野底マーペーに登っても、まだ半日は行動できる。大野12時12分
通過の6系統平野行バスに乗る。数少ない石垣島の最北端へ行くバス。
明石で数名の方が下車すると、フリーパスを持った観光客だけとなる。
平久保岬の入口で9名いた乗客が全員下車した。ここにバス停はない。
自由乗降区間なので降車できる訳だが、これほど利用者の多い場所に、
どうしてバス停を設置しないのか疑問。道標に従い岬の灯台を目指す。
前を歩く二人は香港からの観光客。昨日の米原からの帰りのバスでも
同乗したが、フリーパスを上手く使いこなして行動されている。漢字
圏でない国から来た人も多いが、難解なバス路線を理解されてる様子。
バス道から15分歩いて平久保岬灯台に到着。石垣島最北端ということ
で、押さえておきたい観光地だったが、曇天で海の色が冴えないのでは
値打も半分以下かも。周囲は牧場で視界が広く気持ち良い場所ではある。
先ほど乗って来たバスが、終点の平野から50分後に折り返し発車する
ので、15分程の滞在で元のバス道に戻る。さて此処からが記事の本題。
平野発バスターミナル行きのバスに乗車し、大里バス停と盛山バス停の
中間あたりで降ろしてもらう。正確には390号線にカーラ岳の麓から
農道が合流する峠状の所。一帯は牧草地。既にカーラ岳が見えているの
で、迷うことなく進んで行く。前方右手斜面で大勢で何か作業されてる。
どうやら農林高校のエンジン式刈払機の実習授業。引率されていた方に
カーラ岳への道を聞いてみるが、全く知らないという事だった。因みに
19日には校内草刈大会が有る。優勝賞品「金のカマ」ってどんなかな。
そのまま農道を進みブロック造りの小屋がある。草木に隠れているので
行き過ぎてしまったが、小屋の手前にカーラ岳に向かう道がある。この
道を知ったのは、山登りではなくて航空機写真を趣味とする方のブログ。
轍が残る農道で草地を一周している。ところで石垣島に来るのは2度目。
前回は30年前の夏。シュノーケリングを目的として、2週間の予定で
八重山を巡った。白保沖新空港建設計画の反対運動が話題になった頃だ。
農道が直角に曲がる所から山道に入る。草深いが良く踏まれており明瞭。
前回の旅行での石垣島は余り印象が良くなかった。白保のサンゴは希少
種かも知れないが美しくはないし、米原キャンプ場は居心地が悪かった。
少し登ると新石垣空港の全景が見える。14時30分発ANA那覇行き。
一週間かけて竹富・西表・黒島を周回して石垣島に戻ると、新鮮な野菜
が摂れない事に我慢できなかった家族が「もう帰りたい。」と言いだす。
斜面に大きなユリが沢山咲いている。当時はパパイヤの千切りを野菜代
わりに食べるらしく、離島のキャンプ場近くで野菜は手に入らなかった。
家族の意思は強くて、帰る事にしたが、旧の石垣空港へ行って見たのは。
右上の斜面にはユリの花がいっぱい。道は時折薄くなるが迷う事はない。
空港では何十人もの地元の人がキャンセルが出るのを待っていた。当時
の滑走路は短くて、小さな飛行機しか就航できず需要過多の状態だった。
主稜線に達すると草藪の中、道は東側に転ずる。キャンセル待ちなんて
数席しか出るはずないのに、じっと待っている人達の思いを強く感じた。
白保沖の埋め立て案はともかくも、新空港の建設は必要と思ったものだ。
帰るのは諦め、その代わりに空港のレストランで野菜サラダを食べたと
いう。家族はすごく美味しかったと覚えているが、ハムはそのことは忘
れていた。だがそれで家族は落ち着いて、残り一週間の旅を続けられた。
草深い道を辿って行くと、航空標識の有る頂上に飛び出る。フェンスの
周囲は草が刈られ300度近い展望が広がる。実は空港建設の際に東側
斜面が大きく削られている。その為に、空港側は麓までスッキリ見える。
14時40分発、琉球エアーコミューター宮古島行き。ボンバルディア
社のプロペラ機。航空機マニアじゃないけど、この飛行機は見れて嬉し
かった。晴れていれば背後の海が紺碧で、カッコいい写真が撮れるよう。
続いて14時30分発バニラエアー東京行き。あれ順番が逆転している。
それほど発着の多い空港ではないのに、山頂に着いた途端に2機の離陸
を見れたのはラッキーだ。もちろん事前に発着を調べていた訳ではない。
菓子パンを食べて小休止。ホテルの冷蔵庫で500mlペットボトルに
水を凍らせて持ってきたが、もうほとんど溶けている。14時45分到
着予定の羽田発の全日空機かな。時刻表から思ってるだけで正確でない。
もと来た道を下山する。山というよりも丘という言葉がピッタリくる景色。
低いが面白い山だった。下りはあっという間。元の農道から390号線に
出るが、平野線のバスは18時35分頃通過。とても待ってはいられない。
空港まで歩いて行けば15分に一本バスがある。3キロも歩けば空港入口
のバス停に着くだろう。ところが空港バスは盛山南には停車せず、自由乗
降でもないので結局ターミナルまで4キロ近く歩いた。家族は足が痛そう。