摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

寒谷南尾根の南側壁から岩ヂャレに至る

今日は気温が10度以上になるらしい。前回に、勧進滝に行く途中で、

見かけたガレを登ってみようと思う。杣谷に入ると風が遮られ暖かい。

淡々と歩いて行く。家族は2日前の運動で筋肉痛になっているらしい。

「下りはケーブルに乗りたい。」とか言い、ハムより遅れて歩いている。

摩耶第二堰堤の乗越しから、左に寒谷南尾根、中央に寒谷北尾根が

見えている。この後、寒谷南尾根に直上するとは、全く思ってなかった。

第二堰堤と第三堰堤の中間辺りで、左岸の杣谷道が右岸に渡る所。

下流方向は「行き止り」と記されている公設道標がある。この裏手に

ガレが流れ込んでいる。今月の14日に歩いた時に初めて気づいた。

杣谷の両岸は急峻な上、岩が脆く浮石が多い。落石を起こした場合、

杣谷道を直撃するような場所は歩かないと決めているが、此処は僅

かに外れている。ガレの傾斜も比較的、緩やかなので登ってみよう。

古びたトラロープがあったりするが、なんの為か。測量用のプラ杭

が続くので、そういった目的だろうか。ところでハムは、思い込みが

激しい方で、このガレはやがて急斜面に消え、樹林帯を登って行く。

と考えていた。今年3月末に杣谷から山寺尾根に登った時の記憶

があったからだ。それで装備はシュリンゲ1本も持って来ていない。

この先で沢筋は藪っぽくなるが、凹状の地形はしばらく続きそうだ。

ところが前方の景色が一変する。巨岩が累々と積み重なっていて

驚く。凹状の地形は岩場を避けるよう左側に続いているが、最早

追う気はなくなった。この岩場を行ける所まで進んでみようと思う。

家族は現金なもので、足が痛いと言っていたのに、岩場に入ると

急にピッチが上がった。後ろで写真を撮っていると追いつけない。

険しい岩場に阻まれて、右(北)側の尾根へと追いやられて行く。

岩と濃い藪に阻まれ登れそうな所がなく、かなり尾根に近づい

た所で、「此処が登れそう。」と、家族は浅い凹角をあっさり登っ

て行った。岩と岩の間には土砂が詰まって、潅木が生えている。

続いて登ろうとしたら、これが結構急峻で、ハムに登れるかな。

水曜に降った雨で土が柔らかい。手掛りは灌木、足場は土砂

に求める。家族は簡単に登ったが、ハムの体重ではズルズル。

凹角中段から長峰山を望む。若干こちらの標高が低いような

気もしたが、この時は既に岩ヂャレの末端に達しているものと

思っていた。こんな写真を撮っているぐらいだから安定してる。

かなり時間をかけて凹角を抜ける。家族には「遅い。」と叱られ

るが、結果的には凹角の辺りが、今日のハイライトだったので、

じっくり楽しむのも有りかな・・。その上は岩に挟まれた回廊状。

土砂の詰まった回廊も長くは続かず、枯れた藪に行く手を阻まれ、

右手の尾根に逃げる。この時点で、ほぼ寒谷南尾根の稜線に出

ているが気づいていない。なるべく安定した岩を選んで登って行く。

ふと見ると何やら派手な色合いの物が有る。ヘリウムガス風船

だった。飛んで来た物だろうが、それが木に結んである。つまり、

誰か此処に来られたということ。まあ一応ゴミだと思い回収した。

さらに藪を分け岩場を越えて行くが、さっきより明らかに傾斜は

落ちている。この先でやや平坦な細尾根に乗って、目を疑った。

勝手に「寒谷第一ルンゼ」と呼んでいる寒谷の支流を詰めた所。

つまり岩ヂャレの末端には達しておらず、此処から更にうるさい

シロバナウンゼンツツジの藪を分けて、ようやく岩ヂャレに至る。

険しい岩場を抜けたので、もっと標高を稼いでいると思っていた。

ちょっと力が抜けてしまったが登るよりないので進む。それでも

冬枯れの藪は、初夏の頃に比べれば歩き易い。4月下旬に来

れば、シロバナウンゼンツツジの花で、一帯が白く染まるだろう。

思ったより楽に岩ヂャレ末端に到着した。何処から何処までを

岩ヂャレと呼ぶかは分からないが、一個の岩の大きさと形状が

そう思わせる。藪の煩わしさから解放されて、気楽に登って行く。

家族は巨岩の間を突っ張って越えて行くが、右手を回り込めば

普通に歩いて行ける。低い冬の太陽が見えて、岩ヂャレの頭に

出るのも近いと知らせている。そこから山寺尾根へは一投足だ。

山寺尾根に出た後は、10分ほど登り掬星台下の水平道に入る。

この道は歩く人も少なくて、土砂や落葉に埋もれようとしている。

家族は筋肉痛が戻ってきたようで、足を押さえながら歩いている。

水平道の途中で、掬星台から史跡公園の道へ斜上する。10m

程の標高差を斜上するだけだが、最近まで気づいていなかった。

そのまま進んで行くと、旧天上寺下の階段の中段に出てしまう。

史跡公園(旧天上寺)に到着したのは、14時11分。風も弱くて

暖かい日差しに溢れている。此処で遅い昼食を摂ることにしよう。