暖冬が続いている。1月に入っても最高気温は概ね10℃以上はある。
神戸地方は8日に風速21mの強風が吹いたが、春一番じゃないかと
思われるぐらいだ。明日以降は前線が停滞して、雨の日が続くという。
今日も正午には曇り、夜になると雨が降るという。そこで摩耶山上で
短いハイクを考えてみた。掬星台まで往復ロープウェイ。年間パスを
買いながら、十分に消化できていないということもある。始発に乗る。
地理院地図を見ていたら、シェール槍の北669ピークから細い破線
が西側の尾根を下っている。過去に一度シェール道から探ってみたが
道は残ってなさそうだった。だが新穂高へ継続出来そうだと気付いた。
シェール道から新穂高頂上に突き上る沢は、涸れ沢で遡行価値はない。
ただ両岸とも辿れば頂上近くに行き着く。669ピークからの尾根と
繋げれば手軽な半日コースになるだろう。霞の中に沈んだ大阪の市街。
掬星台から杣谷峠までドライブウェイを歩く。今日の目的地が見えて
来た。シェール槍から頂上が三叉路となっているピークまでは、尾根
通しに歩けるのだが、669ピークへは谷にいったん降りて登り返す。
杣谷峠から穂高湖に降りてきた。当然のことながら氷結はしていない。
2018年2月には完全に氷結して、氷上で中学生が大勢遊んでいた
のを思い出す。雪遊びもできないのでは、冬の摩耶山上もつまらない。
穂高湖の東側から回ってシェール槍。頂上から東北へ向け下って行く。
この道は神戸市立自然の家が、冒険の里シェール槍コースとして整備
したもの。現在は利用されていないが、今だに道はしっかり残ってる。
久しぶりに来てみると藪が濃くなっている。冬枯れの季節でこうだが
夏にはどんな状態だろう。鞍部付近では笹が被さり道が見えなくなっ
ていた。それでも道自体は固いし細尾根なので迷うようなことはない。
看板も健在。どのくらい前のものだろう。そもそも冒険の里って何か。
どうも穂高湖に流れる沢沿いにあった遊び場のよう。今も遊具の残骸
が残っているが、沢の中のシーソーとか相当にデンジャラスなゾーン。
東北に向かっていた道が大岩に突き当たり、右から回り込みガリー状
を登る。太いクレモナロープが残っている所が冒険の里ぽい。ここで
冒険の里シェール槍コースは急角度に屈折し、南側の沢に下っていく。
このピークには何度か来ているが、初めて穂高湖と海が同時に見える
ことに気が付いた。写真ではハッキリしないが杣谷峠越しにポーアイ
の東側半分が見えている。さてこの狭いピークが三叉路となっている。
ここで冒険の里シェール槍コースから離れて、北西へ下る踏跡に入る。
これが地形図にある細い破線に沿っている事は間違いない。地図記号
で破線は幅員1.5m未満の歩道だというが、細い破線は何だろうか。
一応、太い細いに関係なく歩道と考えておこう。踏跡を辿っていくと
六甲山牧場のフェンスに突き当たる。侵入防止ではなく羊が逃げない
ようにだろう。右手から道が上がって来ているが我々が進むのは左側。
フェンス手前からスイッチバックするように西側へ細い踏跡が下って
行く。ここまでは人が歩いた跡だと思えたが、段々怪しくなってきた。
猪も歩いているんだろう。地形図の破線路を辿っているとは思えない。
沢まで下ってきた。堰堤より上方が六甲山牧場の園内らしく柵がある。
対岸に渡ると地形図の通り廃道となった林道に出る。それはともかく
沢の色が鮮やかなオレンジ色なのは何でだろう。鉄分が流れ出ている
のかと思ったが、近くで見ると「マリモ」のような藻が発生している。
六甲山牧場の排水が原因だろうが、家に帰ってネットで調べても判ら
なかった。この沢は生田川に流れ込んでいる。少なからず気味が悪い。
廃道状態の林道から、669ピークに向かう道を探すが見当たらない。
なので取り付き易そうな凹状地形から、適当に登っていく。左右から
斜面を横切る道らしきもあるが、追ってみてもすぐに途切れ続かない。
