摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

宮崎県の旅6日目 比叡山(760m)・・・2017年5月14日

宮崎県の比叡山は、マルチピッチのゲレンデとして有名な山。

関西からは遠いので、存外に知られてはいない。一般登山道

もあるが、ややコースに変化がないので魅力に欠けるようだ。

昨夜は駐車場の近くで幕営した。数台は停められトイレと水場

がある。週末なので車中泊が3台。薄明の4時半には起床して

行動を始める。5分程も登れば千畳敷。対岸の矢筈岳の岩壁。

北側登山口からの道との合流点に、荷物をデポして登って行く。

昨日の車道歩きが堪えてるのか、最初から急な登りに足が重い。

まだ薄暗い照葉樹の森の中を登って行く。急斜面に岩塊が多い。

30分程登ると南側が抜けた所があって、1峰の岩壁を見ること

が出来た。岩の色が濃いせいか風景としてはそれほどでもない。

再び展望の無い急登を続けていくと、大きな岩が現れ頭上が

明るくなって来た。この岩を回り込んで行くと、1峰の頭に出た。

比叡山と記された山名碑がある。此処を山頂とみる向きもある

ようだ。それに不満な人もいるのか標高の数字が削られている。

最高所ではないが、展望は良いので此処が山頂でも良いと思う。

綱の瀬川の深い渓谷を挟んで、昨日歩いた山々が見える。端正

な丹助岳の姿が良い。矢筈岳東峰の肩越しに西峰が見えている。

南側登山口からの道と合流し、道は緩やかに2峰の頭に向かう。

延岡市のサイトに花の多い山という紹介もあったが、今の所は

植生に魅力は乏しい。時期的にも少し遅かったのかもしれない。

2峰の頭に到着。此処にも比叡山の山名標識がある。一般的に

は此処が、比叡山の山頂らしい。だが展望はそれほど良くない。

山頂の大岩は容易に登れる。だが東側に巨岩があり、標高は

そちらの方がはるか高いので、どうも山頂という気分がしない。

山頂には山ツツジが咲いていた。背後の巨岩が2峰の本当

の頭となるのだろうが、その頂部にはとても登れそうにない。

2峰の頭から緩やかな道が東に続いている。普通の山なら、

名前の付いていそうな巨岩が数多く有る。アケボノツツジ

ヒカゲツツジの群生地と案内があるが、時期が遅かったよう。

2峰の頭から50分程で、眼前に巨岩の割れ目が現れる。登れ

るよう梯子が架けてある。おかげで巨岩の頂部に容易に上れる。

この巨岩が、カランコロン岩(864m)。とてつもなく大きな岩で

展望はすこぶる良い。最頂部へは残置ロープに頼って登れる。

最頂部から歩いてきた主稜線を望む。ハム的には此処を山頂

というか、登山の目的地にして十分だと思う。遠望する山名を

同定できないのが残念。阿蘇山や大崩山も見えているはずだ。

ところでカランコロン岩という名の由来は、このクラックに

小石を投げ入れると、カランコロンと音がするかららしい。

実際に投げ入れると、左右の壁に当たりながら落ちていく。

思っているより2倍ぐらい長い時間音が続く。なるほど名に

偽りはない。東に向かって降りて行けば再び登山道に戻る。

カランコロン岩からは、巨岩が点在する緩やかな稜線を進む。

午前9時、この山塊の最高所である稗の山(918m)の頂上

に到着した。自然林を伐採して僅かに展望が得られるように

してあるが無用なこと。静かな山頂のままで良いではないか。

山頂では湯を沸かして、カップ麺で朝食休憩する。後は元の

道を下るのみ。カランコロン岩は北側の迂回路を通ってみた。

巨大だが岩壁ではない、尾根に乗ってる岩という感じがする。

上りでは誰にも合わなかったが、下りでは何組かのハイカ

とすれ違う。今日は日曜日だ。やっぱり花はヤマツツジだけ。

稜線上から2峰の頭を望む。比叡山頂上については、議論

あったらしいが、今は地理院地図の760高地に落ち着いたよう。

デポしていたザックを回収し、千畳敷展望台に戻ってきたのは

10時40分。1峰を見上げると3名のクライマーが登攀中だった。

比叡山を登ったことで、今回の宮崎旅行で登りたい山は終了した。

後は消化試合の様な日程だ。今日は高千穂峡へ行って観光しよう。

県道214号線を下って行く。南側登山口で振返り比叡山を望む。

更に下り菅原集落からは、今日歩いた緩やかな稜線が見えた。

こうして見ると、稗の山の三角点を頂上としたい人の気持ちも

分からぬでもない。比叡山という名も稗の山が濁ったものかも。

バス停までは5km位かと楽観してたが、気温がどんどん上がり

歩くのが辛くなる。綱の瀬川が五ヶ瀬川に合流する所まで行く。

そろそろ合流点という所で、前方を見て愕然とする。バイパス

道路の橋がとても高い。高千穂行きバスは1時間一本あるが、

川沿いの旧道と、バイパスを通る便が、交互に運行されている。

今の時間だと旧道の槇峰ではなくて、バイパスの梁碕バス停に

行かなくてはならない。県道237号線に出た所から、バイパス

までの車道登りが、本日最大のアルバイト。汗まみれになった。

でも無事13時20分のバスに乗れ、高千穂バスセンターに到着。

運賃は930円だったが、他には1名の客しかいなかった。決して

高いとは言えないな。農協スーパーに行き、昼食や買い物をする。

観光パンフレットからキャンプ場が近くにあると知って、そこに

宿泊することにした。高千穂峡のボート乗り場近くの千穂の家

という会社が管理している。高千穂峡を観光し乍ら行けそうだ。

と歩き始めた道が、これまた九州自然歩道。厳しさがトラウマ

になっている。それに加えて、荷物と暑さのせいでヘトヘトだ。

上流は狭いゴルジェ帯で、激流となっている。なかなか凄い。

高千穂峡といえば、この淵に手漕ぎボートの写真が思い浮ぶ。

30分2000円とお高いが、密かに乗ってみたいと思っていた。

だが実際に見ると水が汚い。それに今日は増水のため休止中。

千穂の家の事務所で受付を済ませ、2km程の坂道を登って

キャンプ場に到着。入場料一人800円、テント一張1000円

合計2600円だが、温水シャワーと素晴らしい景色に大満足。