摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

甲東園から歩く甲山ロックヒル・ハイク

このところ西宮浜に毎日ヤボ用がある。その流れで阪急夙川まで歩き

甲山ロックヒルに行こう。というのも六甲岩めぐりハイキングという

ガイド本を参考に先週歩いたが、上手くトレースできなかったからだ。

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今回は百合野橋からでなく、地すべり資料館からのコースを歩きたい。

阪急甲東園駅がスタート。大勢の学生が下車するので彼らの後を追う。

途中からバス道ではなくて、住宅街の風情のある石段道を登って行く。

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やがて関西学院大学の正門に通じる直線道路に出る。右は甲陵中学校。

左は県立西宮高校。文教地区と言う名にふさわしい所。正面に時計塔。

その背後に甲山が借景となっている。初めて見るのが中々見事な設計。

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関学は部外者の入構を禁じてないが、通学時間で現役学生がほとんど。

身の置き処がない。国立大学なら教職員に研究者や留学生に出入業者

の姿もあって気楽なんだけど。松屋ケンタも有って一般の利用も可。

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構内を抜けて上ヶ原浄水場の下を巻く公道に出る。標識に従って下り

地すべり資料館に至る。だが月曜日と木曜日が休館日だったので見学

は出来なかった。地滑りを起こした斜面が園地として整備されている。

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高みに向かって行けば、イノシシ除けのフェンスがある。扉を開けて

進むと県立甲山森林公園の敷地内。最初の内は山道だが、少し進めば

幅広い遊歩道となる。道標に従って進むと目標の展望台に辿り着いた。

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展望台とは云っても標高が180m位なので、大した事ないだろうと

思っていたが、あにはからんや素晴らしい眺め。案内板によると池田

五月山から甲子園球場までの大展望が得られる。来てみて良かった。

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先ほど歩いた関西学院大の学舎。統一された色彩はシックでハイカ

という感じ。同志社大学のように、古い建物と新しいビルが混合する

キャンパスとは全く違う趣。上ヶ原貯水池が神戸市の施設とは驚いた。

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それにしても素晴らしい展望所。高ければ高いほど景色が良いと考え

ていたが、誤りだと認めねばならない。夜景も相当綺麗だと思われる。

それに初日の出を迎えるには最高の場所ではなかろうか。また来よう。

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展望台から少し北側に東屋がある。これがガイド本の北休憩所だろう。

この奥に草木の茂った道跡があった。横にいたオジさんに「前はちゃ

んとした道だったけど行くのかい。探検隊やな。」と言われてしまう。

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確かに入り口付近は草木が茂って足元も見えにくい。コンクリ擬木の

土留もあって段差に足を取られそうになる。樹林に入れば普通の山道。

5分も下れば三差路に出会い、ガイド本が、しるべ岩と記す所に至る。

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此処から仁川の河原に降りると云う。前回はそうと知らず上流に進ん

でしまった。だが前後50m程の範囲で下降する踏跡を探すが見当た

らない。改めてガイド本を読み直すと明確な道は無いと記されている。

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しるべ岩の右側に凹地があり、他所よりは下り易そうなので入り込む。

一旦は右手の斜面に進んでみたが急峻で良くない。堰堤直下は断崖と

あるので、上流側に下った方が良いだろう。また岩の下まで登り返す。

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しるべ岩は単なる大岩でなく岩尾根の頭だった。その裾の雨水が作っ

たであろうガリー状が下り易そうで入る。初めはそう急でもなかった

が、河原手前が切れていて灌木や木の根に頼る。最早ハイクではない。

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降りた所は大井滝堰堤上の堆積地。今回下降したルートがベストかは

分らないが、右岸は切り立った岩壁が多く容易には下れない。確かに

堰堤下は断崖で下流側からは嫌らしい。家族が足を滑らせ川に浸かる。

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左岸の河原は草藪だが踏跡は僅かにある。此処を歩いた人はどちらに

抜けたのだろうか。地理院地図では破線路が徒渉しているが、それが

此処ではないのだろうか。とすれば別に良い下降路があるかも知れず。

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そういうモヤモヤした考えが晴れぬまま上流へ進んで行くと、張り出

した岩場に突き当たる。人工的に削られたのではないかと思うバンド

状があって容易にトラバースして行くと、はっきりした道が現われる。

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コンクリの階段道もあるので、大井滝堰堤の保守路だろうか。頂部が

崩れて自然な水抜きになっている小堰堤。人工的な物だが古さゆえに

周囲の景色に溶け込んでいる。此処から道は斜上して河原から離れる。

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やがて前回に図らずも渡ってしまった水道管橋が見えて、手摺のある

階段道の中途に出る。下ると河原まで降りれそうだが、その先はどう

かな?。階段を登りきれば、仁川バットレスと呼ばれるゲレンデ頂部。

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緩やかで広い歩道を進めば展望所に出る。此処から見る甲山の姿形が

意外に山らしくて良い。そう云えば家族は一度も甲山に登ったことが

ない。残念ながら山頂からの展望はないので、見る山と云う位置づけ。

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先週に続いて二度目だが、仁川渓谷から広河原へ出る瞬間の開放感は、

