摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

ハイキング気分で、長峰山の西谷遡行

2週間前に行った金勝山・庄助ノ谷で、ハムは何かの木にかぶれた。

今だ痒みと発疹が取れず、土曜に六甲道の皮膚科医院を受診する。

それが受診まで4時間半待ちで、調剤薬局に寄って土曜は終わった。

滑落以来、体調のすぐれない家族からは「難しい所は行かない!」と

注文がついている。だが蒸し暑い梅雨時に、尾根道も歩く気がしない。

先週は、雨もそこそこ降ったので、西谷の平易なコースはどうだろうか。

六甲川の山田堰堤上で入渓。水量は期待通りの多さで楽しめそう。

今日もジャガーシグマを履いて来た。入渓前に履き替えることもなく、

そのまま歩いて行けるのは、過去の経験から不思議な感じさえする。

最初の小滝で家族が詰まった。普段なら何の問題もなく通過する

所だけど、水量が多く白く泡立つ流れに、スタンスが全く見えない。

結局、右岸の側壁を越えて行った。足元も若干滑りやすいようだ。

ハムは少し下流で左岸に渡り側壁を越えた。なるほど白濁した泡で

スタンスが分からない。平坦かと思い足を延ばすと窪みだったりする。

カメラやタブレット等、防水でない物を持っているので濡れたくはない。

上流には、自然の家や別荘があるし、幾つもの堰堤もある。にもか

かわらず、六甲川の水は澄んでいる。生田川や地蔵谷、北六甲の

谷が濁っているとの違いは何だろう。何処かで解明して貰いたいな。

小滝の上は、西谷出合まで滑が続く。暗い照葉樹の森に囲まれて、

日が差せば綺麗なんだが、曇り空では冴えない。今日は予報では

晴れだったのだが、雲が多くて時折陽が差すという繰り返しだった。

家族が西谷出合を通り過ぎて、本流を進もうとしている。呼び戻す。

確かに本流の方が魅力的に見えるが、すぐ巨大堰堤に突き当たる。

一旦、西谷に入った家族が引き返してくる。最初の堰堤を左岸の

山羊戸渡道から越えるという。ハムはそのまま西谷を進んで行く。

出合からすぐ最初の堰堤。砂防ダムではなく県の作った治山ダム。

左岸の獣道を拾って越える。堰堤端で先に入った家族と合流する。

堰堤上は倒木で歩き難い。この日は何カ所かで新しい倒木を見た。

堰堤を越えて、最初の小滝。前回は楽しく登ったのだが靴が滑る。

怖くなって左岸の巻道へ逃げた。ジャガーシグマも黒い苔に弱い。

平坦なスタンスに置いた足が、クルクル回るという位滑ってしまう。

次は丸い釜を持つ5m滝。今日は水量が多くて、二条となっている。

登るとすれば水心左側だが、びしょ濡れになりそうだし自信も無い。

右岸の巻道で越えることにする。滝を越えた所で家族が水流に戻る。

巻道はもっと上まで続くのだが、キレイだから登りたくなったそう。

相変わらず黒い苔が滑るのだが、斜度も緩いのでそう難しくない。

西谷はアプローチが長いのと、堰堤が多い事を除けば、岩床が

露出した所が続いて、楽しく遡行できる。本流にある2・3の滝は

直登も可能だが、巻道もあって様々な歩き方が出来るのが良い。

その一方で、長峰山側から流れ込む支流やルンゼは、急峻で脆い

岩で構成されたものも多い。今日はその中でも最も容易なコースを

辿り、長峰山の主稜線に抜ける計画。美しい苔の岩床を歩いて行く。

また堰堤がある。左岸から越える。家族は先週のリュックサック

マーケットで100円で買ったTシャツを着ている。ウリ坊のイラス

ト入りで、かわいいのだが、男性用のMサイズで身に余っている。

おまけに昼食用のバゲットの袋が、ザックから突きだして格好悪い。

堰堤上で二俣を過ぎると6mほどの滝がある。西谷本流最大の滝。

直登は我々には難しく、右岸側壁を小さく巻き上り落口へ出る。

少し下流の二俣から中間尾根を登って、大きく巻くことも出来る。

すぐに堰堤。かなり手前から巻道がある。この谷で人と出会った

ことはないが、遡行する人は結構いるようだ。ただし此の先、長

峰山に抜けるか、山羊戸渡に登るかはそれぞれで踏跡は無い。

堰堤を越えると幅広い小滝。滝の下に転がってるのは大岩

ではなく、苔むしたコンクリートの塊。堰堤工事の残骸だろう。

出合から4番目の堰堤。この下で甘納豆と冷たいお茶の小休止。

西谷は最後まで詰めると、極めて急峻でかつ脆い岩で構成され

たルンゼとなる。我々には登れず、適当な所で逃げることになる。

今日は此の堰堤手前で、右岸から流れ込む支沢を登って行こう。

記憶に間違いなければ、天狗塚北側の一般道に行き着くはずだ。

降雨のせいか、岩や木くず等が押し出している。水量もいつも

より多くて、気持ち良く歩ける。岩盤が露出した沢床がつづく。

各所で岩屑が谷を埋めている。これらを取り除けば、さぞ綺麗

だろう。余程の豪雨の後にでも来れば、岩屑が流されてるかも。

黒い苔だか藻の上では、ツルツル滑りまくるジャガーシグマも、

この支沢に入ってからは安定している。緑の苔なら滑らない。

だが楽しいナメも100メートルも続かない。唐突に谷は土砂で

埋まり、伏流しているので水音も消える。後は高みに登るだけ。

薮がうるさくなったので、右手に見える尾根筋に出る。今日は

少しでも楽に登りたい。尾根に出て、しばらくは薮を分けて行く。

10分も掛らずに長峰山主稜線の一般道に飛び出す。頂上の

200mほど北側だが、人が多そうで寄らずに杣谷峠に向かう。