摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

摩耶東谷を遡行し奥の二俣を左に入る

7月15日は第3土曜日、リュックサックマーケットの開催日。

掬星台が目標地点になるが、この季節は涼し気なコースは

限られる。さして考えもせず、何度目かの東谷遡行にする。

杣谷堰堤を越えて東谷の道に入り、深谷堰堤上で入渓する。

河原に鍋や薪が並べてある。今日は人影はなかったが、左岸

に定住者がおられるよう。河原で沢用の足拵えに変えて進む。

ダムの堆積地を過ぎると、すぐミニゴルジェ。出口には二段

の滝が待っている。下段の滝の前に、大木が倒れ込んでる。

この倒木の様子が来る度に変わり、毎回違う登り方をしてる。

この滝は水心にホールドが多い。家族は一度途中まで登る

が、「前が見えない。」と降りてきた。メットの下にキャップを

被り、頭から水を浴び乍ら登って行く。ハムは倒木を木登り。

上段は扇状に広がる6m滝。古い残置ロープがあるが既に

結束は切れており、木に食い込んでいるだけ、過度に頼ら

ないようにしたい。上段のバンドを渡って中央寄りを抜ける。

次に現れるのが恐らく弥生滝という名の滝。かつては修業

の場であったようで、遺構が右岸に残っている。岩が東谷

特有のノッペリとした感じで、我々には到底登れそうにない。

右岸のガリーから小さく巻き上がる。ホールドが多そうだが、

丸く風化した岩に苔が乗っていて、つい残置ロープに頼って

しまう。だがこのロープも結束は切れており、信用できない。

支点の木が成長して、トラロープを断ち切っている。現在は

幹に食い込んでいるだけの状態。ロープの耐性も疑わしい。

河床の岩盤が露出して、良い雰囲気の平流が続くが、実は

左岸に一般道が近づいている。少し先で右岸へ渡渉する所。

平行して一般道はあるが、まだ未練がましくも沢筋を歩く。

傾斜の緩い小滝。毎回、水心を登れないかと思うのだが、

どうも滑りそうで、いつも右の乾いた部分に逃げてしまう。

この滝の名はたぶん見返滝。水心の下部はツルツルだけど、

上部で傾斜が落ちるとホールド豊富になり。水流沿いに落口

に立つ。ただし深谷第二堰堤に遮られるので、左岸を越える。

深谷第二堰堤からしばらくで行者滝。今までは遠慮してたが、

上の小屋に人も来なくなったので登ってみる。直登は無理だ

が、下段・中段は左手から、上段で右手に抜けて落口に立つ。

大日岩でピーナッツバターサンドの小休止。男性ハイカーが、

来られて「大きな滝壺を知らないか。」と聞かれる。どうも杣谷

と間違って来られたよう。引き返されたが、杣谷にあったかな。

深谷第三堰堤を越えると、平流が続く。普通の登山靴でも

支障なく歩けるが、せっかく沢用の足拵えなので水心を行く。

続いてスリット式の深谷第四堰堤が現れる。さて堰堤には

全て深谷という名がついている。砂防事務所では深谷が正

式名称なのかな。地理院地図には摩耶東谷と記されてる。

ゴルジェを抜けると二俣。直進するのが通常のコースだが、

今日は左に入ってみよう。今まで一度も入ったことがない。

ロープウェイから枯沢に、堰堤が連続するのが見えるから。

左に入ると前方にチムニー状の滝が現れる。我々に直登

は無理。数十メートル戻って、右岸を大きく巻くことにする。

かなりの急斜面で、上へ上へと追いやられる。スリップすると

滝下まで落ちそうだ。こんな所だが登って行くと、部分的に古

いクレモナロープが残置してあるので、昔から通行はあるよう。

ようやく河原に下りる。谷は土砂で埋まり水流はない。堰堤を

一つ越えるとその上に鋼製の流木止め。ロープウェイから見

えている谷は、やはり此処だった。相当な数の堰堤があろう。

堰堤を4つ越え、更に3つの堰堤が重なる様に見えた所で、

嫌になった。もう遡行するのは止めよう。ちなみに此の堰堤

群は営林署の作った物で、砂防ダムでも治山ダムでもない。

右手の急斜面に取り付き尾根を目指す。おそらくロープ

ウェイの鉄塔が立つ尾根に出るはず。フェルト底が滑る。

尾根に乗ると20mほどの高さの岩場が現れた。樹林に

囲まれているので、ロープウェイからは見えないが意外

に立派だ。この岩の上は一度東側から登った事がある。

今日は西側からバンドを伝って岩の上に登る。前方に

ロープウェイの架線が見えているので、予想通りの所。

岩の上に立つと、ロープウェイのゴンドラと同じ高さ。

手を振ってくれたのは、中国人観光客の方だろうか。

そこからは更に、岩が積み重なる尾根を登って行くと、

ロープウェイの支柱のある場所に出た。臨時運行され

ているので、すぐに先のゴンドラが頭上を通っていった。

支柱から作業路を少し登ると、掬星台下の水平路に出る。

東側に向かい、山寺尾根の一般道から東展望台に至る。

ヘロヘロに疲れた割に、今一つ満足感のない行程だった。




今日のBGM