なかなかのもの。この感覚を味わうだけでも来たかいがある。それは

家族も同意見なので満更でもなかろう。野鳥観察をする人が大勢いた。

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広河原のススキも晩秋の風情で好ましい。右上の車道に出ると山側に

入る石段道が、甲山橋までの間に3ヶ所もある。水量の多い沢が流れ

込んでいて、何処からの流れだろうと不思議に思う。理由は後で分る。

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目的のロックヒルは仁川左岸にある。前回は甲山橋を渡って右岸を歩

き、再び左岸に徒渉した。それはやや迂遠に感じたし地理院地図には

左岸通しに破線路が記されている。甲山橋手前で上流へ進む道に入る。

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だが少し進むと立派な木橋があって右岸の自然の家側に渡ってしまう。

仁川ピクニックセンターがあった頃の遺構ともいうべき道が、縦横に

残っている。遊歩道なので地形に沿った合理的な道ではなく悩ましい。

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適当な所で左岸に渡り直す。どうやら二度や三度くらいでは、一帯の

歩道を把握しきるのは難しいだろう。それはそれで迷路を解くようで

面白いかもしれない。左岸の踏跡を辿ると意外に立派な道に飛び出る。

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前方に堰堤が見え、そこから引いているらしい水路がある。広河原上

の石段道を上がれば、水路沿いに出たのに違いない。水量の多い沢は

水路の水が流れ出ていたのか。地形図の破線路の正体もこの道のはず。

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三連の神呪(かんのう)堰堤。手前の小堰堤が取水施設となっている。

左岸沿いに道は巻いて行くが、此処までのような広い道ではなくなり、

記憶にある良く踏まれた山道である。しばらく進んで行くと目標発見。

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ガイド本の言う黄色い木橋だ。実は朽ちた橋桁に黄色い鉄板が敷いて

あるもの。前は上流から此処まで来ずに草刈りされた良い道を辿った。

ここからガイド本の記述に従おう。行き過ぎているので下流側に戻る。

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木橋から3分の歩くと、道の中央に岩が横たわってるとある。実際は

約1分だったが此の岩だろう。次にこの岩から15歩歩いて振り返れ

とある。宝探しみたいだな。家族の足で15歩。確かに踏跡があった。

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入口は藪が被さって見つけにくい。しかし少し上がると露岩帯となる。

風化した花崗岩が上方まで続いている。それほど歩く人は多くなさそ

うだけど、アトラクションとしては面白い選択だ。真砂で滑りやすい。

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思ったよりも長く続く。背後に甲山が大きく迫っている。視界のほぼ

一杯が甲山が占めるので、眺望が良いとは言えない。常緑樹の多い山

で紅葉した木は少ない。少しだけ藪を分けると草刈りされた道に出る。

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空が抜けているので最高所に近いことが分かる。北寄りに山道を辿っ

て行くと、丸い巨岩に出会う。この岩がロックヒルの最高所。右側に

回り込めば、容易に頂部に上がれる。しかし黄色い落書きは頂けない。

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朝方は曇っていたが、午後になって晴れてきた。大阪方面のビル群が

はっきり見える。ハルカスの高さが際立っている。一方では伊丹空港

の滑走路に、飛行機が着陸する様子が見える。なかなか面白い展望だ。

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今日の昼ごはんは、エビチャーハンとレタスの卵スープ。炒飯は家で

作ったものを温め直すだけ。レタスも下ごしらえして持って来ている。

ごく簡単なメニューだけど、それでは面白くないので、一計を案じた。

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何かのプラケースにチャーハンを詰めて、ひっくり返せば甲山に似て

ないだろうか。福神漬けと沢庵は麓の紅葉を表現してみた。名付けて

甲山チャーハンでどうだろう。まあお味の方はごく普通の炒飯だけど。

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巨岩をテーブル代わりに食事する。チャーハンが甲山なら、スープは

北山貯水池かな。とにかく大展望を眺めながらの食事は、実際以上に

美味しく感じる。訪れる人もなく、とても静かな場所なのも好ましい。

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食事を終えたら北側に進み、三差路から西側へ転じる。とても良い道

なのは、自然の家がハイキングコースとして利用してるのか。だが道

標は全く無い。北側へ下る道を2本見送るとフェンス沿いの道となる。

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甲山を望む展望所まで下って来た。此処も三差路となっている。前回

は向って左側から登って来たので、今日は右側の道を下ってみようか。

コンクリ擬木の土留が施された道を下って、仁川左岸路に降り立った。

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地理院地図には破線路が上流に続いているが、実際は道らしきは無く

自然に下流に向かうことになる。前回と同じ中途半端な梯子型の橋が

ある徒渉点に出た。水量が若干少なかったので、靴を濡らさずに済む。

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甲山北麓の道を西へ歩き、阪神バス北山貯水池バス停へ。ちょうど下

校時刻だったらしく西宮甲山高校の生徒で超満員。前のドアから乗車。

変化に富む楽しいハイクだったが、しるべ岩の下降が一般向きでない。

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