石垣島旅行3日目。今回一番登りたかった山。地理院地図では、野底
岳と記されているが、現地の道標では「野底マーペー」と書いてある。
昨日と同じく3系統東回り一周線に、サンエー前6時57分乗車する。
伊原間の回転場で16分間の停車。通学の中学生を乗せてきた黄色い
平野線のバスと連絡する。スクールバスも発車するので、ちょっとし
たラッシュアワー。運転手さんに野底岳入口で降ろして欲しいと頼む。
自由乗降区間なのでバス停でなくても下車できる。伊原間を8時に出
て19分で県道沿いの標識の前に到着。その間の乗客は我々だけ。残
念ながら曇り空。行動できるのは残り2日なので、もう日は選べない。
目標の山が見えてるのだから、地図も確かめずに歩き出す。犬を散歩
させておられた女性から、「マーペーに登りますか?」と、挨拶代わ
りに聞かれた。地理院地図に記された名前が絶対とは思ってはいない。
分岐で山に近づく道に入ったが畑で行き止り。分岐から西へ進む舗装
路が正しかった。事前に地図を見ていれば迷う所ではない。ほどなく
登山口に到着。暗い森の中に入るとイノシシ除けのフェンスがあった。
石垣島にいるのは、リュウキュウイノシシと呼ばれ、本土のイノシシ
より小型なので、フェンスも低いようだ。サトウキビを食べるらしい。
平流の沢を渡る。植生は穏やかだ。3日目ともなると驚くほどでない。
赤土の滑りやすい道。こんな所ばかりではないが、曇り空で樹林の中
には陽光が届かず、写真を撮る気もしなかったから。特に見所もない。
登山道沿いは急だったり、迷い易い所にはずっとロープがつけてある。
南側に下る分岐を過ぎると傾斜が上がる。それこそ老若男女が登る山
なんだろう。おおよそ登山道の80%以上ロープでカバーされている。
登山道は一旦、ピークの東側へ回り込んでから、頂上を目指すようだ。
見知らぬ植物との出会いも楽しみになってきたが、此処まで今日は新
たに見るものはなかった。山頂近くになってアジサイに似た花が一輪。
白いのは額で、黄色いのが花弁なんだろうか。蕾も星形で可愛らしい。
段々と周囲の草木の背が低くなってきた。もう少しで山頂に着くのだ
ろう。登山口からは40分も歩いていない。標高から考えればそれで
も遅いくらいだが、別に難しい所なかったし、なんだかあっけないな。
下から見上げた時は、どうやって登るんだろうと思ったりもしたけど、
岩の上を歩くようなことは一度もなく着いてしまった。山頂岩場の下
に、マーペーという名の由来が記した看板がある。女性の名前だそう。
家族は足が痛むので、いつものように岩の上に立ったりできないよう。
好天の日に来たいと思っていたが、最早選択の余地なし残念な曇り空。
下から見上げると一つの塊に見えた頂も、実は巨岩が積み上っていた。
今日の山ごはんは、「よろずストアー」で買ったジューシーおにぎり。
朝6時過ぎに行くと、5・6人の女性が沢山のお弁当を手づくりされ
ていた。次々とお客さんが来て、弁当を買って行かれる様子は壮観だ。
近くにファミリーマートもあるし、スーパーも24時間営業だったり
するが全然負けてない。ホテルに近かったので3回利用させて頂いた。
ジューシーは味付がちょうど良いし、握りがしっかりしている安定感。
於茂登岳の頂上は今日も雲を被っている。桴海於茂登岳はちょこんと
した三角形に見えている。マーペーは黒島が見えないと嘆き悲しんだ
というが、確かに距離的には見える位なのかな。方角はもう少し右手。
今日は曇り空だが、少し蒸し暑い。この2日間ジャケットを着ていた
家族がTシャツ姿になっている。ヒルを恐れて靴下の中にズボンを入
れているが、この山にはいなかったみたいだ。もう少し晴れないかな。
バスの時刻にはまだ々余裕があるので、頂上では40分も休んでいた。
時折り薄日が差すが、それ以上には広がらない。多少は海が青く見え
たが、このぐらいが限度のようだ。360度の展望も少々飽きてきた。
下山はバスの都合があるので、太平洋側の伊野田に下ろう。山頂直下
に林道が通っているので、一時間も歩けば国道390号線に出るはず。
この国道は海を渡って、宮古島から沖縄本島まで続くという変わり種。
滑りやすい急傾斜の道を下ること10分で、林道へ向かう分岐に到着。
更に下って行くと、6人くらいのグループが登って来られた。民宿か
なにかの施設が、お客さんを連れてこられたみたいで、皆さん空身だ。
山頂から15分で南側登山口に下って来た。此処にある石垣市の看板
も野底マーペーと記されている。路肩が広がって数台の駐車スペース
がある。観光のついでにちょっと登ってみようということも十分可能。
南西に向かって林道を歩いていく。振り返ると山頂には、先ほどの人
達だろうか、岩の上に立つ姿が見える。林道には車は一台も通らない。
競輪選手の練習に向いてるんじゃないとか言っていたら、後で出会う。
林道脇の高台に東屋が設けられていた。立ち寄るとマーペーが良く見
える。均等な三角錐ではなく、かしいだ尖頭を持つ山がよく人や動物
に例えられる。香港の釣魚翁やオアフ島のクラウチングライオンとか。
単調な林道歩きの楽しみは珍しい植物を探すこと。見事な球形を作る
この花は何というのだろうか。草花に興味はないが気になる美しさだ。
予定通り1時間弱で大野バス停に到着。伊野田より大分北よりだった。
12時12分の平野行まで50分程の待ち時間。歩道のへりに座って
通る車を見ていたら、バンの後部ドアを上げて追走する2台のピスト
レーサー。競輪選手に違いない。中部の選手会が毎年合宿するらしい。