで下ってきた。

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ほっとしてバス停にゆっくり向うと、目の前を阪急バスが行き過ぎる。

一時間待たなくてはと覚悟するが、10分後に阪神バスの便があった。

同一資本でバスカードも共用できる。真暗な中5分遅れでバスが来た。

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今日のBGM


Godzilla KOTM - Making the Music - Bear McCreary (official)