摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

観龍山(754m)・・・・・・慶尚南道・昌寧郡・・・・2015年12月20日

大邱と釜山の間、どちらかというと大邱よりにある昌寧の町に来たのは、

これで二度目。前回は、火旺山と観龍山間を縦走しようと思いながらも、

観龍山側の市内バスの乗り方が分らず、火旺山だけで済ませてしまう。

その時、遠望した観龍山(カンリュンサン)の険しい姿が忘れられず、

又やって来た。難しいと思った市内バスも、始発のヨンシンターミナル

から、午前7時発の玉泉(オクチョン)行きに乗車し、終点で無事下車。

火旺山と観龍山は、群立公園として整備されている。両山は2kmほど

しか離れておらず、充分日帰りで縦走出来る。だが、今日の天気予報

では、午後から雨となっているので、観龍山だけ登り、早く帰ろうと思う。

バス停から車道を観龍寺まで歩く。古い地図には売票所(メピョソ)が、

記されているが無かった。マツタケが名物のようで、看板を見かける。

30分ほど歩いて観龍寺に到着する。背後の荒々しい岩山が見事だ。

ただ、標高ほどの高さは感じられない。現在地は、標高300mぐらい。

観龍寺から二方に登山道が伸びている。岩壁へ直進するものと、尾根

から山頂に至るコースだ。後者を選んで、境内を抜けて北西に向かう。

龍船台が見えてきた。ここまで案内図では、水平路のように書かれて

いるが、実際には結構登ってきた。岩場の上には石仏が鎮座している。

龍船台には階段で上れる。石仏の前で、座禅を組んでいるアジョシが

いらしたので、裏側からの写真。お坊さんか、信者なのか分からない。

いずれにしろ寒い中、微動だにせず座っていらした。遠慮気味に拝観。

山頂よりに少し登った所から龍船台を望む。方形の岩場で名の由来も

何となく想像できる。背後の玉泉の山村風景も、なかなか良い雰囲気。

後から思うと此処が、この山のハイライトだったよう。しばし休憩しよう。

龍船台は観龍寺から600mの所。200mほど歩くと道標があったが、

示しているのは観龍山の頂上ではなく、火旺山(ファオンサン)の頂上。

尾根の右手に、険しい岩場。山頂からは、この岩場経由で下山する予定。

登っていく尾根は岩が積み重なる所と、穏やかな松林が交互に現れる。

左側斜面は、どうやらマツタケ山の様で、細い紐が張り巡らされていた。

やがて松林が、落葉樹の林に変わると頂上も近い。この日は日曜日だが、

此処までハイカーには、一人も出合っていない。天気予報のせいもあろう。

頂上広場に飛び出した。人工的に平削されている。Hマークは無いが、

ヘリポートなのだろう。それにしても殺風景な頂上だ。展望も良くない。

片隅に小さな山名碑がある。標高は摩耶山を超えるが、歩いた感じは、

500mにも満たないように思えた。登山口の標高が、高いからだろうか。

兆条の四囲は灌木に囲まれ、夏は何も見えないだろう。冬枯れの季節

なので、木の枝の間から、火旺山の姿が見える。ススキの原が優美だ。

頂上から火旺山へ向かう道があるが、それに背を向け東へ下って行く。

樹林に囲まれ展望の無い尾根を下って行くと、大きな岩場に突き当たる。

道は岩場の裾を巻いて行く。「登山道ではありません。」と書かれた看板。

つまり展望が良いので、立ち寄る人が多いということだ。もちろん登ろう。

西側には今下って来た観龍山の頂上。山腹の岩場とは全く違う平凡さ。

山中にある道標が、火旺山を指していたのも、何となく分かる気がする。

東側は岩稜が続くが、下から見上げるほどの、険しさは感じられない。

眺めているとハイカーが続々と登ってこられた。案内登山会のバスで

来た人たちだろう。数名づつのグループで登ってこられる。賑やかだ。

先の岩場から、200m程で観龍寺に下る分岐に着く。休憩する人で

混雑している。このまま下ると登ってくる人と、行き交うのも大変だろう。

時刻もまだ、午前10時過ぎと早いので、尾根をもう少し進んでみよう。

道は左側の山腹についている。道標は釜谷(ブゴク)温泉を指している。

登山道が尾根に戻った所で、展望が得られないか、道を外れ踏跡を追う。

玉泉の村を見下ろす場所に出た。この下は断崖絶壁だが風景は穏やか。

藪を分け、先ほどいた岩場が見える所へ出たが、さしたる景色でもない。

下から見上げる岩場は見事だったが、その上に出てしまうとそうでもない。

賑やかな声も遠のいたので、元の峠に戻ろうか。浸み出た水が凍って

いる。今は寒くないのだが、冷えた日もあったのだろう。韓国の山らしい。

30分ほど時間を潰して、観龍寺に下る分岐に戻って来た。さあ下ろう。

最初こそ岩間を抜けるような道だが、後は落葉樹の林間の道となる。

別のバスが到着したのだろう。しばらく下ると多くの登山者と行き交う。

観龍寺には、午前11時過ぎに下って来た。バス停までは30分ほど。

朝とは異なり、観光客やハイカーの車が多い。ゆっくり下って行こう。

12時30分のバスで昌寧に戻る。釜山行のバスに乗り込んだ途端、

小雨が降り出す。物足りないが、観龍山だけで切り上げて良かった。