摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

地蔵谷第4堰堤上の左俣を詰め、黒岩尾根606ピークに至る

6月25日は桜谷左岸の支谷を詰めて、アドベンチャールートを経由して

地蔵谷源流に出る。此処からは地蔵谷第4堰堤まで下って、三俣の左俣を

遡行して、黒岩尾根の606ピークを目指そうというのが、本日の計画だ。

ラジオを聞いていると神戸市内の気温は30度を越えている。アドベンチ

ャールートにも展望岩はあるが、日陰の無い所では全く休む気になれない。

地蔵谷道を下って行き、右岸から左岸に徒渉する所で、道を外し沢に入る。

短いがナメ床があり、水量も多くて、先ほどまでの暑さをすっかり忘れる。

すぐに地蔵谷第4堰堤上の堆積地。此処には三俣がある。下ってきたのが

本流の右俣だが、遡行するならば中俣が良い。源流域に堰堤が一つあるが、

手前の小滝が連続する箇所は見応えがある。その中俣を右に見て西へ進む。

すると三俣の内最も水量の少ない左俣がある。この辺りは何度も歩いてい

るが、この左俣には入る気がしなかった。なぜなら遡行すると摩耶山頂に

背を向ける事になり、詰めた先は黒岩尾根の606ピーク。そこから再び

掬星台に登り返すのは辛い。今回はそのまま黒岩尾根を下ってしまおうと

思う。嫌なものが見えて来た。地理院地図によると左俣には堰堤は1基し

か記されてない。この堰堤は位置が少し違う。測量後に出来たものだろう。

左岸から越えると二俣があった。右俣の方が水量も多く明るい。こちらは、

606ピーク東側の鞍部に至る谷だろう。念の為に少し上流へ進んでみる

と大きな堰堤があった。地理院地図に記されている堰堤だろうと思われる。

二俣に戻って左俣へ入る。地形図から判断できる通り、緩やかな谷で変化

には期待できそうにない。せめて藪に悩まされなければ良いと思っている。

また堰堤が現れた。正確に言うと兵庫県の造った治山ダム。右岸を越える。

更にもう1基あった。既に伏流しているが、どこからだったか記憶にない。

ここも右岸を越えた。この堰堤には銘板があり、平成11年の建造とある。

この3基目の堰堤を越えると、谷の傾斜がぐっと上がる。針葉樹の大木が

多くて雰囲気のある所だ。下生えは少なくて藪を分けるようなことはない。

もはや谷歩きというよりは、斜面の凹状の地形を辿っているのに過ぎない。

左岸にも大きな岩場を見るが、右岸には岩稜が続く様なので興味を持った。

右岸の岩稜を辿って行く。緩やかな細尾根に巨岩が埋まっているという感じ

で険しいという訳ではない。風化の進んでいない、明るい色の花崗岩が続く。

もう少し険しければ恐竜の背とでも呼べそう。最後は何処に行き着くのかと

想像しながら歩く。今日の行程では、この時が一番楽しかったかもしれない。

踏跡らしきがある。この岩にも見覚えが。そうか606ピーク下の展望岩だ。

今までも何度か黒岩尾根道の途中で、休憩に利用している旧知の場所だった。

割とあっけない結末だが、期待通りの箇所に着いた。藪が薄かったのも良い。

この展望岩は二人で腰かけるのにちょうど良いし、松の木越しに黒岩尾根の

659ピークから、摩耶別山、天上寺、掬星台の電波塔群まで、およそ摩耶

山上という所を一望に出来る。黒岩尾根道からは踏跡を辿って10米程の所。

黒岩尾根道に出て西へ進むと、神戸市界の標柱がある。後は淡々と下るだけ。

布引の滝に下ったのは17時半近い。瀧見橋には十数名の外国人観光客の方。

今日山中で出会った人の半分は外国の方みたい。決して魅力的な観光地では

いが、比較的に安全な旅行先として選ばれてるのだろうが、楽しんでほしい。