旅行最終日は、一昨日に行きそびれた伊江島に行こう。宿から歩いて
北部会館前バス停まで行き、やんばる急行バスに乗る。少し遅れてい
たが本部港には8時48分着。9時発のフェリー出航には間に合った。
1日4便しかない。伊江島まで30分の航海。帰りは13時発なので
行動は3時間半。思っていたよりも大きな船だったが、修学旅行の高
校生が沢山乗ってきて満席になる。景色を楽しんでいるとすぐに到着。
港で待っていた小型の路線バスに乗り込む。レンタカー会社と役場を
過ぎると、乗客は我々のみ。島内をグルグル回って、終点の真謝入口。
料金は250円。周囲を見回しても民家の一軒も見えない畑の真ん中。
湧出(ワジー)展望台へ1.5km。目的は城山(ぐすくやま)登山
だが、それだけでは時間を余すし、一箇所ぐらいは観光しておきたい。
幾つかの道標に誘導されて、畑の中を進んで行くと展望台に到着する。
かつて島唯一の水源地だったという湧出。波打ち際に水が湧き出して
いるというが何処かわからない。ポンプ小屋の様な建物がある所かな。
かつては岩間を下って水汲みに行っていたというが、道らしきは無い。
標高差60mの断崖絶壁なので、海風が上昇気流となって吹き付ける。
民泊先の車で修学旅行生が数名づつ、案内されてくるが、楽しそうだ。
何より民泊先のオジさん、オバさんと仲良く会話できてるのが良いな。
この民泊修学旅行。九州や北海道の観光地でもよく見かける。大抵は
修学旅行生が退屈そうな顔で飽き々してる。案内する民泊先の人も会
話が続かず困った様子が普通。 湧出から城山は、東へ4kmほど歩く。
右は島ニンニクの畑。左には牛舎。ちょうど港の反対へ回り込んで来
た。予備知識のない家族は、どうやって此の山を登ろう。帰りの船に
間に合うのかと考えていたらしい。確かに此方側からは道も見えない。
そういや伊江島タッチューと云えば、万人が知ってる観光地だと思い、
事前に説明していなかった。農業が盛んな島のようで、どの畑もよく
手入れされている。ピーナッツも名産の一つで、土産に菓子を買った。
城山(ぐすくやま)東登山口から入る。中腹へ広い車道が通じている。
まだ11時15分。ゆっくり観光しても13時の船には十分間に合う。
南側への下り一方通行の車道と合流すれば、展望台のある広い駐車場。
伊江島のキャラクター「タッちゅん」がお出迎え。城山の形の帽子を
かぶり、特産の落花生のパンツをはいている。スズメかと思うがそこ
はハッキリしない。隣に神社があるので登山の安全祈願をしておこう。
登山道というか遊歩道に入ると、同じ船で来た高校生達がバタバタと
追い越して行った。どうやら数名づつのグループごとに、レンタサイ
クルで島の名所を回っているようだ。続いて何組かが追い越して行く。
とても急な階段道だが、高校生達の上り下りをやり過ごすのが適度な
休憩タイムになってか、リズムよく登って行ける。山で人が多いのは
苦手なんだけど、楽しそうな修学旅行生を見ているのは気持ちが良い。
城山の頂上に到着。修学旅行に帯同するカメラマンがいて、グループ
ごとに記念写真を撮っている。その様子に一瞬、韓国の山頂風景を思
い出す。彼らは東京の私立高校の生徒だという。相当な進学校らしい。
城山の頂上はもちろん360度の展望。一昨日。昨日歩いた本部半島
の山々を遠望する。長い間来てみたいと思っていた場所だが、それほ
ど感慨はないのはどうして。思っていた以上に観光地だったからかな。
高校生達が居なくなって、寂しくなった山頂。少し早いが港に戻ろう。
島の西側には伊江島空港があるが、現在定期運航便は就航しておらず、
緊急輸送だけの運用という。その向こうには米軍の演習地などもある。
島を歩き、山上からも眺めて印象深かったのが、貯水タンクや貯水池
である。湧水や本土からのパイプラインでは農業用水には十分でなく。
全ての道路に側溝があり、路面に降った雨水は全て集めているという。
中腹の駐車場まで戻ってきた、下りはこんなに長かった?というのが
家族の感想だ。展望台下には、いかにも観光地っぽい土産物店もある。
もっと素朴な所を想像していた。だからと言って不満がある訳でない。
駐車場からは階段を下って南登山口に出た。徒歩の人は普通こちら側
から登るのだろう。此処から港までは20分もかかった。山頂から見る
と海まですぐの様に見えて意外に遠かった。住宅や商店等も沢山ある。
港には入れ替わり帰る別の修学旅行生が集合していた。立派なフェリ
ーターミナルには郷土資料館等もあったが、日焼けして疲れたのか屋
内のベンチに座り込んで休憩する。今思うと勿体ない時間の過ごし方。
13時の出港間際に修学旅行生が乗り込んできて満員。民泊先の方々
が見送る。感極まって泣き出す子が幾人もいる。しらけた感じの子は
一人もいない。此の民泊事業がどうして成功してるのか知りたくなる。
もちろん美しい自然と人が最大の魅力であることは間違いないだろう。
調べると2年先まで予約で満員らしく、勝手な想像だが島も相手校を
選択できる状況で、それが良い循環を生んでいるのではないだろうか。
年を取るとそういう打算的な考えしか浮かばない。同乗していた青年
は貰い泣きしそうになったと言っていた。本部港のみなと食堂で昼食
を頂いて、14時32分のやんばる急行バスで、那覇空港へ直行する。
最後にスーパーマーケットに寄りたかったと思うが、スムースな移動
は本当に楽だった。やや行きにくいと思っていた名護や本部半島だが、
高速道路の開通でとても近い。機会を見て是非とももう一度行きたい。
神戸空港18時45分到着予定が、40分にはボーディングブリッジ
を渡っていた。スカイマークの定時運航率というのも、ダテじゃない。
前回の宮古島と日程が近かったが、又違った沖縄を楽しむ事が出来た。