摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

ゴロゴロ岳・七曲り谷左俣から剣谷湿原へ

7月初旬梅雨前線が活発化し、平成30年7月豪雨と名付けられる程の

降水量となった。神戸地方気象台の発表によると、5日から7日までの

西宮地方の降水量は397ミリである。8日は晴れたが家族に所要あり。

9日。まとまった雨が降れば、家族と一緒に行きたいと思ってた小渓へ。

阪急夙川駅から阪急バスに乗り、鷲林寺南口下車。豪邸が立ち並ぶ住宅

街の上端にある剣谷第4公園へ。此処で沢用の足拵えに替えて奥に進む。

公園奥から踏跡を辿ると、右俣が二筋となって合流する。その上で入渓。

濁っていれば止めようと思ってたが、水は綺麗に澄んでいる。この谷は

岩も安定し難しい滝もない。増水期こそ楽しめようと機会を待っていた。

踏跡は左岸に続くが、それを辿ると谷の遡行部分が短くなる。平流だが、

足慣らしの為にも流れの中を進む。水量が少ないとシダや藪が少し煩い。

すぐに堰堤に行く手を遮られる。左岸の斜面を巻上ったが、天端の上流

側が2米ほどの段差となっており、垂れた灌木に頼って半ば飛び降りる。

第一堰堤上の堆積地に下る。あれほどの豪雨の後だが土砂やガレの流入

は無かったようだ。前方の稜線が思いの外低い。この先に変化はあるの

かと、不安になるほど穏やかな景色。踏跡が岩の上流に下ってきている。

堆積地を過ぎると、やや谷の傾斜が上るが、ゴーロを歩いているのと変

わらない。第2堰堤下で作業服姿の男性に声を掛けられる。市役所の職

員かと問われた。この上でダム工事のために、測量をされているという。

第2堰堤も左岸から越える。此処もまた天端からの段差が大きいので、

半ば飛び降りる。もっとも右岸に測量作業用に、切り分け道が開かれて

いる様で、山仕事用のピンクテープが、第2堰堤堆積地まで付いている。

第2堰堤を越えると周囲の樹林が伐採され、川床の岩に測量用のピンが

打たれている。2012年に岩ケ谷の入口に測量用のピンを見たことを

思いだす。やがて堰堤工事が始まって4年後には、摩耶第5堰堤が完成。

ようやく小滝が現れた。3米程の高さではあるが水量が多くて迫力がある。

家族に登り方を説明しようと思ったが、聞く耳も持たずに、さっさと左側

ガリー状を登って行ってしまった。ハムは登りやすい右側の水心を辿る。

続いて小滝とも呼べないような段差だが、水量があればそれなりに楽しい。

この谷は、昨年の台風通過の2日後にも来ているが、その水量は全く違う。

この付近も測量対象のようで、次に現れる斜滝までも広く伐採されていた。

この谷のハイライトの6米の斜滝が現れる。だがハイカーが設置したトラロ

ープが景観を著しく害している。水流沿いにはスタンス多くて普通に歩ける。

斜滝の小さな窪みを拾って水流が跳ねていた。大雨の後だからこそ見れる姿。

斜滝を過ぎると、測量作業の形跡がなくなった。先ほど出会った方が、堰堤を

作るための測量と言われていたので、恐らく3米小滝から斜滝辺りまでがダム

の下に埋没し、更に土砂が堆積して、この付近も恐らく埋まってしまうだろう。

特別に面白い谷という訳ではないが、水質が良くて、小さいが滝も幾つかある

ので、ゴロゴロ岳の周辺では唯一、沢歩き気分を楽しめる場所だったと云える。

さて堰堤工事が始まるまでに、今日みたいな水量に恵まれる日があるだろうか。

ハムは十分味わいながら登りたいと、思うのだけど家族はドンドン進んで行く。

分かり易い性格の人で、自分が気持ち良い所になると、なぜだか足が速くなる。

前方の谷幅一杯に、白布を垂らしたような滝が見えてきた。高さは2米ほどだが、

どう考えてもシャワーを浴びずには、抜けれそうにない。水勢が強くて難しそう

なら、巻いても良いかな。滝下まで行って考えてみよう。そう思っていたのだが

先行する家族はやっぱり止まらない。右岸寄りの、くの字型のラインをさっさと

登って行く。「上腕が痛いから滝なんか登らすな!」と怒っていたのは誰だろう。

ハムはカメラと財布をザックに仕舞ってから後を追う。頭からシャワーを浴びる。

続いてヌメッとした斜滝。傾斜は緩いが岩が丸くて、適当なスタンスが無いので

この谷では一番難しいと思われる。前回は左岸の岩場を伝って巻き上がっている。

その事を云おうとしたのだが、追いつくまでに、家族は既に滝に取りついていた。

右端の岩溝に細かなスタンスを拾い、その上の拳大のチェックストンを掴んで体

を引き上げていった。落口に上った家族はジェスチャーで「お前には無理だ。」

と言ってくる。素直に従い斜滝の直登は諦めた。そこで左岸の岩場を巻き上がる。

斜滝の上で平流となる。常は水流が途切れてしまう所だが、今日はまだまだ

水流がある。前回は右俣との中間尾根の上端にある池(登山道脇)に出たが。

しかし地形をよく考えずに、水流だけを追っていたら何だか遠い。豊富な水量

がいつまでも続いた。行きついた先では、木の根っ子から水が噴き出していた

それより上に水流は無くなり、古い治山の石組みがある灌木の藪を抜けて行く。

一般道に出たのはガベの城の分岐近く。随分と南側に寄っていた。ゴロゴロ岳

山頂は魅力が無いので剣谷湿原に立ち寄ってみよう。珍しい植物が見れるかも。

だが又道に迷ってしまう。剣谷湿原に辿り着くまで30分も掛った。狭い範囲

に水流が蛇行し、先の見えない複雑な地形が続いた先にポッカリ湿原が広がる。

豪雨の影響も感じられない静けさ。高層湿原だけに此処はまだ夏ではないよう。

花も咲いていないし、昆虫の姿も見られない。あてが外れたが景色は楽しめた。

昼食場所を求め観音山方面に入って、路傍の岩場に座り込む。展望はまずまず。

遠くに見える大阪湾武庫川から流れ出た、大量の泥濘で黄土色になっている。


今日のBGM

ここまで来るのに 一人じゃなかったんだ