摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

宮崎県の旅7日目 冠岳(438m)・・・2017年5月15日

昨夜は高千穂峡に近い、仲山城跡キャンプ場幕営した。平日

ということもあって、広いキャンプ場に我々の外には、ライダー

の男性が一名だけで、静かに過ごすことが出来た。良く眠れた。

5時半に起床し、簡単な食事をしてテントを撤収する。快晴では

ないが朝日が差しているので、テントやフライを乾かし収納する。

昨日と同じ道を歩いて高千穂の町へ帰る。御橋から真名井の滝。

水が汚いとか言ったけど、これだけのゴルジェを市街地のそばで

見られるというのは稀有な場所であり、観光的価値は高いだろう。

遊歩道から高千穂神社に入る。思ったよりこじんまりした境内だ。

早朝だが観光客の姿は多い。まあ一生に一度は見ておいても・・。

高千穂バスセンター9時30分発、延岡行きバイパス経由のバス

に乗車する。車内に大きな箱があって、ヤマト運輸の貨物も搬送

する。延岡到着後は一時間待ちで日向市行きのバスに乗換える。

延岡市からの宮崎交通バスは、駅やバスターミナルではなくて、

日向イオンタウンというショッピングセンターが終着となっている。

我々には好都合で、一時間程の間に食事と買い物を済ませた。

14時発の塚原行きのバスに乗る。此のバスも神戸市バス102

系統と同じ小型バス。念のため運転手に切瀬(きりせ)バス停に

行きたいというと最初は首を傾げられた。発音が悪かったらしい。

宮崎では後半の「せ」を強調するようだ。切瀬バス亭で下車して、

耳川にかかる冠橋という立派な鉄橋を渡る。耳川は水量豊富な

大きな川。正面が目指す冠岳。王冠に似ているというがどうかな。

鉄橋を渡り下流方向に車道を歩いていく。処分場まではダンプが

ひっきりなしに走るが、分岐を山側に進むと静かになる。登山口

という私製標識が幾つもある。だが本来の登山口ではなさそうだ。

冠橋から30分程で、駐車場と石碑や案内板のある登山口に

到着する。平日だが、ちょうど下山された方が二人。人気の山

の様で水場も設けてあった。少し休んで水を補給し歩き始める。

登山口を15時15分。5分も登ると分岐があった。谷沿いに進む

初級者ルートが本来の道。だが、右に分かれる中尾根コースが

面白いらしい。案内板には「空中遊歩道」だとか書いてあったが。

詳細な私製標識がある。板に文字が彫ってある立派なものだが、

曲がり角ココマデって、どういう意味だろう。里程は50cm単位で

示されている。しばらくは暗い照葉樹林の道を淡々と登って行く。

道は急斜面を登るようになり、槍岩へ75.5mという道標の

ある所から、露岩が現れる。ところで槍岩って何処なのかな。

岩場は外傾気味なので、残置ロープに頼りっぱなし。濡れてる

と滑り易そう。ロープはいずれもしっかりしている。特に左側の

カラフルなクレモナロープは、ごく最近に取りつけられたようだ。

帰ってから写真を見直すと、槍岩ココマデと書かれた道標があ

ったので、この付近が槍岩かな。でも槍のように尖った岩も無く

分からないまま。もちろんP2松ノ木というのも分からずじまい。

両側とも傾斜のあるリッジを登って行く。ここのロープは念入り

に設置されてあった。逆方向に撮ると高度感が出たんだけどな。

思ったより岩場は続いている。樹林の中に在るので展望は得ら

れないのが残念。この上で、北側の尾根道や初級者ルートから

登って来る道と合流した。この山は相当沢山のコースがありそう。

岩場が終わってから、しばらく緩やかな道を登ると、北東の展望

が開けた。足元に先ほど渡った耳川の流れが望め、海も見える。

此処からは緩やかな尾根道を歩いていく。この付近が空中歩道な

のだろうか。これも分からずじまいだ。桜並木とも書いてあったが

桜の木は見当たらず。尾根筋ではなく、崖下の中腹に多いらしい。

道端にササユリ発見。ちょうど季節かと思ったが、今回の旅行で

見たのはこの一株だけだった。虫に食われて花弁が欠けている。

緩やかなスラブが現れた。冠岳の北側は断崖になっているが、

南側にはこのようなスラブが何カ所かある。本峰の南に千畳岩

という大規模な物もあるが、傾斜が緩くてさして印象は残らない。

再び道は北壁の上を行くようになる。耳川の屈曲部を望める展望

所があった。怖くて縁には近寄れない。川との標高差は350m位。

灌木に囲まれた小ピークに、冠北岳405mという私製標識がある。

地形図にない山名で、今日登ったルートを整備した個人が命名した

もののよう。尾根上の突起に過ぎず山名を付ける必要はなかろう。

まあ南に見える冠岳頂上は、植林に覆われた平凡な山容なので、

此方を登山の目的地にしたいという気分は分からぬもない。但し

混乱を招いているようで、迷ったという話はネット上に沢山あった。

冠岳本峰へは杉林の鞍部に下り、登り返せば東西に長い頂上に

付く。冠岳という標識もあるが、反対側に冠南岳と記された立派

な私製標識がある。もちろん地理院地図には冠岳の名しかない。

当然、自治体が作る道標や案内図は冠岳しか記されていない。

山頂にザックを置いて、日の丸が掲揚されているという旗台に

行ってみようと思う。耳川方向に標高差60mほどを下って行く。

急斜面を下って行くと、北壁に突き出るような小平地があった。

平たく展望が良い。なにより明るい。山頂で寝ようかと思って

たが此方の方が良い。山頂に置いてきた荷物を取りに戻ろう。

また60m程の標高差を登り降りし、旗台に幕営した。日中は

暑いぐらいだたが、日が傾くと寒くなる。ガスボンベが残り少く

夕食はイオンで買って来たオニギリ弁当だけ。まあいいかな。

今日は高千穂〜延岡、延岡〜日向、日向〜切瀬と宮崎交通

のバスを乗り継いで来た。本来なら運賃は合計3510円だが

一日乗車券で1800円で済む。とてもお得な券なのでお勧め。