渡渉点からは10分ほどで669標高点のピークに着く。樹林の中で
展望はない。一段下に古い架線リフトの機材や、コンクリートの台座
が残っている。道跡もあるかと探してみるが、はっきりした物はない。
地形図上の破線路は残っていないようだ。それはそれで仕方がないが、
出来るだけ同じルートを辿ってみよう。西に延びる明瞭な尾根を下る。
踏跡があっても良さそうな尾根だが、足裏に固さを感じることもない。
やがて尾根上にコンクリートの杭が並ぶようになる。さして古くない
ようにも見えるが、針金か有刺鉄線を用いた柵のはず。全て錆び落ち
ているので、少なくとも半世紀以上前のもの。しばらく杭沿いに進む。
杭の並ぶ稜線から2m程下に並行する道跡があった。長く人が歩いた
形跡はないが、往時は幅員1m程の道で会ったろう。ただ地形図上の
破線路ではなく、柵の内側を管理する為の作業路であったと思われる。
明瞭だった道跡も谷へ向かうと消失してしまう。再びコンクリート杭
のある尾根筋に戻る。緩やかに下る尾根は、時として水平にさえなる。
地形図の破線路は尾根の末端までいかず、途中でシェール道へ降りる。
下降点は何処だろう。正面に見えるのが新穂高。左側は急斜面が続く。
後から思うと地形図の破線は忘れて、尾根沿いに下った方が良かった
かも知れない。とりあえず稜線から離れて、西側へ下る獣道を追った。
適当に歩きやすい所を選んで下ると、5分と掛からずにシェール道が
見えてきた。この辺りが一番急斜面だったり。確か縁台型のベンチが
2基あった所かと思われるが跡形も無い。もう朽ちてしまったのかな。
最後の1mが石垣になっていて飛び降りる。地形図の破線はもう少し
北側に下っていた。次は新穂高に突き上げる沢に向かう。地形図では
水色に塗られているが、通常は涸れ沢で増水時のみ僅かに水流がある。
シェール道から生田川の対岸を探しても見つけにくい。過去に何度か
歩いているので、どうにか分かった。上の写真が出合。こんな谷にも
治山ダムが3基も設置されている。伏流しているのはそのせいである。
比較的に右岸の方が歩き易いが、今日は左岸を歩いてみよう。最初は
風化した細尾根が続く。安定した岩場で小休止する。水道筋で買った
和歌山産ミカン15個で98円。外見はやや悪いが甘くまずまずの味。
以前はそのまま沢沿いを進んだけど、今日は違うコースを辿りたいと、
3基目の治山ダムを左に見た後は右へ右へと斜上して行く。その方が
頂上に近い所に出るだろう。やがて大岩が笹原に現れるようになった。
難しければ右から巻き、岩の上を歩いた方が楽だと思えばそうしよう。
後で家族に今日の感想を聞いたら、この登りの部分が特に楽しかった
そうだ。ハム的には669ピークからシェール道への下りが良かった。
登るにつれ岩も大きくなる。ただ扁平な形のものが多く容易に巻ける。
もっと北側に回り込んでいると思っていたのだが、帰宅してから地図
アプリのログを確認すると、さほど水線から離れた所を歩いていない。
生田川を渡渉した所で頂上まで15分位だと適当な事を言っていたが、
もう30分も経っている。一旦は南西に下る一般道に出てしまうかと
思っていたが、そのまま頂上に行き着いた。ちょっとだけ気持ち良い。
シェール槍から2時間で到着した新穂高頂上。狭い範囲の短いコース
ではあるが、意外に静かな山歩きを楽しめた。自分が歩ける所は歩き
尽くしたかと思っていた摩耶山だが、まだ々知らない所がありそうだ。
青空が見えたのは11時ぐらいまで、そのあとはずっと曇り。暦では
大寒だというのに10度近い気温。一年に一度位は雪の上も歩きたい。
帰りは水道筋商店街によって、ミカンとかタラの芽とかを買って帰る。
地形図には新穂高の北側に数棟の建物が記されている。昭和55年頃
シェール道から牛舎を見たような記憶がある。その時既に廃業してた
と思う。今日見たコンクリート杭は、その牧場の境界柵かも知れない。