以前からジェットスターを利用し、高知に行ってみたいと思っていた。
8月のセールで209円というチケットが出た。ただ高知便は週4便
の運航で、往復利用すると1泊か3泊の日程になってしまうのが難点。
そこで帰路は青春18切符を利用しようと日程を決める。ただ、その
後には90円というセールもあったので最安値ではない。空港利用料
や支払手数料を含めると、二人分で片道2478円となる。まあ安い。
飛行時間は50分となっているが、体感的に30分位にしか感じない。
大阪は曇天だったが高知は快晴。高知に来たのは2度目。1992年
サイクリングで、室戸岬から足摺岬を回って宇和島へ抜けた事がある。
はりまや橋へは空港バス(740円)で約20分。とさでんサービス
センターで、均一区間の一日乗車券(500円)を買う。鷲尾山へは
徒歩でも行けなくはないのだが、日の短いこの季節では時間が惜しい。
10分程の乗車で桟橋車庫前で下車する。名前の通りとさでんの車庫
があって路面電車を一堂に見ることが出来る。通勤時間帯でないので
駐庫している電車は多かったよう。背後の山がたぶん後で歩く皿ヶ峰。
海や運河がアチコチに見えて、方向感覚が定まらない。スマホの地図
アプリの助けを借り登山口へ向う。ホームセンターの背後に山が見え
て来た。左が宇津野岳で、右が鷲尾山だろうか。高圧鉄塔が多くある。
高知河川国道事務所から西へ進み、西孕第二バス停近くの橋を渡って
山に向かって行く。橋を渡った所の電柱に標識があった。大山祇神社
(総本社は瀬戸内海の大三島)の鳥居を右に見ながら急な坂道を歩く。
高知市街から近い筆山公園がメインルートだが、明るい内に鷲尾山へ
登ってしまおうという計画。それでこの登山口を選んだ。期待してい
なかったけど分り易い標識があってホッとする。後は問題ないだろう。
山に入るといきなり大木というか巨樹が迎えてくれる。クスノキかな。
竹も京都で見るものより倍以上太い。標高300mほどの里山で植生
に見るものがあるとは思っていなかったので、ちょっとうれしい誤算。
その後は植林帯が続く。高知空港には13時着。登山口に着いたのが
14時30分。今の季節は17時には暗くなるが、標高300mの山
だから明るい内に下れるだろうと、まだこの時は考えていた。甘いな。
14時53分、宇津野峠と標識のある鞍部に到着。ハムは先日来カゼ
気味なうえ、今朝家を出る時くつ紐を結ぼうと屈んだ途端ギックリ腰
を再発してしまう。歩くのには支障ないが腰の上げ下ろしの度に痛む。
そんなこともあって体が重い。休み々登っていたら四国電力が設置し
たであろうプラ階段の上で、我々が通過するのをハイカーが待ってお
られた。申し訳ない。鉄塔下で南北の展望が抜けた所。浦戸湾を望む。
半分に切った丸木を、岩と大木に渡した私製ベンチ。腰掛けると北側
の高知市街を一望に出来る。とても安定した座り心地。紅茶を飲んで
小休止。慌てて来て食料を買うのを忘れ、持っているのはチョコ三粒。
四国電力の標柱。鉄塔の番号と巡視路の方向が示してある。考えてみ
れば当然の耐久性を備えている。さて関西電力の標識は何故あんなに
チャチなんだろう。火の用心のプラ標識も、アルミ製標柱も倒れ易い。
しばらくは高知連絡線に沿って進む。相変わらず調子は出ないのだが、
無風快晴で寒さもそれほど感じない。事前にネットで調べると情報が
少なく、もっとマイナーな道なのかと思っていたが、広くて歩き易い。
15時26分、標高256mの宇津野山に到着。三角点があるだけで、
樹林に囲まれて展望は無いし、東西に長くピークと言う感じがしない。
大きな伐木をベンチ代わりに置いてあるが、不自然さがなく好ましい。
さしたるアップダウンもないまま皿ヶ峰への分岐通過。西日の入らな
い東斜面では薄暗く感じて来た。途中もう一人ハイカーに遇っている。
日曜日だし道の状態からすると、もっと多くても良いように思うけど。
山頂には15時57分に到着。何らかの施設跡のようで平たく削られ
ている。西側に秀麗な烏帽子山(359m)が見えている。一等三角
点の山だが、山頂に電波塔が有ったりして、人気は鷲尾山に劣るよう。
南側180度の大展望。正面が桂浜。左から回り込むように山並みが
伸び、中央付近で海に消えている。室戸岬だろうと思うが、案内板は
室戸岬方面とやや曖昧に記されている。高知県の地図が頭に浮かんだ。
同じ所から西に向きを変えると、手前に見える岬の上にも薄っすらと
足摺岬らしき地形が望める。此方も足摺岬方面と記されている。土佐
湾を一望ということ。立ち去り難いが時刻も遅い。さあ下山しようか。
北側の皿ヶ峰に向けて尾根筋をゆっくり下って行く。運動場や道路と
交錯した後、マンションのような建物群の下を通る。土佐塾中学・高
等学校の学生寮だという。歴史のありそうな名だが1987年の設立。
学生寮からの山道の入口には、学校が立てた生徒向けの進入禁止看板
があった。きっと厳しい学校だろうと話しながら歩いていると、変な
銘板を見る。コストが掛ってそうだが、何故こんな名前なんだろうか。
高見町への分岐まで来ると視界が広がり、前方に二つの草山が見えた。
登山道はその間を抜けて行くよう。もう夕暮れが近いので明るいのは
嬉しいし、気持ちよさそうな所と思えた。でも何となく寂しい感じも。
手前の草山の上に標柱らしきが見えたので、石段を上ってみると立派
な墓石だった。ということは、改めて見直すと周囲は全て墓所。山歩
きをしてると墓地を通過することも多いが、山全体って事は無かった。
あちらが標高163mの皿ヶ峰頂上だろう。山肌が縞々に見えるのは、
墓石を据える為に段々になっているから。相当古くから利用されてい
るらしく、どうみても江戸時代の物も多いし、落ち武者が出てきそう。
平成に入ってから作られた物も多い。ガイド本も読んだしネットでも
サラッと調べたが、まさかこんな所とは思ってみなかった。そういや
自分も長峰墓地を歩いても、墓石の写真を掲載しようとは思わないな。
皿ヶ峰頂上を示す標識もあったが、もう立ち寄る気は起きない。山腹
をそのまま巻いて行く。ペン先のようにも見えるがライオン岩という。
前を行く家族は「もっとよく調べておけ。」とかブツブツ言っている。
昼間ならともかく夕闇の頃に歩く所ではない。家に帰って改めて、他
の人の山行記録を見ても、山全体が墓所なんて感じは受けない。どう
かとは思ったが、実際の雰囲気を伝える為に、写真も掲載しておこう。
筆山との鞍部へ下ると車道がある。一帯は公園として整備されていて
桜と夜景の名所というが。車道をダラダラ下って行くと、自転車で登
坂して来る二人。そうか高知競輪場の上辺り。17時33分下山了す。
そのまま大橋通の停車場まで歩く。一旦ホテルに立ち寄り荷物を置き、
シャワーを浴びて夕食に出る。でもそれが仇となってカゼがぶり返す。
また路面電車に乗って県立美術館通駅へ。西村商店という定食屋さん。
ワカナの一本刺し定食1410円と我が家にとってはプチ贅沢。ボリ
ューム感が出ていないのは写真が下手なせいだ。刺身は分厚い。左の
小鉢はクーポンで貰ったカツオの心臓の煮つけ。質も量も満足な夕食。