3月に入って最初の土曜日。毎日が日曜日なので、人出の多い日に何
も山に行く必要はないのだけど、無風快晴で気温もそこそこ緩みそう。
11時過ぎに散歩に行こうと、家族を誘い家を出る。開森橋に正午前。
遅出が幸いしたのか、山手町の坂道にはハイカーの姿は少ない。休日
には、ややもすると繁華街並みの混雑もあるところ。散歩なので特に
コースは決めていない。今からでも午後3時には下って来れるだろう。
山手町から道畔谷への道に入る。すると不思議に追い抜いていく方や
下ってくる方と、幾人ものハイカーとすれ違う。やはり好天に誘われ
て来た人は多いよう。散歩なので汗をかかない程度にゆっくりと歩く。
道畔谷に入って第2堰堤を越すあたりでは、南側の尾根からしきりに
人の声が聞こえる。此処に至る道も崩れたりすると、自主的に保守し
整備されているので、そういった方々が作業されているのではと思う。
第2堰堤上で小休止していると、私達と前後して歩いておられた初老
のご夫婦が、右俣から北尾根へ抜ける踏跡をスタスタと登って行かれ
た。街歩きのような服装に新しいザックで、正に散歩されてるようだ。
それを見て反対側の中俣右岸尾根に進むことに決めた。中俣を登る
ことも考えたが、やはり谷間は寒々している。右岸尾根は一度歩い
ているが、家族は初めてなので良いだろう。尾根の末端を迂回する。
ザレた斜面を巻き上り尾根に乗る。やや心許なかった道もしっかり
してくる。先程の方達のように日常的に散歩コースとされている人
もいるかも知れない。ハムは2度目だが以前より明瞭な道に見える。
稜線上を進むのではなく、谷よりの斜面を斜上し、特徴的な岩溝に
道は通じている。写真で見るよりも傾斜があり、一部で両手を使っ
て岩を攀じる部分もあったり、短いながら飽きさせない変化が続く。
背後には道畔谷中俣左岸の険しい岩場が見えている。その稜線つまり
中俣と右俣との中間尾根は、一度だけ歩いているが、濃密なシダ藪で
覆われていて通行にとても難渋した。その向こうに見えるのが北尾根。
巨岩が現われるようになると、この尾根のハイライトである展望岩も
近い。先週に歩いた長峰山東面の、恐ろしく脆い岩稜尾根に比べると
快適すぎる安定感。気を許し過ぎてもいけないが、岩はしっかり固い。
此の辺りのルートは色々選べそうだが、一番歩きやすい所を進んで行く。
重ねて書くが何処を掴んでも、崩れそうにない岩に思わず微笑んでしま
った。この巨岩の上に出れば、一気に芦屋から大阪までの視界が広がる。
足元に歩いてきた芦屋川右岸から道畔谷が一望にできる。霞が掛った
ようでクリアではないが、無風で日差しもあって全く寒さは感じない。
道畔谷第2堰堤から此処までは誰にも会わず、静かな山歩きが出来た。
もう一段下に岩の平頂がある。此方の方が広いので休憩に向いている。
オレンジ色の苔が生えていて遠くからも目立つ岩場。かつてはゲレン
デとして利用されていたようで、古いリングボルトが3本残っている。
今日の昼食は家族の作ったアップルパイ。親戚からお裾分けで貰った
ORIGAMI。ユナイテッド航空の薄いコーヒーが、スターバック
スに変わった時の驚きを今も覚えている。それは30年近い大昔の話。
食事を終えた後は元の尾根道に戻る。暫くで一般によく歩かれている
道畔谷南尾根や東南尾根とか呼ばれている道に合流する。さらに登る
と荒地山主稜線に出る。一気にハイカーの姿が多くなり賑やかになる。
適当に下って行くとチーズロックに出た。以前に比べてボルダー群
へ入るハイカーが増え、明らかに藪が薄くなった。その為に迷い込
むハイカーも多いと思う。更に公設道標の増設が必要かもしれない。
高座の滝には下らずに、鷹尾山(城山)を越えて山手町に降りる。
荒地山の展望の良い所だけをグルっと回って、概ね4時間の散歩。
自宅に帰ると万歩計アプリは約2万歩。少しは運動になったかな。